書評

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Visual Basic .NETプログラミング

― 初心者向けVB.NETプログラミング入門書 5冊 ―

デジタルアドバンテージ
2003/11/01

 かつてプログラミングといえば、もっぱらコンピュータの内部を熟知した専門技術者が担う仕事だった。

 しかしその後、パーソナル・コンピュータとネットワークの普及によって、ソフトウェアへのニーズは質と量の両面で急速に拡大することとなる。ソフトウェア開発の敷居を低くしてプログラマの増員に拍車をかけること、そして1人のプログラマあたりのソフトウェアの開発生産性を向上させることは、コンピュータの普及をさらに促すために不可欠の要素となった。

 こうしたニーズに応えたソフトウェア開発環境の1つがVisual Basic(以下VB)だった。VBは、プログラミング教育用に考案されたBASIC言語を祖先とし、フォームと呼ばれるウィンドウに、ボタンやチェック・ボックスなどのコントロールをマウスで配置して、これらが操作された際の挙動をイベント処理として記述して使う。それ以前は複雑で面倒だったGUIプログラミングの常識がVBの登場で変わった。また、データベースのアクセスもVBでは可能だ。この機能を利用して、特に企業コンピューティングの分野では、バックエンドのデータベースにアクセスするためのユーザー・インターフェイスを提供するクライアント・アプリケーション用開発言語として広く使われることになった。Windowsベースの業務アプリケーションで一般的なクライアント/サーバ型アプリケーションの普及を推進するうえで、VBは大きな役割を果たしたといってよいだろう。

 このVBの流れを汲む最新バージョンが、.NET Frameworkに対応したVisual Basic .NET(以下VB.NET)である。このVB.NETでは、共通言語ランタイム(CLR:Common Language Runtime)と呼ばれるアプリケーションの実行基盤の上で、C#やC/C++言語などの言語とまったく対等に.NET対応アプリケーションを開発することができる。

 より洗練された言語として新設計されたC#などと比較すると、VB.NETは古い仕様を引きずっているという厳しい評価もあるが、それでもなお、プログラミングの初心者が最初に触れる言語処理系として、VB.NETの地位はゆるぎないもののようだ。

 そこで本稿では、これからWindows環境でのプログラミングを始めるという初心者を対象とした、数あるVB.NETのプログラミング入門書から5冊を厳選し、評価してみた。各書籍の特徴は個別の説明をご覧いただくとして、総じていえるのは、いずれの書籍も「開発環境の操作からプログラミングに触れる」という点を重視していることだ。つまり、ワードプロセッサや表計算などのWindowsアプリケーションの入門解説書と同じアプローチで、操作画面の流れを追いながら、VB.NETによるソフトウェア開発を実際に体験していく。これによりプログラム開発の流れを理解してもらうとともに、各プロセスで必要となる基礎知識(基本概念や専門用語、コーディング基礎など)を順次解説していくといったスタイルだ。

 読者は、あたかもビジネス・アプリケーションの入門書を読み進むようにして、プログラマとしての第一歩を踏み出すことができる。さすがに、これらの入門書を1冊読んだからといって、VB.NETプログラミングを自在にこなせるようになるというほど甘くはないが、まったくプログラミング経験のない人にとっては、よい入口になるだろう。

■ひと目でわかる Visual Baisic .NET入門
難易度:★

薄金宏之進 著
日経BPソフトプレス発行
B5版変形 290ページ
ISBN4-89100-343-X
2,380円

 アプリケーション入門解説書である「ひと目でわかる」シリーズの1冊として、画面操作(オールカラー)+解説というアプローチに徹したVB.NETプログラミング入門書。VBプログラムを作成するためのひと通りの操作法、概念モデルや用語解説などの基礎知識を解説するというスタイルは他書と同じだが、到達目標は5冊の中では最も低く、情報量を抑える代わりに、本当の初心者でも最後まで読み通せるように構成されている。

 構成としては、VS.NETのインストールと基本操作を解説する基本操作編、フォームとコントロールの基礎と使い方を解説するフォーム/コントロール編、プロシージャの作成法やVB.NETの基本言語仕様を解説するプログラミング編の大きく3つに分かれており、最後にVS.NETでのデバッグについて簡単に解説している。紹介するサンプル・コードなどは最低限に抑えられている。

 実用的なプログラミングにまでは踏み込んでいないが、本格的なVB.NETプログラミング土台となる基盤は本書でマスターできる。Windowsの操作も、プログラミングも、とにかく初めてという人が、VBプログラミングのきっかけを得るという目的なら役立つ一冊だろう。

 

■Visual Basic.NET入門 基礎編
難易度:★

笠原一浩、山本美孝、山崎秀 著
ソフトバンクパブリッシング 発行
B5版変形 301ページ
ISBN4-7973-1972-0
2,800円

 初心者がつまずきやすい各種の概念(オブジェクト、変数、配列、分岐制御など)について、イラストを積極的に活用し、分かりやすく解説することを特徴としたVB.NETプログラミングの入門書(オールカラー)。

 全体は4部構成になっており、第1部で開発環境の使い方からフォーム/コントロールの使い方、コードの記述法、コンパイル&デバッグまでをひと通り駆け足で解説し、第2部でフォームやボタンといったコントロールを使った「基本プログラミング」を解説、第3部では郵便料金計算を例にやや実用的なプログラミングを、第4部では「鶴亀算」を例にさらに本格的なプログラミングをそれぞれ解説している。

 ある程度実用性の感じられるサンプル・プログラムの作成を例にとって、VB.NETプログラミングの基礎を鋭意解説している点が特徴である。画面操作の解説は、徹底して画面イメージの流れを見せるという体裁ではなく、文字ベースの解説と要所の画面イメージを組み合わせるというスタイルであるが、読みにくさはそれほど感じさせない。

 随所に配置されたイラストは、小中学校の教科書を思わせるが、内容は決して子供だましではない。分かりにくい概念を直感的に理解してもらうという目的は達成している。サンプル・コードの紹介も最低限に抑えられているので、コード・アレルギーがあるという初心者にはうってつけの1冊だろう。

 

■ゼロからスタートVisual Basic.NET 超入門
難易度:★★

川口輝久 著
毎日コミュニケーションズ発行
B5版 239ページ
ISBN4-8399-1011-1
2,200円

 「ひと目でわかるVisual Basic .NET入門」と同じく、画面操作(オールカラー)+解説といったスタイルを基本とする入門書。ただし「ひと目〜」に比べると情報量も多く、サンプル・コードを基に、ある程度踏み込んでプログラミングの解説を行っている。

 本書では、第1章「さあプログラミングをはじめよう」で開発環境の使用法やフォーム、コントロールの基礎、コードの記述方法とコンパイル&実行方法までのひと通りをざっと眺めた後、2章以後でVB.NETプログラミングを詳しく解説するという構成になっている。このプログラミング解説では、画面操作だけでなく、VB.NETの言語仕様やその使い方を適宜図版などを織り交ぜながら丁寧に解説している。サンプル・コードの紹介では、要所部分に引き出し線を付けてポイントが述べられており、ある程度まとまったコードを俯瞰する力も身につく。

 最初の敷居は低いが、到達目標は相応に高い。これ1冊で、VB.NETプログラミングの基礎を理解し、後はVB.NETのヘルプを鋭意参照しながら、必要に応じてリファレンス的に本書を参照するといった使い方ができるだろう。

 

■すんなり覚えるVisual Basic.NET入門
難易度:★★★

浅川歩美 著
九天社発行
B5版変形 291ページ
ISBN4-901676-47-4
2,200円

 開発環境の基本操作からVB.NET言語の基礎、フォームとコントロールの使い方、デバッグ方法を解説するというアプローチは他書と同じだが、画面イメージを多用した操作の流れを中心に据えるのではなく、本文での解説を中心に、必要に応じて要所の画面を見せるという伝統的スタイルのプログラミング入門書。ただし、だからといって、技術解説やサンプル・コードの紹介などに注力した上級者向けというわけではなく、中心は操作手順だが、画面イメージではなく、文字ベースで手順を解説している。全体は2色刷である。

 「予備知識」(ちょっとしたヒントやテクニックの解説)、「ココでつまずく」(間違いやすいポイントの解説)などの囲み記事を鋭意配置しながら、初心者プログラマをリードしている。プログラミング学習の各ステップを章に割り当て、平易な解説がなされているが、前述したとおり、操作手順が文字ベースなので、Windowsの操作に不慣れな人にとってはイメージがつかみにくいかもしれない。

 

■Visual Basic. NETではじめるWindowsプログラミング
難易度:★★★★

池谷京子 著
ナツメ社発行
B5版変形 319ページ
ISBN4-8163-3365-7
2,000円

 ほかの4冊は、これまでにまったくVisual Basicプログラミングの経験を持たない初心者を読者対象としているのに対し、こうした初心者だけでなく、前バージョンであるVisual Basic 6.0(以下VB6)のユーザーも読者対象としているのが本書の特徴である。

 開発環境の解説からプロジェクトの作成法、コントロールの使用法、プログラム・コード作成法を順次解説するというアプローチはほかの入門書と共通している。2色刷ではあるが、画面イメージを多用しながら、操作方法を解説するという手法をとっている。

 前述したとおり、本書の特色は、「VB6からのアップグレード」という章を設けていることだ。ここでは、VB6からの変更点、VB6プログラムのVB.NETへのアップグレードなどが解説されている。すでにVB6を使用したプログラミング経験があったり、VB.NETに移行させたい既存のプログラムなどがある人にとっては役立つだろう。

 各章の最後には練習問題が用意されており、その章で学習したことをセルフチェックできるようにしている。また節ごとに学習時間が提示されており、おおよその学習時間をあらかじめ分かるようにしているのも特徴的だ。End of Article

 
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