連載

C#入門

第1回 はじめて触れるC#

(株)ピーデー
川俣 晶
2001/02/27


もう1つのHello World!

 プログラム言語入門としては掟破りなのだが、実はもう1つ、Hello World!の作り方がある。C#のコードを1行も書かないで実現してしまうものなので、これはあくまでオマケとして紹介したい。特に、上の例がイマイチ分からないVisual Basicプログラマにも、「ほほう。分かった」と言える方法である。

 まず、プロジェクトを新規作成するのは同じだが、その際に、[コンソール アプリケーション]ではなく、[Windows アプリケーション]を選ぶ。もちろん、これは、普通のGUI操作のウィンドウを使用するテンプレートである。

もう1つのHello World!のためのプロジェクト
C#のコードを1行も書かないでHello World!プログラムを作成するには、[テンプレート]として[Windowsアプリケーション]を選択する。
  今度は[コンソール アプリケーション]ではなく、[Windowsアプリケーション]を選択する。

 これで下記のように、空のフォームが生成される。これには“Form1.cs”というファイル名が付いているが、拡張子が“cs”であることからも分かるとおり、これはC#のソースコードである。しかしVS.NETではC#ソースファイルをフォームとしてデザインすることもできるのである。このあたりは、Visual Basicと事情は一緒である。そして、フォームの左側の[ツール・ボックス]を開き、[Label]をクリックする。ツール・ボックスに並んでいるのはフォームに貼り付けることができるGUIパーツなどであり、[Label]はその名のとおり、フォームに貼り付ける文字列を意味する。

空のフォーム
[Windowsアプリケーション]テンプレートを選択してプロジェクトを作成すると、このように空のフォームが生成される。VB感覚で、ここにコントロールを配置することができる。
  生成された空のフォーム。
  フォームに配置可能なツールを一覧したツール・ボックス。フォームに文字を表示したければ、この[Label]をクリックしてフォームにLabelコントロールを貼り付ける。

 [Label]をクリックしたら、そのまま、フォーム上でマウスをドラッグする。するとドラッグした範囲にLabelコントロールが貼り付く。

フォームにLabelコントロールを貼り付けたところ
左のツール・ボックスで[Label]をクリックし、フォーム上でマウスをドラッグすると、ドラッグした領域にLabelコントロールが貼り付く。
  フォームに貼り付けられたLabelコントロール

 貼り付いたとき、このLabelコントロールが選択状態になっている。この選択状態を解除しないように、他の場所でクリックしないように注意しながら、視線をウィンドウ右下の[プロパティ]へ向ける。ここの[Text]というプロパティ項目の右側の“Label1”という文字列がLabelコントロールで表示される文字列なので、ここを“Hello World!”に書き換える。

Labelコントロールのプロパティを変更する
Labelコントロールをフォームに貼り付けたら、右下にある[プロパティ]の[Text]項目の右にある“Label1”という文字列を“Hello World!”に変更する。これにより、フォーム上のラベルとして“Hello World!”が表示されるようになる。
  Labelコントロールを選択した状態で、この[Text]の右にある文字列を変更すれば、それがラベル上に表示される。

 実はもうこれでできがあがり。[ビルド]メニューの[ビルド]を選び、ビルドしてから、[F5]キーを押して実行することができる。実行結果は以下のようなものになる。

もう1つのHello World!の実行結果
コードを1行も追加しなくても、フォームとラベルを利用することで、Hello World!プログラムを作成することができた。

 なお、これを実現するためのC#ソースコードの主要部分は以下のような感じになっている。これはすべて自動生成されたものである。

今回生成されたコードの主要部分
今回自動生成されたC#のコードの主要部分。
  今回、自分では1行もコードを書いていないが、必要なコードはVS.NETが自動生成してくれる。これは生成されたコードの主要部分である。

まとめ

 今回は、第1回ということもあって、「C#に触れてみる」というテーマの内容とした。実際に“Hello World!”のサンプル2題を通じて、C#がC言語的にも、Visual Basic的にも扱える、間口の広い言語であることは分かっていただけたと思う。だが、C#はただ単に間口の広い言語というだけではない。プログラム言語として面白い特徴がいろいろある。次回からはそれを解説していきたいと思っている。

 それでは次回もLet's See Sharp!End of Article


 INDEX
  C#入門 第1回 初めて触れるC#
    1.この連載で目指すこと
    2.C#とは何か?
    3. C#でHello World!
  4. もう1つのHello World!
 
「C#入門」


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