.NET TIPS [ASP.NET]DataGridコントロールで大量のデータをページ表示するには?デジタルアドバンテージ2003/10/17 |
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簡単なイベント・ハンドラの記述でページ表示が可能となるページング機能は、DataGridコントロールの便利な機能の1つだ。この機能により、一覧表示するデータが多い場合にでも、クライアントへのデータの転送量を減らし、グリッド表示にかかるクライアントの負荷を軽減することができる(ページング機能の使用方法については「TIPS:[ASP.NET]DataGridコントロールでページ表示するには?」や「TIPS:[ASP.NET]DataGridコントロールでページ番号によりページ移動を行うには?」で解説している)。
ページング機能の制約
ただし、このページング機能には、実際にグリッドで表示している行が全データの一部分であっても、そのDataGridコントロールのデータソースには常に全データを設定しておかなければならないという制約がある。全データの量がそれほど多くない場合には、この制約はほとんど問題とはならないし、データソースに全データがセットされているからこそDataGridコントロールは全ページ数を算出でき、新しいページ番号を指定するだけでそのページに対応したデータを表示することができる。
しかし、全ページ数が数十ページ、数百ページに渡るような巨大なデータソースを扱う場合、その全データをサーバ側で維持するためにサーバのリソースを大量に消費することになる。ポストバックが発生した場合にも全データを準備しておくためには、通常はページのSessionプロパティにその全データを保存したり、そうでなければ、毎回データベースなどからデータを取得するといった処理が必要となるためである。
DataGridコントロールのカスタム・ページング機能
このような巨大なデータソースを扱う場合を想定して、DataGridコントロールには「カスタム・ページング」と呼ばれる機能が用意されている。このページングは、常に全データをデータソースとして用意する必要はなく、ユーザーにより指定されたページに必要なデータのみをデータソースに設定してページ表示を行うための仕組みを提供する。
ただし当然ながら、この機能を利用するには、指定されたページに対応した部分のデータだけを取得できるようなデータソースでなければならない。それがデータベースであれば、問い合わせ条件にマッチしたデータのうち20件目から10件だけを取得するといった処理が可能でなければならない。加えて、あらかじめデータソースとなるデータの全データ数が取得可能でなければならい。この2つの条件を満たすようなデータソースであれば、カスタム・ページング機能を利用して効率的なページ表示が可能となる。
カスタム・ページング機能の実装手順
カスタム・ページング機能を使用するにはまず、通常のページング機能の使用に必要なAllowPaging="true"属性に加えて、AllowCustomPaging="true"属性を<asp:DataGrid>タグで指定する。この属性を指定した記述例は次のようになる。
<asp:DataGrid id="MyGrid"
AllowPaging="true"
AllowCustomPaging="true"
OnPageIndexChanged="MyGrid_Paging"
AutoGenerateColumns="false"
runat="server">
……
</asp:DataGrid>
次に、予測される全データの数をDataGridオブジェクトのVirtualItemCountプロパティに設定する。この値はタグ内で属性としては記述できない。1ページに表示するデータ数は<asp:DataGrid>タグのPageSize属性か、プログラム・コードからはDataGridオブジェクトのPageSizeプロパティにより指定できる(デフォルトは10)。この2つの値から、DataGridコントロールは全ページ数を知ることができ、ページ移動のためのリンクボタンを作成できるようになる。
ページ移動の際には、新しいページのインデックス番号に基づいて1ページ分のデータをデータソースに設定し、データ連結を行えばよい。
カスタム・ページング機能を使用したサンプル・プログラム
ここでは、カスタム・ページング機能を利用して次のような画面のサンプル・プログラムを作成してみた。これはグリッドを使ってカレンダーを表示する。ページ移動ボタンで表示する月を選択することができる。
カスタム・ページング機能を利用したサンプル・プログラム(custompg.aspx)の実行画面 |
このサンプル・プログラムはカレンダーになっており、ページ移動ボタンで表示する月を選択することができる。 |
プログラムではデータソースとなる1年間分のデータをあらかじめ作成するのではなく、表示されようとしている月に応じて、1カ月分のデータだけを作成するようにしている。例えば「10」がクリックされた場合、10月は31日あるので、このプログラムでは31個のDataTime構造体(System名前空間)のインスタンスを作成し、それをデータソースに設定する。
DataGridコントロールの正当な使い方とはいえないかもしれないが、カスタム・ページング機能の使用例とはなるだろう。このプログラムのソース・コードは次のようになっている。
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カスタム・ページング機能を利用したC#のサンプル・プログラム(custompg.aspx) | |
プログラムでは、実行した月のカレンダーが最初に表示されるようにしている。なお、VirtualItemCountプロパティやPageSizeプロパティの設定が初回アクセス時のみで問題ないのは、これらの値がビューステートに保存されるためである。
また、JapaneseCalendarクラス(System.Globalization名前空間)のGetDaysInMonthメソッドは、パラメータで指定した月の日数を取得するためのものである。このクラスはうるう年にも対応している。
カテゴリ:Webフォーム 処理対象:DataGridコントロール 使用ライブラリ:DataGridコントロール 使用ライブラリ:DataTime構造体(System名前空間) 使用ライブラリ:JapaneseCalendarクラス(System.Globalization名前空間) 関連TIPS:[ASP.NET]DataGridコントロールでページ表示するには? 関連TIPS:[ASP.NET]DataGridコントロールでページ番号によりページ移動を行うには? |
「.NET TIPS」 |
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