フレッシュマン企画 連載
簡単!Visual Studio 2008入門

第2回 Visual Studio 2008の基礎を知る

デジタルアドバンテージ 一色 政彦
2009/05/20
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VS 2008のコーディング環境であるIDE画面のデフォルトの構成

 前回のプロジェクトを開くと、次のようなウィンドウ構成のIDE画面が表示される。

VS 2008のコーディング環境であるIDE画面のウィンドウ構成
前回作成したプロジェクトを開いたところ。IDE画面の基本的な部品については、前回解説済みなので、ここではさらにコーディングのための部品について説明する。
  前回は「編集画面」と説明したが、より詳しく説明すると、この画面例で表示されているのは[Windows フォーム デザイナ]画面(詳細後述)である。
  「Windowsフォーム」。コーディング作業では、このフォーム上にボタンやテキストボックスといったコントロールを配置していく。
  タブをクリックすると、[スタート ページ]画面や[Windows フォーム デザイナ]画面(この例では「Form1.cs [デザイン]」と表示されている)などに、編集画面を切り替えられる。
  [▼]をクリックすると、編集画面領域で現在開かれているファイル(=使用中のファイル)がリスト表示されるので、そこから表示・編集したいものを選ぶことで編集画面を切り替えられる。開いているファイル(=使用中のファイル)が多くなってきた場合に便利。
  編集画面内の1つのウィンドウが閉じられる。
  [ソリューション エクスプローラ]ウィンドウ。ソリューション、プロジェクト、ソース・ファイルなどを管理するためのウィンドウ。後ほど詳しく解説する。

 VS 2008を使うには、取りあえず、IDE画面のこれらのウィンドウを覚えておく必要がある。なおVS 2008のIDEには、このほかにも多くの種類のウィンドウがあるが、一度にすべてを覚えるのは大変だ。よって、これら以外のウィンドウについては必要に応じて解説することにする。

 次に記すように、これらのウィンドウの表示は、簡単にカスタマイズすることができる。

IDE画面のカスタマイズ

 先ほど示したIDE画面の構成はデフォルトのものだが、開発を行っていく際には、ほかにもさまざまなウィンドウを活用する。

 ここでは、よく使うウィンドウの1つである[プロパティ]ウィンドウを新たに表示した例を画面で示そう。これを表示するには、IDEのメニュー・バーから[表示]−[プロパティ ウィンドウ]を選択すればよい。

IDE画面での(デフォルト以外の)任意のウィンドウの表示
VS 2008のIDEでは、必要なときに必要なウィンドウだけを自由に表示させることができる。例えば[プロパティ]ウィンドウを表示させたい場合には、IDEのメニュー・バーから[表示]−[プロパティ ウィンドウ]を選択すればよい。
  [プロパティ]ウィンドウ。Windowsフォーム・デザイナ画面にあるフォームや、その上に配置したコントロールのプロパティを設定するためのウィンドウである。なおプロパティとは、フォームやコントロールの属性情報(例えば、色、位置、名前など)のことである。
  タブでウィンドウを切り替えられる。なお、画面のタブにある[ダイナミック ヘルプ]とは、名前のとおり、作業中の内容に応じて表示項目をダイナミックに切り替えてヘルプ・インデックスを自動表示するウィンドウで、ここに表示されていない場合はメニュー・バーから[ヘルプ]−[ダイナミック ヘルプ]を選択すれば表示できる。

 また、IDE画面内のウィンドウの表示や位置を自由にカスタマイズすることもできる。次の画面はその例だ。

IDE画面の表示や位置のカスタマイズ
IDE画面内のウィンドウの表示や位置をカスタマイズしているところ。
  タブ(画面の例では、「ツールボックス」タブ)をクリックすると、隠れているウィンドウが表示される。フォーカスが別のウィンドウに移ると、表示中のウィンドウは自動的に隠れる。
  ウィンドウ・タイトルのピンを解除状態( )にすると、ウィンドウが自動的に隠れるようになる。
  ウィンドウ・タイトルのピンを設定状態( )にすると、ウィンドウ位置が固定されて常に見えるようになる。
  ウィンドウ・タイトルの を押すと、ウィンドウが閉じられる。閉じられたウィンドウを再度表示するには、メニュー・バーの[表示]の中から、該当するウィンドウの項目を選択しなければならない。
  ウィンドウをドラッグ&ドロップで移動させることで、フローティング状態の独立した別ウィンドウとして表示することができる。
  ウィンドウをドラッグ&ドロップで移動させて配置換えできる。また、フローティング状態のウィンドウを再びIDEにドッキングさせることもできる。
のようなボックスの上にドラッグ&ドロップすると、目的の場所へ正確にドッキングできる。

 上の画面のようにカスタマイズしたウィンドウの配置は、いつでも初期の状態に戻すことができる。それには、.NET TIPS「Visual Studioのウィンドウ配置をリセットするには?」を参照していただきたい。

 それでは、IDE画面のウィンドウ操作ができるようになったところで、このIDE画面の中で最も重要なウィンドウである「ソリューション・エクスプローラ」について説明しよう。

ソリューション・エクスプローラの内容

 VS 2008では、ソリューション・エクスプローラからソリューション全体(およびプロジェクト全体)を管理するようになっている。よって、VS 2008 IDEを使ったプログラミングでは、すべて、このソリューション・エクスプローラが起点となる。

 ソリューション・エクスプローラは、ソリューション、プロジェクト、ソース・ファイルなどを階層的に管理する。この階層化されたVS 2008ソリューションの構造は、先に紹介したファイル・システムの物理構造とほぼ同じである。次の画面は、その両者を並べて比べたものである。

ソリューション・エクスプローラとプロジェクト・フォルダの対比
左右に画面が並んでいるが、左の画面が前掲した「プロジェクト・フォルダ」で、右の画面がVS 2008のIDE画面の[ソリューション エクスプローラ]ウィンドウである。両者の階層構造やファイルなどはほぼ同じになっている。
  [プロパティ]ボタン。このボタンをクリックすると、[プロパティ]ウィンドウがアクティブになる。
  [すべてのファイルを表示]ボタン(このボタンはONとOFFの状態を持つ)。コーディング時に参照が不要な項目は、デフォルトで非表示になっているが、このボタンをONにするとプロジェクトに含まれるすべてのファイルが表示できる。画面の例では、ボタンをONにしているので、 などの項目が表示されている。これらの項目を再び非表示に戻すには、このボタンをOFFにすればよい。
  [最新の情報に更新]ボタン。ソリューション内の項目表示をリフレッシュする。
  [コードの表示]ボタン。このボタンをクリックすると、Windowsフォーム・デザイナがコード・エディタに切り替わり、ソース・ファイルのコードが表示される(詳細後述)。
  [デザイナの表示]ボタン。このボタンをクリックすると、Windowsフォーム・デザイナでソース・ファイルに対応したWindowsフォームが表示される。
  [クラス ダイアグラムで表示]ボタン。このボタンをクリックすると、ソース・コード内のクラスがクラス・ダイアグラム(図)として表示される(関連.NET TIPS「Visual Studio 2008でクラス図を画像出力するには?」)。ここでは詳細は割愛。
  ソリューション
  プロジェクト。VBの場合、アイコンは になる。
  Propertiesフォルダ。VS 2008のプロジェクト設定のデータ内容が保存されるフォルダ。C#では「Properties」というフォルダ名になるが、VBでは「My Project」というフォルダ名になる。
  参照設定。プロジェクトで使用する外部のライブラリなどへの参照設定が格納されているフォルダ。取りあえず現段階ではまだ理解する必要はない。
  隠しフォルダ。プログラムが出力される「bin」フォルダとVS 2008が利用する「obj」フォルダ。これらのフォルダはコーディング時には意識する必要はないので、デフォルトで非表示になっている。[すべてのファイルを表示]ボタンをONにすることで表示される。
  Windowsフォームを含むソース・ファイル。コーディングでは、このソース・ファイルを編集する。Windowsフォームは、Windowsフォーム・デザイナ画面で編集できる(詳細後述)。C#の場合の拡張子は「.cs」で、VBの場合の拡張子は「.vb」である。
  Windowsフォームのデザイン部分を定義するソース・ファイル。Windowsフォームのレイアウトやコントロールの位置などの情報がコードとして格納されている。拡張子は「.Designer.cs」(C#)もしくは「.Designer.vb」(VB)と「.resx」である。C#ではデフォルトでは表示になっている。VBでは非表示の隠しファイルになっているが、[すべてのファイルを表示]ボタンをONにすることで表示される。このファイルはIDEがWindowsフォームのデザイン部分を管理するためのものなので、開発者が直接編集することは基本的にない。
  ソース・ファイル。VBの場合、アイコンは になる。コーディングでは、このソース・ファイルを編集する。C#の場合の拡張子は「.cs」で、VBの場合の拡張子は「.vb」である。

 上の画面を見て、前掲の「[新しいプロジェクト]ダイアログの設定内容とソリューション・フォルダの中身」の画面をもう一度見直すと、プロジェクトの新規作成時の設定内容とソリューション・エクスプローラ内のプロジェクト構造の対応関係も同時に理解できるだろう(ここではあらためてこの対応関係を明示しない。もしよく分からない場合はもう一度前掲の画面に戻って見直してほしい)。

 なお、ソリューション・エクスプローラに表示されるアイコンやボタンなどは、ここで説明したものがすべてではないが、取りあえず最初はこれだけのものを理解しておけば十分である。

 それでは、VS 2008におけるプログラミング作業の司令塔であるこのソリューション・エクスプローラから出発して、VS 2008でのコーディング方法について見ていこう。


 INDEX
  [フレッシュマン企画 連載]簡単!Visual Studio 2008入門
  第2回 Visual Studio 2008の基礎を知る
    1.既存プロジェクトを開く
    2.ソリューションとプロジェクトの違い
  3.IDE画面の構成とソリューション・エクスプローラ
    4.Windowsフォーム・デザイナとコード・エディタ

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