連載

.NETで簡単XML

第1回 XML超入門

株式会社ピーデー 川俣 晶
2003/02/13

Page1 Page2 Page3 Page4

プログラマーにとって重要度を増すXML

 XMLは、いま、ひたひたとプログラマーの近くに忍び寄っているのである。「XML? そんなの知らないよ。XML Webサービスもやらないし、関係ないよ」と思っている場合ではないのである。XMLは着実にプログラマーに近づいて来ているのである。そんな馬鹿なと思ったVisual Studio .NET(以下VS.NET)プログラマーは試しに以下のような実験をしてみるとよいだろう。まず、C#のWindowsアプリケーションのプロジェクトを作成してほしい。C#の代わりにVisual Basic .NETを使っても同じような結果が得られる。そして、プロジェクトを作成したフォルダを見てみよう。

 では、このフォルダにある拡張子が「.resx」のファイルをテキスト・エディタで開いてみる。

<?xml version="1.0" encoding="utf-8" ?>
<root>
    <xsd:schema id="root" xmlns="" xmlns:xsd="http://www.w3.org/2001/XMLSchema" xmlns:msdata="urn:schemas-microsoft-com:xml-msdata">
        <xsd:element name="root" msdata:IsDataSet="true">
            <xsd:complexType>
(以下略)
拡張子が「.resx」のファイル

 次は、拡張子が「.csproj」のファイルだ。

<VisualStudioProject>
    <CSHARP
        ProjectType = "Local"
        ProductVersion = "7.0.9466"
        SchemaVersion = "1.0"
        ProjectGuid = "{749287C7-A384-4057-A076-B148CB5E3C15}"
    >
        <Build>
(以下略)
拡張子が「.csproj」のファイル

 さらに、拡張子が「.csproj.user」のファイルも見てみよう。

<VisualStudioProject>
    <CSHARP
        ProjectType = "Local"
        ProductVersion = "7.0.9466"
        SchemaVersion = "1.0"
        ProjectGuid = "{749287C7-A384-4057-A076-B148CB5E3C15}"
    >
        <Build>
(以下略)
拡張子が「.csproj.user」のファイル

 これらはすべてXML文書である。つまり、VS.NETを使ってプログラミングを行っていると、XMLなど関係ないと思っていても、いつの間にか大量のXML文書がハードディスクに作られていくわけである。「このファイルを直接読み書きするわけじゃない。自動的に作られるものだから、XMLなど知らなくても問題ないじゃないか」と思う人もいるだろう。それはある意味で正しい。しかし、情報を保存するためにXML文書を利用するのは、VS.NETだけに限った特徴ではない。かつて、Windows用のプログラムが情報を保存するには.iniファイルという単純なテキスト・ファイルを使っていた。その後、これはより高度な構造を持つレジストリに取って代わられた。だが、たった1つのレジストリにあらゆるプログラムの情報を保存していると、どんどんレジストリが肥大化していく弊害があった。いまでは、XML文書にさまざまな情報を保存するのがトレンドである。そのため、プログラムを作成する際に、XML文書に情報を保存することが求められる可能性もある。

 このようなトレンドは、決してVS.NETやWindowsの世界に限定されたものではない。例えば、ソース・コードをビルドするためのAntというツールがある。これはJavaで記述されたプログラムだが、ビルドするルールを記述するファイルをXML文書として記述する。さまざまな分野で、XMLはプログラマーに迫りつつあるといえるだろう。もう逃げたり無視したりする時期ではない。いまここで、少しだけXMLを学んでみようではないか。

 

 INDEX
  .NETで簡単XML
  第1回 XML超入門
  1.プログラマーにとって重要度を増すXML
    2.簡単なXML文書
    3.ネストする要素、属性、空要素、コメント、XML宣言
    4.XMLにおける名前空間
 
インデックス・ページヘ  「連載 :.NETで簡単XML」


Insider.NET フォーラム 新着記事
  • 第2回 簡潔なコーディングのために (2017/7/26)
     ラムダ式で記述できるメンバの増加、throw式、out変数、タプルなど、C# 7には以前よりもコードを簡潔に記述できるような機能が導入されている
  • 第1回 Visual Studio Codeデバッグの基礎知識 (2017/7/21)
     Node.jsプログラムをデバッグしながら、Visual Studio Codeに統合されているデバッグ機能の基本の「キ」をマスターしよう
  • 第1回 明瞭なコーディングのために (2017/7/19)
     C# 7で追加された新機能の中から、「数値リテラル構文の改善」と「ローカル関数」を紹介する。これらは分かりやすいコードを記述するのに使える
  • Presentation Translator (2017/7/18)
     Presentation TranslatorはPowerPoint用のアドイン。プレゼンテーション時の字幕の付加や、多言語での質疑応答、スライドの翻訳を行える
@ITメールマガジン 新着情報やスタッフのコラムがメールで届きます(無料)

注目のテーマ

Insider.NET 記事ランキング

本日 月間