第9回 読者アンケート結果
現場に見る.NET開発の浸透状況とは? ―

小柴豊
@IT マーケティングサービス担当
2004/01/14


 Microsoft .NET(以下.NET)構想が発表されてから、昨年で3年が経過した。石の上にも何とやらで、3年という時間は、1つのアクティビティの浸透度/成否を測るタイミングの目安である。では果たして、.NETプラットフォームは開発の現場にどの程度根付いたのだろうか? 昨年末に@IT Insider.NETフォーラムで実施した第9回読者調査の結果から、その状況をレポートしよう。

.NET開発への取り組み状況は?

 はじめに、読者が.NET環境によるソフトウェア開発に、どのように取り組んでいるか聞いた結果が図1だ。現在の業務で.NET開発を実施しているのは、「多くの.NET対応ソフトウェアを開発している」「最近取り組むようになった」を合わせて、全体の33%となった。

図1 .NETソフトウェアの開発状況(N=546)

 最近の取り組み比率の高さからは、3年を経てようやく.NET開発が机上のコンセプトから現場のシステムに降りてきたことが実感できる。

開発している.NETソフトの種類は?

 続いて、読者が現在開発している(予定/検討含む).NET対応ソフトウェアの種類を聞いたところ、以下の3項目に、回答が集中している(図2)。

  • クライアント/サーバシステム(C/S)用のWindowsアプリケーション(C/S用Winアプリ)

  • イントラネットなどの社内Webシステム(社内Webシステム)

  • スタンドアロンのデスクトップWindowsアプリケーション(デスクトップWinアプリ)

 現段階では、XML Webサービスを使った先端的なシステムよりも、Visual Basic(以下VB)やASPといった既存のマイクロソフト技術の延長線上で.NET開発が進められるケースが多いようだ。

図2 開発中/開発予定の.NETソフトウェアの種類(N=546 複数回答)

.NETプラットフォームの選択理由とは?

 ところで、開発者がソフトウェア開発のプラットフォームに.NETを選択する理由とは何なのだろうか? 現在.NET開発にかかわっている読者に尋ねたところ、該当者のおよそ3人に2人が「Visual Studio .NET(VS .NET)の開発生産性が高いから」と答えている(図3)。近年のソフトウェア開発は、その構造が複雑化すると同時に開発期間は短期化しており、デベロッパの置かれる環境はますますシビアなものとなっている。そんな中、Visual Studioが培ってきたGUIオペレーションやIntelliSenseといった生産性向上技術が、開発者の高い支持を得ているもようだ。

図3 .NETプラットフォームの選択理由(.NET開発者 N=181 複数回答)

 ただし、ほかのプラットフォームもこの状況を黙って見過ごしているわけではない。.NETとともに現代のソフトウェア開発技術をリードするJava陣営からは、GUIベースの開発フレームワーク「JSF(JavaServer Faces)」が発表された。2004年には、JSFを実装した“VBライクな”Java開発環境が多くのベンダから提供される見込みだ。このチャレンジに対して、VS .NETがいままでどおりの優位性を保てるかどうかは、今後の.NET開発の進展を左右する大きな分岐点となりそうだ。

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.NET開発ツールの使用状況は?

 さて、次に.NET対応ソフトウェアの開発ツールについて、読者の使用状況を見てみよう。現状では、マイクロソフトの最新RADツール「VS .NET 2003」が最も多く使用されており、旧バージョンの「同2002」がそれに続いている(図4の青棒)。また今後の使用予定/検討状況でも、VS.NET 2003のポイントがほかを大きくリードしている(図4の黄棒)。

図4 .NET開発ツールの使用状況(N=546 複数回答)

 .NET開発ツールも「Borland C# Builder」やフリーな統合開発環境である「ASP.NET WebMatrix」「SharpDevelop」など、広がりを見せているが、VS.NETの評価が突出しているためか、開発者の選択肢にはあまり反映されていないようだ。

.NET開発に関する情報ニーズとは?

 最後に、.NET環境によるソフトウェア開発を行ううえで、現在読者がどのような情報に興味があるのか、そのニーズを聞いてみた。図5のとおり興味項目の上位を見ると、.NET開発予定/検討者を中心に「.NET全体の概論/入門や VS.NETの基礎的な使用方法」の人気が高いほか、「.NETによるWeb/Windowsアプリケーション開発事例」「.NET Frameworkクラス・ライブラリの詳細解説」といった、実践的な情報へのニーズが高いようだ。

図5 .NET開発についての情報ニーズ(N=546 複数回答)

 またちょっと異色な点として、「オブジェクト指向(OO)分析/設計/実装による.NETシステム構築」への興味度の高さが注目される。先述したように、VS.NETを使用した実装面での生産性の高さが.NETの特徴ではあるが、短期化が進む現代のソフトウェア開発では、プロジェクト全体の生産性を向上させる必要性が高まっている。そのためには、オブジェクト指向で分析/設計を進めることで、モデルとコードをシームレスに連携することが有効となるだろう。この領域は、マイクロソフト1社のソリューションでカバーするのが難しいため、上流工程に関するノウハウやツールを持つサードパーティとの連携/共同が、今後ますます求められそうだ。End of Article

調査概要
調査方法
Insider.NETコーナーからリンクしたWebアンケート
調査期間
2003年11月14日〜12月5日
有効回答数
546件
 
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事例研究
.NET開発 事例研究
基礎解説
初めてのMicrosoft .NET
解説
インサイド .NET Framework[改訂版]
Trend Interview
ボーランドの.NET戦略(上流設計支援でMSをリード。Java、.NET環境の融合を目指す)
 
 「Insider.NET 読者調査結果」


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