特集:最新Windows Azure(2012年6月)概説

開発者は“Meet Windows Azure”で何と出会ったか

株式会社 pnop 亀渕 景司
2012/06/12

 米国時間で2012年6月8日13時、アメリカのサンフランシスコにてWindows Azureに関するイベント「Meet Windows Azure」が開催された。

図1 Meet Windows Azure(http://www.meetwindowsazure.com/)

 イベントでは、マイクロソフトのCorporate Vice Presidentであり、Windows Azureの開発プラットフォーム責任者でもあるScott Guthrie(スコット・ガスリー)氏が、Windows Azureの新機能とアップデートについてデモを交えて紹介した。

 Meet Windows Azureイベント・ページにてオンデマンドでKeynote(=基調講演)の様子を視聴できる。

 また同イベントに先駆け、Windows Azureの公式サイトや公式Blogでは多数の情報が公開さている(下記のリンクはその例)。

 今回のアップデートは大規模で多岐に渡るため、詳細については割愛させていただき、主に開発者に関連すると思われる項目のみを挙げておきたい。

Windows Azure Webサイト(Web Sites)

 Windows Azure Webサイトはマイクロソフトが管理するマルチテナントなインスタンス上でWebアプリケーションを動作させるための共用型サービスだ(現在はPreview版として提供)。

 Windows Azure Webサイトでは、ASP.NET/PHP/Node.jsで開発されたアプリケーションを動作させることができる。従来のWebロールとの違いは、動作環境が専用のインスタンスではなく、複数の利用者(アプリケーション)が動作するインスタンス上で、マルチテナントの一員として動作する点だ。アプリケーションそのものも、Team Foundation Server(以降、TFS)やWeb配置ツール(Web Deploy) のほかにもGitやFTPを使用し、開発スタイルに合った展開(=Deploy)を行える。

 またギャラリーから「WordPress」などのアプリケーション・パッケージを選択することで、10秒程度でサイトを作成・公開できるようになった。

Windows Azure仮想マシン(Virtual Machines)

 カスタマイズされたOSイメージが含まれた仮想ハード・ディスク(VHD)をWindows Azure上で動作させることができるサービスが追加された(現在はPreview版として提供)。

 利用者が作成するVHDだけでなく、Windows Azure上ですでに存在するテンプレートを使用することで簡単にインスタンスを展開できる。特筆すべきは、

  • CentOS
  • OpenSUSE
  • SUSE Linux Enterprise Server
  • Ubuntu

といったLinuxも選択できることや、VHDイメージを永続化できることなど、IaaSとしての機能を持った点だ。

Windows Azureキャッシュ(Caching)

 従来の「Cache Service(共用型分散キャッシュ)」だけでなく、各インスタンス上で動作するインメモリのテナント型分散キャッシュ機能が追加された(現在はPreview版として提供)。

 .NET以外からの利用も簡単にできるようにmemcached互換プロトコルもサポートされている。

SDKとツール

 .NET/Node.js/PHP/Java/Python向けにWindows Azureストレージ(Storage)などにアクセスするためのクライアント・ライブラリが追加・更新された。管理用のコマンドライン・ツールもPowerShell用をはじめWindows/Mac/Linux上で動作するものが提供された。

 各項目の詳細や、本稿で取り上げていない更新については、公式サイト公式Blog(本家の英語版はこちら)を参照されたい。

 開発者にとっては、Windows/Mac/LinuxなどのOSプラットフォームを問わず、自分たちが使い慣れた開発環境とツール/開発言語をより自由に使えること(具体的には図2のページを参照)、特にWindows 8やVisual Studio 2012 RC版(=リリース候補版)といった最新の環境でもWindows Azure開発が行える点をうれしく思うだろう。また各種ツールがApache v2ライセンスにてGitHubに公開されているところも安心感がある。

図2 Windows Azureで公式提供されるツール
日本語で表示されている場合は、このような内容にはならない可能性がある。その場合は、左下にある言語切り替えで「English (United States)」を選択すればよい。

 もちろんコーディングそのものだけでなく、GitやTFS、FTP、WebDeployを使用して分散開発と継続的インテグレーションの一環にWindows Azureへの展開も含めることができる。

 新しく追加されたWebサイトを使えば、どちらかといえばIaaS(OS)に近いPaaSだったWindows AzureをよりPaaSらしく利用することも可能だ。一般的なWebアプリケーションをそのままスケールさせることもでき、しかも格段に素早い展開が行える。

 開発者の裾野を広げるだけでなく、それぞれの現場で必要とされていた要求が満たせるようになったともいえる。

 またIT Proは、仮想マシンや仮想ネットワーク(Virtual Network)をはじめ、幅広くWindows Azureの構成を行えるようになった。そこにはOSの違いやオンプレミスからの移行だけでなく、コマンドライン・ツールによるインフラ管理の自動化や、そもそも必要となるインフラ管理を最小限にしたWebサイトの利用も視野に入れることができるはずだ。これらの機能をうまく活用することでより適切なソリューションを実現できるだろう。

 いずれにせよ、これまでの機能に比べ、開発者は実現したいアプリケーションやソリューションに対し、柔軟にシステムを構成することができ、かつ関心を分離することが可能になった。

 “Meet Windows Azure”でScott Guthrie氏も述べていたように、2012年6月8日以降はこれらの新しいWindows Azureの機能を活用し、インフラではなくアプリケーションそのものに注視すべきだろう。まだまだPreview版とはいえ、必要となるインフラはそこにそろっているのだから。end of article



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