特集
Visual Studio .NETベータ2 オーバービュー

1.Visual Studio .NETの概要

槙邑 恭介
2001/09/06

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VS .NET ベータ2の動作環境

 製品版のVS .NETでは、Professional、Enterprise Developer、Enterprise Architectという3つのエディションが用意される(マイクロソフトのニュース・リリース)。Enterprise Architectでは、Windows 2000 ServerやSQL Server 2000といった、開発時に必要なサーバ・アプリケーションの開発者バージョンが含まれるのに加えて、ソフトウェア・モデリング・ツール、データベース・モデリング・ツールなどが含まれる。現在配布されているベータ2はEnterprise Developerに相当するものだが、発表されている製品の機能に含まれるすべてのツールは含まれていないようだ。

 VS .NETの主な動作環境は、次のとおりである。

デバイス・OS 必要となる動作環境
CPU Pentium II クラス 450 MHz (Pentium III クラス 600 MHz 以上推奨)
メモリ 最低96Mbytes、推奨128Mbytes以上(Windows 2000 Professional)
最低192Mbytes、推奨256Mbytes(Windows 2000 Server)
ディスク容量 500Mbytes(システム ドライブ)
2.5Gbytes(インストールドライブ)
OS Windows 2000/Windows XP ベータ2/Windows NT 4.0
Visual Studio .NETベータ2の動作環境

 CPUとしてPentium III 600MHz以上が要求されるのはなんとか納得できる範囲内であろうが(まだ開発途中のバージョンなので、速度に関しては特に最適化されていないであろうし、最近の処理系は機能が増えて「重く」なっているから)、最低128Mbytesのメモリでも動作するというのは、やや少なすぎるような印象を受ける。VS .NETをインストールし、SQL Serverもインストールして、さらにWebアプリケーションをデバッグするといった場合は、IIS 5.0とともにASP .NETのエンジンなども同時に実行することになるので、メモリは充分な容量を用意したいところだ。また、動作OSとしてWindows XP ベータ2がリストアップされているが、ひととおり操作した範囲では、Windows XP RC1でも動作するようだ。

 また、VS .NETのインストールでは、システムドライブにインストールされるファイルが多いため、システムドライブの空き容量にも注意する必要がある。

Visual Studio. NETベータ2のインストール画面
インストールする内容がツリー表示される。ベータ2で選択できるプログラミング言語は「Visual Basic .NET」と「Visual C++ .NET」、「Visual C# .NET」の3種類である。
  インストールする項目をここから選択する。
  選択中の項目のインストール先などを設定する。
  現在選択している項目に関する説明。
  インストール先ドライブに関する情報。

 VS .NET PDC Tech Preview版をインストール可能なOSはWindows 2000 Serverに限定されていたが、次のBeta1では、これに加えWindows 2000 ProfessionalやWindows NT 4.0、Windows 9x/Me上でも動作するようにされた。しかし今回のベータ2では、動作環境がWindows NT 4.0、Windows 2000、Windows XPというNTベースのOSに限定されている。これはエディションの違いによるものと思われる(前述したとおり、ベータ2では、Enterprise Developerに相当するエディションが提供されている)。製品版での動作環境がどのようになるのか興味深いところだが、VS .NETの機能をフルに利用するなら、NTベースのOSを利用する必要があるだろう。

Visual Studio .NETの統合開発環境

 VS .NETは、Visual C++、Visual Basic、Visual FoxPro(FoxProは日本では未発売のデータベース製品)の3つがパッケージングされた統合開発環境である。Visual InterDevが含まれていないのは、VS .NETではASP .NETを用いたWebアプリケーションの作成がどのプログラミング言語からでも行えるため、あえて製品として独立したものを用意する必要がなくなったためである。このように、VS .NETは、従来と同様のWin32アプリケーション開発環境から、.NETによる分散アプリケーション環境までのすべてのアプリケーション開発をサポートする開発環境となっている。.NET構想を実現する開発ツールとして注目されているVS .NETだが、それと同時にローカル・マシン上で動作するWindowsアプリケーションを作成する開発ツールのバージョンアップにもなっている。この点を考慮すると、分散環境とは無縁のWindowsプログラマにとっても、そのバージョンアップの内容は気になるところである。特にVisual Basicについては言語仕様の変更などもあって、既存のコードの互換性なども心配である。


 INDEX
  [特集]Visual Studio .NETベータ2 オーバービュー
  1.Visual Studio .NETの概要
    2.統合開発環境の概要
    3.作成可能なプロジェクト
    4.Windows FormsとWeb Forms
    5.Visual C++でのアプリケーション作成の変化
    6.Visual Basicでのアプリケーション作成の変化
    7.Webアプリケーション開発環境として見たVS .NETとC#


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