Visual Studio .NETによるチーム開発事始め

効率のよいソース管理を実現しよう

デジタルアドバンテージ
2004/03/10
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4. 次期VS.NET“Whidbey”と同時リリースされる次期VSSの新機能

 コード名“Whidbey”で知られる次期VS.NETで、ソース管理ツールVSSもついにアップグレードされる予定だ。VSSはVisual Studio 6.0の時代からメジャー・バージョン・アップされてこなかった。本来ならば、Microsoft .NETに対応したVS.NET 2002が登場した段階でバージョン・アップされるべきだったが、細かな修正と機能追加にとどまり、バージョンは「6.0c」へのマイナー・アップグレード(つまり6.0→6.0c)だった。この状況はVS.NET 2003でも変わらず、「6.0d」へのマイナー・アップグレードになった。

 このため、VSSはVS.NETの機能に完全には対応していない。例えば、VS.NETではアプリケーション構成などを保存するファイルにUTF-8文字コードのXMLファイルを扱うが、VSSはこのUTF-8文字コードに対応していない。このようなVS.NETの基本機能にすら対応していないので、VS.NETユーザーにとってVSSのバージョン・アップは急務であるといえる。そのバージョン・アップがやっと“Whidbey”で行われるのだ。

 “Whidbey”でのVSSの主な新機能は、先ほど述べたUTF-8(Unicode)文字コードのサポートとWebサービスのプロジェクトへの対応が挙げられる。これらに対応することによって、Webサービス/UTF-8文字コードのXMLドキュメントなどを使った今日的なビジネス・ソフト開発でも問題なくソース管理されたチーム開発ができるようになるだろう。

 そのほかにも、処理の高速化などのパフォーマンスの改善や、非同期操作の実現といったスケーラビリティの向上も図られる。これにより、大規模なプロジェクトでもより迅速に作業を遂行できるようになり、またソース管理のための通信がしばらく続くような場合でも非同期で作業できるので生産性を落とさずに済むようになる。

 また、HTTPS経由でのファイアウォール越しのリモート・アクセスができるようになる。この機能が実装されることで、インターネットを使って世界のどこの開発チームとでも共同作業できるようになる。近年増えてきている、海外の開発チームと連携しながらチーム開発を行う「オフショア開発」(例えば、日本の開発チームとインドの開発チームで共同開発するような場合)でもVSSが便利に利用できるようになるだろう(なお現在でも、米SourceGear社の「SourceOffSite」を使うことで、インターネット環境でのソース管理が実現可能だ。詳しくは、SourceOffSite日本語版の開発元であるグレープシティのサイトをご覧いただきたい。なお、トライアル版もあるので興味がある読者は一度試してみるのもよいだろう)。

 VSSのユーザー・インターフェイスも改良される予定だ。例えば、ヘルプ画面がVS.NETと同じ形式のヘルプになる。マージ用のダイアログ(「Visual SourceSafeを使いこなす」の[データベース内のバージョン を ローカル バージョン にマージ]ダイアログを参照)はユーザー・インターフェイスが改善され、UTF-8(Unicode)ファイルを表示したり、マージしたりできるようになる。[共有ファイルの指定]ダイアログもサイズ変更できるようになるため、ダイアログを広く表示すればプロジェクトのツリー表示も見やすくなるだろう。

 ちなみに、VSS以外の“Whidbey”の新しい機能をチーム開発という視点で見ると、本連載の始めに紹介したAPIドキュメント(XMLドキュメント・コメント)も注目に値する。XMLドキュメント・コメントは、現在のVS.NETではC#でしか利用できなかったが、これがやっとVisual Basic .NETでも利用できるようになるのだ。これにより、VS.NETのチーム開発は、Visual Basic .NETでもC#のどちらの言語を使っても、チーム開発上のメリットは何ら変わらないようになっていくだろう。

 これらの“Whidbey”で追加/改善される機能については、MSDN「Visual Studio ロードマップ 2004-2005」が詳しい。なお、ここで記述した“Whidbey”の新しい機能は、あくまで実装される可能性が高いというだけで、必ずしも実際の製品に組み込まれるという保証はないのでご注意願いたい(Microsoftの公式の見解ではない)。

 これでVSSの連載は終了である。このVSSの連載が皆様のチーム開発に役立てれば、筆者としてはこの上ない喜びである。なお、これからもこの「Visual Studio .NETによるチーム開発事始め」でチーム開発に役立つ情報を提供していく予定である。次の記事の公開日はまだ未定だが、次回もご期待いただきたい。End of Article

 

 INDEX
  Visual Studio .NETによるチーム開発事始め
  効率のよいソース管理を実現しよう
    1.バッチ処理ファイルによる自動処理
    2.VS.NET 2003の新機能「ソリューション・ルート」
    3.ピン設定および共有/分岐について
  4.次期VS.NET“Whidbey”と同時リリースされる次期VSSの新機能
 
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