連載:Team Foundation Server 2008の下流工程への適用

第1回 チーム開発環境を無理なく導入するには?

アバナード株式会社 安藤 大祐(Microsoft MVP 2008 for Team System)
2008/10/28
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 「Team Foundation Server」(以降、TFS)をご存じだろうか? TFSは、マイクロソフトが提供するチーム開発環境「Visual Studio Team System 2005/2008」(以降VSTS)の中核となるサーバ製品で、バージョン管理(ソース管理)、作業項目(タスク)管理、バグ管理、自動ビルドなどの機能、さらにプロジェクト管理者向けにプロジェクト管理機能やレポーティング機能などを提供する。

 これら機能によって、チーム開発であるがゆえに発生する手間のかかる作業が自動化されて効率化されるだけでなく、チーム開発だからこそ起こり得る問題も軽減できる。厳しい開発スケジュールの中で、開発途上で発生する変化へ迅速に適応しながら、安定した品質を確保し続けるためには、このような機能が不可欠である。

 筆者が勤めているアバナード株式会社では、開発のプラットフォームとして日常的にTFSが利用されている。それゆえ、導入事例やナレッジがグローバル・レベル(世界各地)で蓄積されており、筆者もさまざまな開発プロジェクトに対し幾度もTFSを導入してきている。TFSへの理解が深まるたびに思うことは、TFSほど開発プロジェクトに大きな価値を提供するツールがあるかということである。TFSを導入しない理由などないといい切れるほどだ。本連載を通じて、TFSの素晴らしさを少しでも読者の皆さんに伝えることができればと思う。そして、実際に開発の現場で役に立てていただければ本望である。

Team Foundation Serverの現状

Team Foundation Serverがなかなか浸透しない理由

 2006年の3月、Visual Studio 2005(以降VS 2005)向けに最初のバージョンのTFSが登場してからすでに2年半以上が経過し、今年の初めにはそれまでのフィードバックを基にさらに改修されたVisual Studio 2008(以降VS 2008)バージョンがリリースされている。さらに、次期バージョンである、コードネーム“Rosario”もその姿がはっきりと見えてきている。

 このようにTFSは順調に進化しているものの、(国内の)実際の開発現場では、さほど利用が進んでいないという印象を筆者は持っている。つまり、チーム開発には不可欠にもかかわらず、導入は進んでいないのだ。

 筆者は、このような状況になってしまった根本的な原因は、以下の2点に集約されると考えている。

  1. TFSが提供している機能や目的を誤解/曲解している(動機付けの問題)

  2. 実際のプロジェクトにどのように導入していけばよいのか分からない(方法の問題)

 これらの問題が「導入の壁」として存在するうえに、さらに高額な初期導入コストまでがかさむのだから、なかなか導入が進まないはずだ。

 確かに、TFSを含むVSTS製品群は非常に高価であることは間違いない。しかし、上記の問題を解決しつつ、実際の開発現場でTFSを「正しく・効果的」に利用すれば、そのような高額な初期導入コストに十分見合う効果を発揮してくれる。

 そこで本連載では、高額な初期導入コストは「投資対効果」で解決可能であることを明らかにしたうえで、「正しく・効果的」に利用するためのノウハウを紹介していきたいと思う。

 第1回では、動機付けの問題、つまり「なぜTFSが必要なのか」「費用対効果の問題」「実際の現場に導入するためのポイント」について解説しよう。本論に入る前に、まずはTFSの機能の概要を示す。

本連載では、執筆時点の最新バージョンであるTFS 2008 SP1を前提に説明する。従って、「TFS」のようにバージョンが明記されていない場合は上記バージョンとする。


 INDEX
  [連載] Team Foundation Server 2008の下流工程への適用
  第1回 チーム開発環境を無理なく導入するには?
  1.Team Foundation Serverの実際
    2.Team Foundation Serverの機能概要
    3.費用は高額だが、得られる効果は?
    4.導入へのファースト・ステップ

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