IT Business Review
第1回 読者調査結果発表

小柴豊
アットマーク・アイティ マーケティングサービス担当
2000/9/30

 IT Business Review フォーラムでは、7月から8月にかけて、第1回目の読者調査を実施した。ここではその主な結果を紹介しよう。

■ IT ビジネス手法導入状況/予定

 図1はさまざまなITビジネス手法について、IT Business Review 読者が勤務先で「実際に導入しているもの(横軸)」「今後導入を予定・検討しているもの(縦軸)」をプロットしたものである。結果から言えることは、KM(ナレッジ・マネジメント)とEC(電子商取引)が、「現在の導入率/今後の導入意向」ともに他の手法をリードしていることが分かる。またCRM(カスタマー・リレーションシップ・マネジメント)とSCM(サプライチェーン・マネジメント)を対比させると、現在の導入状況はほぼ同じであるが、今後の意向ではCRMのポイントが高い。「顧客との関係作り」と「供給サイド間の関係作り」を比べたら、まずは「顧客の囲い込み」が優先ということなのだろうか。

図1 ITビジネス手法の導入状況と今後の導入予定

■ KM(ナレッジ・マネジメント)の導入目的

 今度は、図1のプロットで関心の高かったKMについて、その導入目的を見てみよう。まず、現在導入済みと答えた人の中では、KMの基本的効用である「社内文書や外部データベースの集積と有効活用」が多く挙げられた。一方、今後KMの導入を予定していると答えた人の中では、基本効用と同時に「クレームや問合せ情報等の集約(KB:ナレッジ・ベース)と顧客サポートなどへの利用」「企業内ポータルサイトの構築による生産性の向上」といった、より発展的な用途も注目されているようだ。

図2 KM(ナレッジ・マネジメント)の導入目的

■ ASP:今後の注目はグループウェアなどの情報系サービス

 次に昨年来注目されている、ホスティング/ハウジングやASP等のネットワーク・アウトソーシングについて見ていこう。これらのサービスを現在導入している人の利用用途の内訳は、「メール/ウェブ等のホスティング/ハウジング・サービス」が最も多く、「ECサイト構築支援系ASP」がそれに続いている。

  一方、今後の導入予定者の中では、特に「グループウェアなど情報系ASP」への興味が高まっている。しかし、その反面、ワープロなどオフィス・アプリケーション系ASPを検討する人は少なく、同じASPといってもアプリケーションの内容によって、その受容性には大きな差が見られる。

図3 ネットワーク・アウトソーシングの導入状況と今後の導入意向

■  TCO削減効果の説得力が、プロバイダ選定の鍵握る

 次に、前述のサービス利用者/利用意向者に対して、サービス・プロバイダの選定時に重視するポイントを3つまで選択してもらった結果を見てみよう(図4)。

  現段階では、「価格」が何より重視されていることが一目瞭然である。ホスティングにしろ、ASPにしろ、自社内で導入・運用する場合に比べてどれだけのコスト/TCOが削減できるかを明示することが「選ばれるプロバイダ」になるための第一条件といえそうだ。

図4 プロバイダ選択の際に重視するポイント

 また「価格」以外の要因では、僅差ながら「ASPアプリケーションの自社向けカスタマイズへの対応力」が他をリードしているのは興味深い点である。ERPの日本国内導入障壁として「欧米ではパッケージに会社のシステムを合わせるが、日本では会社にパッケージを合わせなければならない」と言われているが、ASPにおいても同様のことが言えそうだ。つまり、外資系アプリケーション・ベンダーが日本のASP市場に参入する場合に必要なことは、単なるローカライズではなく、綿密な市場の事前調査と適切なカスタマイズが重要となるだろう。

調査概要
調査方法:IT Business Review サイトからリンクした Webアンケート
調査期間:2000年8月18日〜9月8日
有効回答数:97件

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