eソリューションの現場から

「ニッセンオンライン」ECサイト構築の軌跡(前編)

 



 

1.経験ゼロからのスタート


株式会社ニッセン 情報システム部 方式設計課 課長 大丸洋一氏

 インターネット開発に本格的に取り組もうとしたのが1999年11月でした。ちょうど2000年問題の作業が終盤を迎え時間がまったくない中で、2000年の年明けにインターネットシステムを稼働させるべく動き始めました。非常に限られた「時間」「人」「費用」で、スキルゼロの素人集団が本格インターネットサイト実現に取り組み始めたのです。

 当時(まだ1年前なのですが)は、まだインターネットシステムの安定した技術が確立されていない時期でした。この中で、われわれはすべてにおいて「標準(スタンダード)」製品を採用することに決めていました。これはいままでの会社の姿勢であり、「標準な技術」には「価格的魅力」、「技術的成長」が期待できるというのがその理由です。

 すべての項目に関して数日間で情報を集め、提案および決定をくだす必要がありました。また、その情報は今後の予測ができるワールドワイドなものが要求されていました。そこで、協力会社各社さまに情報提供をお願いする傍ら、われわれはインターネットを活用して、情報を収集し、まとめあげることにしました。

 これは、インターネットの利便性と普及に飛躍的な進歩を感じていたからです。さらに、システム構築自体にかけられる日数が短いことから、「迅速」で「品質の高い」ものを作り上げるためにはどうするべきか考え続けていました。

開発言語はインターネット標準のJavaを選択

 まず検討したのは開発言語でした。ある程度の複雑な処理を実現させられる言語……今後世界の主流になるだろう言語……を選択しようと考えました。その結果、事実上「インターネットの世界標準」言語であるとともに、以下の3つの理由からJavaで開発することを提案し決定に至りました。

インフラ環境(プラットフォームおよびブラウザ)に左右されないアプリケーションであること
アプリケーションは継続した利用ができ、資産となり得ること
部品アプリケーションの購入ができ、開発をせずに構築が可能になること

 この原稿を執筆中の現在も私たちは開発作業を継続していますが、近い将来には部品の組み替えと市販部品からシステムが構築可能になると判断しています。この対応はより迅速なシステム構築を可能にし、コストパフォーマンスを最大にできるからです。

インターネット基盤ツール決定の基準となった3つの要素

 次に、実際の仕組みを、どのようなインフラ上で構築するかの選択をいたしました。この決定が、現在および将来において優位性を保つうえで大きな選択でした。

 先にも述べましたが、当時はまだツールも十分にそろっておらず、米国でも安定したものがありませんでした。その中での決定は選択肢が少なかったのですが、逆に集中した調査ができたという点で良かったかもしれません。

 ここでは次の3点を検討の要素としました。

1 シェアの優位性
2 迅速なアプリケーション開発の実現
3 安定したパフォーマンスの実現

(1)シェアの優位性
 シェアにこだわった理由は以下の3点です。

シェアの大きな製品を持つ企業は研究開発投資も大きく、技術および価格的に他社から抜きんでていることが期待できる
われわれが求めている「スタンダード」製品となることが期待できる
製品の延べ稼働時間が長く、最も早い時期に安定し、成熟することが期待できる

 これについては文句なくBEAのWebLogic Application Server(以下WebLogic)でした。IBMのWebSphere Application Serverが2位の位置におりましたが、WebSphereは出荷したばかりで、大きくシェアの差があいていました。シェアに関してはいろいろな見方があると思います。実際に各社から入手できる資料は実にさまざまなデータがありました。当時、われわれは技術の発展途上であるこのツールには、より安定性を求めることに重点を置きました。

 もちろん、意見の相違はあると思いますが、利用されている本数が多ければ多いほど把握できる問題と解決がなされている確率が高いことから「出荷本数」で見ることにしました。サイトの安定運用において、一番高い優先順位はシェアであると考えています。

(2)迅速なアプリケーション開発が可能であること
 「迅速」で「品質の高い」開発は、今回だけでなく、今後のインターネットにおける活動において重要なものだと推測されます。さらに、この段階で「基幹システムのプログラム」を部品として利用することで、開発作業を軽減し、高い品質を保ちつつ、最も簡単にリリースを図ることを考えていました。これが可能なのもWebLogic Serverでした。

 当社は幸いにも、すでに基幹システムのオープン化が完了しており、基幹システムのオンライン処理がBEAのTUXEDOで構築されていました。WebLogicはTUXEDOとの接続が容易なため、リアルタイム処理とパフォーマンスの維持を同時に手に入れることもできると確信しました。

(3)「安定したパフォーマンス」の実現
 一般のお客さまに向けたEコマース・サイトでは、サイトが重いとお客さまが寄り付かなくなることはご存じのことと思います。このため「絶対にパフォーマンスを維持できるシステムにする」ということを念頭に置きました。お客さまの持っておられるPCの能力に左右されることなくパフォーマンスが維持できるシステム。処理をすべてサーバ側で行い、お客さま側はできるだけ表示のみにする構築コンセプトを描きました。

 サーバ側で処理を行うことはアクセス数の増加とともにマシン負荷に対する速やかな対応、すなわちマシンの拡張性が簡単であることを選定の基準としました。これは初期リリース時に必要規模を正しく出すことができないために過剰投資となるのを避けるうえでも重要なポイントでした。つまり、小さく作り大きく育てよ!ということです。

 この点でもWebLogic ServerはWindows NT、UNIXなどの複数のOSに対応しており、マシン能力増強という「縦」の対応とクラスタ接続で台数を増やす「横」の対応が可能で、スケーラビリティの確保とともにコストパフォーマンスの面でも有利と判断しました。すべての基準で文句なくWebLogic Server製品が抜きんでていました。ところが、夢のツールであるゆえにWebLogic Server自身の価格が高いというネックがありました。選定の基準を変更することは成功がないことを意味します。根幹(必要基礎)の投資で妥協すれば、逆に大きな失敗が発生するところだったと思います。いまは会社の承認がいただけたことを心から感謝しております。

1/4 2.ファーストリリースへの歩み

 INDEX

「ニッセンオンライン」ECサイト構築の軌跡(前編)
1.経験ゼロからのスタート
  2.ファーストリリースへの歩み
  3.開発生産性向上への取り組み
  4.さらなる革新に向けて 




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