eソリューションの現場から

「ニッセンオンライン」ECサイト構築の軌跡(前編)



 

4.さらなる革新に向けて

 最終的に成功のかぎは技術ではなく、人だと思っています。全員の力を集中させることができなければ、成功までの道のりはとてつもなく遠いものです。現在の活動でメンバーとコンセンサスを取っていることは、活動の中心は開発を完了させることではなく、全体の生産性を向上させることであり、ほかのメンバーに感謝されること、としています。あくまで、依頼企画の開発は取り組んだ開発生産性向上策を検証するものです。

 管理の徹底は革新を拒み、貢献の奨励は革新を生むようです。管理のすべてを否定しているのではありませんが、行きすぎた管理は内部の枠にとらわれがちになります。サイト成功への貢献に目を向けた活動の方がメンバー個人個人で自分自身の活動を理解しやすく活発化するように感じています。徹底した管理をやめた結果、活動は自分の概念の外の世界のものを受け入れ、昨日とは違う何かを実行しようと活気に満ちたものになりました。すべての活動はいままでの概念で見ずに、それぞれの特性に合った尺度、新しいパラダイムとか貢献を基準に考えるように気を付けています。

 今回は、体制についても気を配り、できるだけ柔軟に多くの課題を同時に行う体制をとりました。現在はフラットな組織とプロジェクト形式で活動しています。情報の交換が活発で、すぐに必要最小限のメンバーが集まってプロジェクトに着手する体制を作っています。各個人の強みだけを見て、それを弱めるような定義をしないように注意しています。

 ITは、いかにメンバーに利用してもらえるかが成功を左右するポイントだと思います。使い続け、成熟するように、当社の開発インフラは以下の3つの階層に整理して整備しております。

1 中心には情報を置くこと
2 情報の周りに人が配置されること
3 円の外枠をITで囲うこと

(1)中心には情報を置くこと
 ここでいう情報は管理者のためのものではなく、開発者のためのものにしなくては意味をなしません。生産性、品質の管理数字が欲しくなるのが現実ですが、この数字を集めることは開発者の時間をもぎ取ってしまうことになります。あくまで、開発に集中させ、開発活動の一部から管理数字の把握と改善を確認することが私の役目と考えています。

(2)情報の周りに人が配置されること
 企画の実現活動で、人だけが柔軟に臨機応変に動ける唯一のリソースです。メンバーが集まったときに最も効果がでるように、1人+1人が3人の力になるように考えて活動しています。開発活動において、変化する情報を使いながら、プロジェクトを成功に導けるようにITがサポートします。メンバーの増減が与える生産性への影響は単純な比例ではないことを十分に意識した対策が必要です。

(3)円の外枠をITで囲うこと
 人を補助できるのが、ITとなります。メンバーがITを意識しないように配慮しなくては、生産性の向上が図れるどころか、逆効果になってしまいます。ITの運用は強要をすることでは長続きはしません、あくまで開発活動の一部として自然に活用できる配慮が必要です。

 また、ITと開発作業はできるだけ切り離せる位置に置くことも大切です。環境が変化しても開発に影響を与えない配慮が必要だと思います。現在のわれわれの環境はユーザーインターフェイスをイントラWeb画面がカバーしており、ツールはバックグラウンドで動作させています。従いまして、ツールの変化への影響は最小限だと思っています。

今後の課題
 開発のプロセス別分析の第2段階を実施しました。現在は、テスト時間の増大を確認しています。残念ながら作成した企画とプログラムが多くなり、修正・検証に時間がかかるようになっています。これは、企画が増加し続けている現状からさらに時間の増加が懸念されるところです。
 もう1つ、以前から検討している課題があります。開発体制の革新を行うことです。これは対応に時間がかかっても、絶対に達成させたい課題です。

(1)開発工程分析の第2段階
 プログラム開発自体が短くなった分、評価テストに時間がかかってきています。実現した企画が多ければ多いほど、小さな修正でも動作テストに多くの時間を費やすようになってきました。現在の課題として着手していることは、この時間の削減としてテストの自動化を行うことです。テスト方法の整備、テストデータの整備、ツール利用の検討を行っている最中です。

 もう1つテストで検討している課題は、ブラウザ単位の動作テスト策です。ブラウザの種類、バージョンが増えることにより、多くの動作テストが必要になります。いまのところ、この解決策は見つかっておらず、生産性を悪化させる要因となっています。

(2)開発体制の効率化
 開発コストを柔軟にするために、体制を検討しております。現在の開発活動は、当社に開発者に来ていただき、プログラム開発をしていただく方法で、これは委託するより数段速くできます。いままでの開発環境のノウハウがこの結果を生みだしました。しかしながら、企画量が大きくなると開発メンバーの手配に支障が出てきます。これは物理的な距離と時間に問題があるものです。東京から開発者に来ていただくことは、やはり現実的ではないのです。

 現在取り組んでいることは、生産性を落とさず、物理的な距離と時間を無視した開発方法を構築することです。物理的な移動時間とメンバーの制約を取り除けば、さらに現在よりも良い最適なコストパフォーマンスを維持できる体制をつくれると考えています。

最後にお伝えしたいこと

 われわれの活動はいまだ未熟なものですし、いっそう生産性を向上できる方向に進んでいきたいと考えています。そのためにも、当レポートを読まれた皆さま方に矛盾点、改善点を、ぜひご指摘、ご教授いただけたらと思います。願わくば、同業他社の皆さま方とお話をして、情報交換ができれば幸いです。BBSへのご連絡お待ちしております。

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 INDEX

「ニッセンオンライン」ECサイト構築の軌跡(前編)
  1.経験ゼロからのスタート
  2.ファーストリリースへの歩み
  3.開発生産性向上への取り組み
4.さらなる革新に向けて 




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