Ubuntu 7.10 日本語ローカライズド Desktop CD

〜Linuxデスクトップの可能性を感じさせる実力派〜

鶴長 鎮一
2007/12/18

Ubuntuのインストール

 インストールに先立ち、インストールISOイメージをダウンロードします。ダウンロード後、CD-Rなどのメディアに書き込み、インストールディスクを用意します。インストールメディアとしては、700MbytesのCD-RまたはCD-RWを用意します。650Mbytesには収まりませんが、パッケージの肥大化でDVD-ROMを必要とするディストリビューションが大勢を占める中、Ubuntuの簡潔さをうかがい知ることができます。

 LiveCDを兼ねたインストールメディアは、ハードウェア障害時などの緊急起動ディスクとしても使用可能です。LiveCD起動後、デスクトップメニュー「システム→システム管理」から「パーティションエディタ」を選択し、GPartedを起動することで、パーティション操作が可能になります。FATやNTFSも扱えるため、インストールに先立ち、Windows領域を縮小し、新たなパーティションを作成しておくことも可能ですが、パーティションのリサイズはGPartedを使用することなくUbuntuのインストール画面でも操作可能です。

 LiveCDを使用することで、ハードウェアの対応状況を把握することもできます。正常に起動すれば、「Human」と呼ばれる茶色とだいだい色が特徴的なデスクトップが現れます。さらにビデオカードが対応していれば、Compiz Fusionを利用した3Dデスクトップも楽しむことができます。

 一通り試用した後、インストールを実行するには、デスクトップに表示されている「インストール」アイコンをダブルクリックします。日本語ローカライズド Desktop CDを使用している限り、メニューの指示に従い入力を行えば、インストールを完了することができます。

 Windowsや他Linuxディストリビューションとのデュアルブートを実施する場合には、新たなパーティションを設けるなど、既存パーティションを上書きしないよう注意します。ブートローダにGRUBを使用していますが、UbuntuではハードディスクにインストールされたOSを検知し、デュアルブート環境を自動で構成します。またWindowsや他Linuxからのユーザー移行がサポートされており、ブックマークや壁紙などの設定をUbuntuに引き継ぐことができます。

 なおインストール終盤でセキュリティアップデートが行われるため、インターネットに接続しておくようにします。

インストール後の注意点

 インストールでは、rootアカウントのパスワードを設定する場面を見ることはありません。Ubuntuではrootアカウントでログインしたり、suすることができません。管理者権限が必要な場合はsudoを利用する必要があります。なおインストール時に作成したアカウントは、デフォルトでadminグループに属しているためsudoが利用可能です。

 Ubuntuの魅力の1つである「Compiz Fusion」を利用した3Dデスクトップは、ビデオカードが対応していれば、インストール時に自動でデバイスが構成され、デフォルトで有効になります。その過程で、ビデオカードドライバに非オープンソースドライバが必要な場合は、デスクトップに制限付きドライバの使用を確認する「Restricted drivers available」が表示されます。使用する場合はアイコンをクリックし、インストールを行います。

 デスクトップ切り替え時に表示されるおなじみのキューブ画面などの3D効果は、7.04まではデスクトップメニュー「システム→設定」から「デスクトップ効果」を選択し設定を行うことができました。しかし7.10では、デスクトップメニュー「システム→設定」から「外観の設定」を起動し「視覚効果」タブで設定を実行します。ただし選択できるのは「効果無し」「通常効果」「追加効果」だけです。3D効果やプラグインの調整などを行う場合は「compizconfig-settings-manager」を追加インストールし、設定します。

 後述するように、Ubuntuでは、用途に応じてAPTのGUIフロントエンドを数種類利用できますが、Synapticを利用する場合は(※注6)、デスクトップメニュー「システム→システム管理」から「Synapticパッケージ・マネージャ」を起動し、「compiz」をキーワードに検索を実行するなどし(画面2)、パッケージをオンラインインストールします。インストール後、「外観の設定」の「視覚効果」タブに「設定変更」が新たに設けられ、Compiz Fusionの詳細な設定を行うことができます(画面3)。

図1
画面2 Synapticでcompizconfig-settings-managerを追加インストール

図2
画面3 compizconfig-settings-managerを使ったCompiz Fusionの設定

注6:アプリケーションの追加と削除でcompizconfig-settings-managerをインストールする場合は、「Advanced Desktop Effect Settings」をリストから選択し、インストールします

 ネットワーク構成では、有線LANはもちろん、無線LANの組み込みも自動で行われます(画面4)。無線LANドライバなど、非オープンソースのドライバが必要な場合は、ビデオドライバ同様、制限付きドライバの使用を確認する「Restricted drivers available」が表示されます。使用する場合はアイコンをクリックし、インストールを行います。

図3
画面4 自動で検出される無線LAN環境

アイコン インストールされるデスクトップアプリケーション

 インストール完了後、LiveCD同様、茶色とだいだい色を基調にしたデスクトップが表示されます。インストールではパッケージ選択のような画面は存在しませんが、OpenOffice.orgやFirefoxをはじめ、デフォルトでデスクトップ用途に最適なアプリケーションがインストールされます。Ubuntu7.10の主なデスクトップアプリケーションは、表2のような構成で提供されています。

種類
アプリケーション
オフィススイート OpenOffice.org
Webブラウザ Firefox
メーラー Evolution
テキストエディタ gedit
グラフィックソフト GIMP
動画再生 Totem
オーディオプレーヤ Rhythmbox
表2 主要なデスクトップアプリケーション

 マルチメディアへの対応も行き届いており、iPodを接続すればオーディオプレーヤ「Rhythmbox」が立ち上がり、楽曲の一覧を表示することも、デスクトップへファイルをコピーすることも可能です。RhythmboxはiTunesを意識した作りになっており、他PCやMacのiTunesと、プレイリストを共有することも可能です。

 なお標準ではMP3もAACも再生できませんが、GStreamerプラグインを共有するTotemなどを使って、コーデックを自動的に検索させ、オンラインインストールすることで、再生が可能になります(画面5)(※注7)。

図4
画面5 自動で検索されるコーデック

関連記事:
参考 RhythmboxでMP3ファイルを再生するには
http://www.atmarkit.co.jp/flinux/rensai/linuxtips/a057rhythmbox.html

 動画などほかの未対応のメディアファイルでも同様に、再生時に適切なコーデックが自動検索され、必要に応じて組み込むことができます。また後ほど紹介するアプリケーションの追加と削除を使用して、GStreamerプラグインを手動でインストールすることもできます。

注7:Rhythmboxではコーデックの自動検索が行われないため、いったんiPod上のファイルをデスクトップへコピーし、ダブルクリックでTotemで再生させることで、コーデックが自動検索されます。TotemとRhythmboxはGStreamerプラグインを共有しており、この手順でコーデックを組み込めばMP3もACCもRhythmboxで再生が可能となります。

 オフィススイートはもちろん、他のアプリケーションでも、日本語ローカライズド Desktop CDを使用する限り、円滑に日本語の表示や入力が行えます(画面6)。日本語変換には「SCIM/Anthy」が用いられ、さらに手書き認識に「tomoe」、変換辞書管理に「kasumi」が組み込まれ、「半角/全角」キーまたは「Shift+スペース」で仮名漢字入力を行うことができます。文字エンコーディングにはUTF-8が使用されていますが、メーラーのように他プラットフォームとの互換性が必要なアプリケーションでは、文字エンコードの混在が考慮されています。

図4
画面6 日本語入力設定画面

 ほかにも数種類のパズルゲームやカードゲーム、システム設定ユーティリティといった必要十分なアプリケーションが用意されています。これらのアプリケーションがたった1枚のCDで提供されていることに、あらためて目を見張る思いです。

2/3

Index
Ubuntu 7.10 日本語ローカライズド Desktop CD
  Page 1
はじめに
Ubuntuの位置付け
 コラム Ubuntu Server
Ubuntuを使用する方法
  Page 2
Ubuntuのインストール
インストール後の注意点
デスクトップアプリケーション
  Page 3
パッケージ管理
そのほかの7.10の新機能
企業デスクトップユースとしての可能性
おわりに

Linux Squareプロダクトレビュー


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