Zend Studio 2.5 日本語版

リモートデバッグも可能なソースデバッグ機能

 PHPをソースコードレベルで1行ずつ実行するソースデバッグ機能は、2.0から変わっていない。ZDEは内部にPHPインタプリタを持っており、Webサーバ上でなくてもその場で実行/デバッグが可能だ。実行中の変数の表示/書き換えなども問題なく行えるが、条件付きブレークポイントはまだサポートされていない。将来の機能追加に期待したい。

 ZDEは前述のZend Debug Serverと組み合わせることにより、リモートのWebサーバ上で動作するPHPプログラムをソースレベルデバッグすることが可能だ。開発構成として、WebサーバはLinux上のApacheで、実際のサーバへアクセスするクライアントはWindowsのIEを想定するということは広く行われているが、Zend Studioはこの構成に実によくマッチする。

 クライアントのWindowsでZDEを立ち上げ、リモートのLinuxにはZend Debug Serverをインストールしておく。デバッグしたいPHPのURLをZDEで指定するだけで、ZDEは自動的にリモートのZendDebug Serverと通信を行いデバッグを開始する。実際のソースファイルがWindows側に存在しなくても、Zend Debug Server経由で必要に応じて転送される。

Zend Studioサーバの機能

 Zend Studioのサーバ部分にも簡単に触れておこう。Zend Server Centerは、Webサーバで動作するPHPの実行環境の設定を、Webからリモートで行えるツールだ(画面6)。 php.iniの内容がセクションごとにきれいに整理され、分かりやすく表示されている。ただし、このようにWeb UIで変更できるようになったといっても、変更した値を反映させるにはWebサーバの再起動が必要な点は変わらない。Zend Server Centerはそこまではサポートしておらず、再起動は手動で行う必要がある。その代わりといってはなんだが、値が変更されたにもかかわらず再起動がまだで動作環境に反映されていない項目は、マークが付いてはっきり分かるように考慮されている。

画面6 Zend Server Center(画像をクリックすると拡大表示します)

 Zend Information Centerは、Zend StudioそのものやPHP関数のオンラインマニュアルをHTML+JavaScriptで実現したものだ(画面7)。Windowsのヘルプなどと同様に、「目次」「キーワード」「検索」の3種類の手段で目的のトピックを探し出すことができる。http://www.php.net/manual/のオンラインマニュアルはかなりよくできている部類だと思うが、それがローカルにWebサーバなしで動作するのはうれしい。

画面7 Zend Information Center(画像をクリックすると拡大表示します)

手になじむにはあと一歩

 機能的には申し分ないZDEだが、不満な点がないわけではない。Javaで作成されているせいもあるだろうが、時折マウスでクリックしても反応しなくなることがある。しばらく待っていると復活するので、バックグラウンドでガベージコレクションでも走っているのかもしれない。

 また、Javaである点はGUIに特に影響を与えている。プラットフォーム固有のツールキットではないのは仕方ないとしても、スクロールバーの幅が狭くてとても使いづらい。UIデザイン的にはまだまだの感が否めず、インスペクタ領域の機能が増えたのはいいとして、ウィンドウタブが縦に5つも並ぶのは何とかならなかったのだろうか。

 エディタのキーマップを変更することは可能なのだが、機能的なものに限られており、カーソル移動の割り当て変更は一切不可である。つまり、いわゆるEmacsバインドなどに変更することはできない()。ただし外部エディタはサポートされており、ZDE以外でファイルが更新されるとそれを検知して再読み込みを促すダイアログを表示する。設定すれば、ダイアログを表示することなく自動的に再読み込みすることも可能である。

注:筆者はカーソルキーのないHappy Hacking Keyboardで普段作業しているので、これができるとできないとでは使い勝手が大きく違う(笑)。

 惜しいのは、ZDEは高機能な優れたツールだが、決してPHP入門者用ではないということだ。ZDE内で動作するPHPインタプリタの初期設定ファイルphp.iniはZend Studioのインストールディレクトリに無造作に置かれているだけで、中には最小限の記述しかない。拡張モジュールを独自に追加するなどの処理は、自分でテキストエディタを使用してphp.iniに修正を加えなければならない。これはある程度PHPを触ったことのある人でないと不可能だろう。

 また、PHP標準ライブラリとして定着しつつあるPEARがまったくインストールされていないことも残念だ。今回使用したZDE Windows版では、include_pathにC:\php4\pearが含まれている()ので、C:\php4\pearを作成してそこにPEARモジュールをインストールしていけば、当然ながら問題なく扱うことができる。

注:これは、Windows版PHPのデフォルトがそうなっているからかもしれないが。

試してみる価値はあるPHP開発環境

 PHPは初心者がとっつきやすい言語だといわれる。さらっと書いて簡単に実行できる手軽さこそが評判を呼んでいる要因だと思うが、それでも標準でデバッガが存在しないのは大きな弱点となっている。Zend Studioはその弱点を補い、開発効率の向上をもたらしてくれるであろう良いツールである。

 確かに5万4000円という価格は安いものではないが、PHPで本格的にWebアプリケーションを開発するのであれば、さほど高い投資ではないだろう。本家Zend社(http://www.zend.com/)からは、英語版ではあるがZend Studio 2.5の評価版をダウンロードできるので、興味を持ったなら一度自分で試してみてはいかがだろうか。

2/2

Index
Zend Studio 2.5 日本語版
  Page 1
Zend Studioの製品構成
強化されたIDE「ZDE」
  Page 2
リモートデバッグも可能なソースデバッグ機能
Zend Studioサーバの機能
手になじむにはあと一歩
試してみる価値はあるPHP開発環境

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