Linux Tips

カーネルの仮想化機能「KVM」を使うには

北浦訓行
2007/8/16

 KVM(Kernel-based Virtual Machine)は、バージョン2.6.20から組み込まれたカーネルの仮想マシン環境だ。Fedora 7でも、KVMを使用することができる。ここでは、Fedora 7でKVMを使用して、仮想マシンにWindows XPをインストールする方法を紹介する。

 KVMを使用するには、QEMUと仮想マシン管理ソフトのVirt-managerが必要となるため、以下のようにyumコマンドを実行して、必要なパッケージをインストールする。

# yum install kvm qemu virt-manager

 インストールが完了したら[アプリケーション]メニューの[システムツール]−[Virtual Machine Manager]を選択して、virt-managerを起動する。初回起動時には[接続を開く]ダイアログボックスが表示されるので、以下の画面のように[ハイパーバイザー]で[QEMU]を選択して、[接続]ボタンをクリックする。

[接続を開く]ダイアログボックス

 すると[仮想マシンマネージャ]ウィンドウが開くので、[新規]ボタンをクリックして仮想マシンを作成する。仮想マシンの作成はウィザード形式で行う。

 特に注意が必要なのは仮想化の方法だ。CPUアーキテクチャを選択する画面では、選択可能な場合には[カーネル/ハードウェア加速を有効にする]をオンにする。

[仮想化の方法を選択中]の画面

 次に、[インストールメディアの検索中]の画面で、インストールメディアやOSのタイプなどを選択する。以下の画面は、Windows XPをCD-ROMからインストールする例だ。なお、[OS種別]にはWindows Vistaも表示されるが、試しにVistaをインストールしようとするとブルースクリーンが表示されてインストールすることができなかった。

[インストールメディアの検索中]の画面

 次に、[ストレージ領域を割り当て中]の画面が表示される。ここでは[シンプルファイル]を選択した。なお、デフォルトでは[今、仮想ディスク全体を割り当てますか?]をオンにすると、指定したサイズのファイルが作成されるため、ここではこのオプションをオフにした。

[ストレージ領域を割り当て中]の画面

 後は、初期設定のまま画面を進めていけばいい。最後に[インストール準備完了]の画面が表示される。Windows XPのようにインストール中にシステムの再起動が必要なOSの場合、[インストールソース]の項目(ここでは/dev/scd0)の情報が必要になるので、メモを取っておく。

[インストール準備完了]の画面

 CD-ROMドライブにWindows XPのCD-ROMを入れて[インストール準備完了]画面の[完了]ボタンをクリックすると、[仮想マシンコンソール]ウィンドウが開き、Windows XPのインストール画面が表示される。

[仮想マシンコンソール]ウィンドウ

 試用環境では、キーボードを選択する画面で[半角/全角]キーが認識できなかった。そのため、[S]キーを押して、キーボードの一覧から[106 Japanese Keyboard (Including USB)]を選択した。

 インストール用のCD-ROMからファイルがコピーされると、システムが一度再起動する。そのとき仮想マシンが停止してしまうので、ツールバーの[実行]ボタンをクリックして仮想マシンを再度起動させる。

 仮想マシンが起動すると、「CD-ROMドライブにインストールメディアを挿入してください」という旨のメッセージが表示される。これは、仮想マシンの再起動により、CD-ROMドライブが認識されない状態になってしまうためだ。

インストールメディアの挿入を要求するメッセージ

 そこで、仮想マシンにCD-ROMドライブを認識させるために、QEMUのコンソールからCD-ROMデバイスを割り当てるためのコマンドを実行する。

 最初にGNOME端末を起動して、suコマンドでrootになる。そして、QEMUのコンソールを使用するためのscreenコマンドをインストールする。

# yum install kvm qemu virt-manager

 次に、lsofコマンドでQEMUのコンソールデバイスを調べる。

# lsof -c qemu-kvm | grep pts
qemu-kvm 8509 root 12u CHR 136,2 4 /dev/pts/2

 この例では「/dev/pts/2」がQEMUのコンソールデバイスだ。そこで、以下のコマンドを実行する。

# screen /dev/pts/2

 screenコマンドを実行すると画面がクリアされるので、[Enter]キーを押す。すると「(qemu)」というQEMUのプロンプトが表示される。

 ここで以下のコマンドを入力すると、CD-ROMドライブが有効になる。/dev/scd0という部分には、[インストール準備完了]の画面で表示された[インストールソース]のデバイス名を入力する。メモを取るのを忘れた場合は、mountコマンドでも表示される。

(qemu) change cdrom /dev/scd0

 QEMUのコンソールを終了するには、qコマンドを入力する。

(qemu) q

 これで仮想マシンにCD-ROMドライブが割り当てられ、インストールを続行することができる。

KVMの仮想マシン上で起動したWindows XP

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