DRBD+iSCSI夢の共演(前編)
 〜 Windowsドライブをミラーリング 〜


株式会社サードウェア
岩崎 登
2008/8/4


iSCSIターゲットの設定

 scsi-target-utilsには、設定管理ツール「tgtadm」コマンドが含まれている。tgtadmコマンドでは、ターゲットの作成、イニシエータの管理など、DRBDで構成されたブロックデバイスをIPネットワーク上に公開するための設定を一通り行うことができる。

 今回は、Windows環境のiSCSIイニシエータからプライマリサーバに接続するための最低限の設定として、以下の項目を設定する。

  1. iSCSIターゲットの作成
  2. ブロックデバイスをロジカルユニットとしてターゲットに登録
  3. アクセスを許可するイニシエータの設定

■iSCSIターゲットの作成

 iSCSIターゲット名にはユニークな名称を付けることが決められている。「iqn.<yyyy-mm>.<tld.domain.some.host>[:<identifier>]」のように、ルールに従ってターゲット名を付けることが推奨される。今回の例ではターゲット名を「iqn.2008-07.jp.hogehoge.drbdscsi:drbd0」とし、以下のようにコマンドを実行する。

# tgtadm --lld iscsi --op new --mode target --tid 0 --targetname \
iqn.2008-07.jp.hogehoge.drbdscsi:drbd0

 ターゲットが正常に作成されているかどうかを確認するには、以下のコマンドを実行する。ターゲット内の「LUN:0」(Logical Unit Number:0)には、あらかじめコントローラが設定されているので、ブロックデバイスの登録は「LUN1」からになる。

# tgtadm -lld iscsi -op show -mode target
Target 0: iqn.2008-07.jp.hogehoge.drbdscsi:drbd0
     System information:
          Driver: iscsi
          Status: running
     I_T nexus information:
     LUN information:
          LUN: 0
               Type: controller
               SCSI ID: deadbeaf0:0
               SCSI SN: beaf00
               Size: 0
               Backing store: No backing store
     Account information:
     ACL information:

■ブロックデバイスをロジカルユニットとしてターゲットに登録

 ターゲットの作成後、公開するパーティションをロジカルユニットとしてターゲットに登録する。ロジカルユニットは複数登録することができ、1つのターゲットで複数のパーティションを公開することができる。今回はDRBDで作成したブロックデバイス1つを、以下のコマンドでターゲットに登録する。

# tgtadm --lld iscsi --op new --mode logicalunit --tid 0 --lun 1 \
--backing-store /dev/drbd0

 登録されたロジカルユニットは、ターゲットの確認と同様の方法で行うことができる。LUN:1のBacking StoreにDRBDで構成したブロックデバイスが登録されていることが確認できる。

Target 0: iqn.2008-07.jp.hogehoge.drbdscsi:drbd0
     System information:
          Driver: iscsi
          Status: running
     I_T nexus information:
     LUN information:
          LUN: 0
               Type: controller
               SCSI ID: deadbeaf0:0
               SCSI SN: beaf00
               Size: 0
               Backing store: No backing store
          LUN: 1
               Type: disk
               SCSI ID: deadbeaf0:1
               SCSI SN: beaf01
               Size: 7G
               Backing store: /dev/drbd0
     Account information:
     ACL information:

■接続するイニシエータを登録する

 iSCSIターゲットの初期状態では、ターゲットにアクセスできるイニシエータが設定されていないため、アクセスができない状態となっている。イニシエータの登録は、IPアドレスまたはユーザー名で指定できるが、今回は、ターゲットにアクセスするイニシエータがインストールされているクライアントのIPアドレスを指定する。

# tgtadm --lld iscsi --op bind --mode target --tid 0 --initiator-address 192.168.0.133

 以上の設定で、DRBDで構成されたブロックデバイスをiSCSIを通してIPネットワークに公開することができる。

 前編では、DRBD、iSCSIともに最低限の環境設定を行ったが、後編ではさらに、Windows iSCSIイニシエータからのアクセス方法やDRBDのパフォーマンスチューニング、iSCSIのセキュリティに関する設定やディスク破損時のオペレーションなど、実際の運用にかかわる部分を解説する。

コラム■定期的なバックアップ、本当にそれでいいの?

 「重要なデータをいかにして守るか」というテーマは、コンピュータに8インチフロッピーが搭載されていたころから常に議論の的となってきた。

 重要なデータを手っ取り早く簡単に守る方法として最もポピュラーなのは「定期的なバックアップ」という、人的オペレーションによるデータの複製と保存だ。しかし、現実には、わざわざ時間をかけて複製し、保存した使用済みのデータのほとんどは、その後二度と開くことのない「大事そうだけど不要なデータ」になる。卒業アルバムのごとく、数年後に「こんな時期もあったなぁ」と思い出に浸る対象となっているのが実情だ。

 果たして、そんなデータは後生大事に取っておく価値があるのだろうか。本当に重要なデータといえるのだろうか。

 いいや! 本当に残っていてほしいデータ、「ああ、保存しとけばよかった!」と後悔するデータとは、5分前のデータであって、過去の遺物ではないはずだ。

 これを見ている読者の多くに、深夜、自分1人しかいない社内で「ぬぁっ!」という叫び声を上げ、誰のリアクションもないむなしい時間を、ただただ停止した画面を見ながら過ごした経験があるだろう。得てして、このどこぞのケンさんに経絡秘孔を突かれたような事態は、納期が近く、5分たりとも無駄にできない状況下で発生する。これが、ハードディスク自体の破損であった場合には、慣れ親しんだ[Ctrl]+[S]という技も無力だ。

 これに対するソリューションとして、RAIDによるミラーリングがある。万が一といわれるが頻発するハードディスクの破損に対し、同じハードディスクを同時に2台用意(ミラーリング)しておき、いざというときにはハードディスクを交換することで対応しようというものだ。しかし、たとえミラーリングを行っていても、作業を開始するまでにはハードディスクの差し替え、環境設定などの復旧作業が生じてなかなか思うようにならない。

 こんなときに思うのは、「同じコンピュータが2台あったら」ということである。同じものが2台あれば、席を移動するだけで作業がすぐに再開できる。

 これを実現するのがDRBDだ。DRBDは、通常のミラーリングとは違い、同じPCを2台、しかもリアルタイムに作ることができるテクノロジだ(*注)。作業停止時間を最小限にとどめながら、本当に重要なデータを利用できるようにするハイアベイラビリティな技術がオープンソースで実現できるということを考えると、8インチフロッピーの時代から比べると、つくづくいい時代になったものだと思わされる。

注:DRBDが搭載されていても、ミラー対象外の領域への変更はミラーリングされません

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Index
DRBD+iSCSI夢の共演(前編)
 Windowsドライブをミラーリングで保護
  Page 1
 ネットワークミラーリングを実現するDRBD
 IPネットワークストレージ「iSCSI」
 ミラーリング環境の構築
  Page 2
 DRBDの設定
 DRBDの起動とプライマリモードの設定
Page 3
 iSCSIターゲットの設定
 コラム 定期的なバックアップ、本当にそれでいいの?

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