DRBD+iSCSI夢の共演(後編)
 〜 OSの壁を越えたソリューション 〜


株式会社サードウェア
岩崎 登
2008/8/26


ボリュームの追加と削除

 iSCSIでは、1つのターゲットに複数のロジカルユニットを登録することができる。複数のロジカルユニットが登録されたターゲットにWindowsのiSCSIイニシエータからアクセスすると、登録されているユニットがすべて、1つ1つのドライブとして認識される。

 以下のコマンドでは「ターゲットID:0」の「LUN:2」に新規のパーティションを登録している。

# tgtadm --lld iscsi --mode logicalunit --op new --tid 0 --lun 2 --backing-store /dev/sda6

 ターゲットID:0には、LUN:1とLUN:2の2つのロジカルユニットが登録されたため、ターゲットID:0にアクセスしたイニシエータでは、2つのドライブが認識されることとなる。

 ターゲットからロジカルボリュームを削除する場合は、以下のコマンドを実行する。ただしロジカルボリュームを削除しても、保存されているデータまでは削除されない。削除したロジカルボリュームをターゲットに追加することで、再度利用することが可能だ。

# tgtadm --lld iscsi --mode logicalunit --op delete --tid 0 --lun 2

■イニシエータの追加と削除

 ターゲットには、複数のイニシエータを登録することができる。ここで注意しなければならないのは、iSCSIはその仕様上、複数のイニシエータから1つのロジカルボリュームを同時に使用できないことである。複数のイニシエータから同一のロジカルボリュームを使用する場合は、必ず、いったんログアウトしてんから別のイニシエータに切り替える必要がある。

・イニシエータの登録

# tgtadm --lld iscsi --mode target --op bind --tid 0 --initiator-address 192.168.0.133

・イニシエータの削除

# tgtadm --lld iscsi --mode target --op unbind --tid 0 --initiator-address 192.168.0.133

パフォーマンスを考慮したDRBDの設定

 前編で紹介したDRBDの設定は、パフォーマンスを考慮せず、ミラーリングに必要な最低限の設定となっている。しかし、DRBDにはさまざまなパフォーマンスチューニング用の設定が存在する。今回は、その中でも代表的かつ効果的な設定項目について解説したい。

 DRBDの設定ファイルは、/etc/drbd.confにテキストで記載されており、ViやEmacsなどのテキストエディタで編集する。設定ファイル編集後は、DRBDのサービスを再起動させるまで変更内容が適用されないことと、プライマリサーバ、セカンダリサーバともに同一の設定ファイルが必要になることに注意が必要だ。

■Protocol設定

 DRBDのミラーリングに関する動作は、このProtocol設定によって変化する。Protocol設定には、A、B、Cの3つのモードが用意されており、利用する環境に合わせて適切な設定を施すことでパフォーマンスの向上が期待できる。また逆に、パフォーマンスを犠牲にして信頼性を向上させることもできるため、使用目的に基づいて動作モードの選択を検討する必要がある。

動作モード 動作内容
Protocol A ローカルディスク、ローカルTCP送信バッファにデータを書き込んだ時点で、
ディスクへの書き込みが完了したと判断する。同期のチェックを行わない代わり
高速に動作するが、信頼性は低くなる
Protocol B ローカルディスク、リモートバッファキャッシュに書き込んだ時点でディスクへの
書き込みが終了したと判断する。セカンダリ側の書き込みバッファまで処理が
進んだことをチェックするため、Protocol Aに比べてパフォーマンスは低下するが、
信頼性は高くなる
Protocol C ローカルディスク、リモートディスク両方の書き込みが終了したことを確認した
時点で、ディスクへの書き込みが終了したと判断する。パフォーマンスは
全モード中最低ではあるが、すべての書き込みが終了したことをチェック
するため、信頼性は全モード中最高となる
表2 DRBDの動作モード

■rate設定

 DRBDでは、使用中に途中経路が切断した場合やディスク破損によりHDDを交換した際に、非同期でのミラーリング処理が行われる。プライマリ側はセカンダリとの通信が遮断されている間も使用し続けることができるため、セカンダリとの通信が復帰した段階では、双方のディスクの内容に誤差が生じている。

 この時、rate設定で指定した帯域を最大値として、非同期でのミラーリング作業を追従して行うようになっている。従って、rateの値が大きければ非同期でのミラーリング処理が高速になる半面、ミラーリング処理中のパフォーマンスは低下する。

 デフォルトの設定値は10MB/秒(10M)だが、K(KB/秒)、M(MB/秒)、G(GB/秒)という単位で任意に設定することができる。ただし、この値はあくまでもミラーリング速度の最大値であり、ネットワークカードの速度やディスクの書き込み速度など、サーバ本体の性能の範囲で動作することとなる。

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Index
DRBD+iSCSI夢の共演(後編)
 OSの壁を越えたソリューション
  Page 1
 Windows iSCSIイニシエータの準備
 管理ツール「tgtadm」
  Page 2
 ボリュームの追加と削除
 パフォーマンスを考慮したDRBDの設定
  Page 3
 HDDが破損した場合の対処
 再同期よりも作業の再開を優先したい場合は?
 OSの壁を越えたソリューション
 コラム 最強の敵「災害」からデータを守るには

Linux Square全記事インデックス


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