新たなユーザー体験をもたらすKDE 4.1(前編)
 〜 見た目も中身もすごいんです 〜

日本KDEユーザ会
2008/10/21


2通りの方法を選べるランチャー

 Plasmaでは、前述のとおり、アプリケーションを起動するための新しい方法を提供しています。Plasmaでのアプリケーション起動方法は、大きく分けて2つあります。

 1つは、いわゆるメニューに相当する「Kickoff」というPlasmoidを利用する方法。もう1つが、デスクトップ上で右クリックした際に表示されるメニューの「コマンドを実行」、もしくはAlt+F2で表示される「KRunner」を利用する方法です。それぞれ順に説明します。

・Kickoff

 Kickoffは、いままでのKDEでは「KMenu」と呼ばれていたメニューです。実は、従来型のメニューもPlasmoidとして提供されていますが、通常はデフォルトのKickoffが十分使いやすいと思います。Kickoffは、KMenuと同様にデスクトップ左端のKDEのアイコンをクリックすることで表示されます。

画面14
画面14 Kickoffランチャー

 Kickoffは、従来のツリー構造のメニューよりも、頻繁に使うアプリケーションへのアクセスを容易にすることを目指してデザインされているのが特徴です。

 Kickoffでは、「お気に入り(Favorites)」「アプリケーション(Applications)」「コンピュータ(Computer)」「最近使ったもの(Recently Used)」「終了(Leave)」がそれぞれタブとして表示されます。そしてKickoffを開いて最初に表示される「お気に入り」タブでは、頻繁にアクセスしているアプリケーションやファイルのリストが表示されます。

 また、カテゴリ分けされたアプリケーションのリストを表示する「アプリケーション」タブは、直前に起動したアプリケーションが所属しているカテゴリを選択して表示します。KDE 4.0では、直前に起動したカテゴリのアプリケーションリストが表示されましたが、それでは使いにくいと判断されたのか、カテゴリのリストで直前に起動したアプリケーションのカテゴリが選択されるまでにとどまっています。いずれにせよ、このメニュー表示により、よく使うアプリケーションの起動がスムーズになっています。

 また「コンピュータ」タブでは、リムーバブルディスクやハードディスクなどのストレージにアクセスするためのメニュー、「最近使ったもの」タブでは、最近利用したアプリケーションやファイルのリスト、「終了」タブでは、ログアウトや電源を切るためのメニューが表示されます。

・KRunner

 KRunnerは、先ほど説明したとおり、アプリケーションをコマンド実行するためのランチャーです。KRunnerのウィンドウでは、入力したコマンド名(プログラム名)の前方一致検索を行い、起動するアプリケーションのリストを表示します。この前方一致検索でも、Kickoffと同様に、よく使うアプリケーションが上位に表示されます。

画面15
画面15 KRunnerランチャー

 表示したアプリケーションのリストから、アプリケーションを選んで起動することができます。また、入力途中でもEnterキーを入力すると、リストの一番上のアプリケーションを起動します。もちろん、アプリケーションのコマンド名を完全に入力し、コマンド引数を指定して起動させることもできます。

 このように、KDE 4.1ではできるだけアプリケーションの起動を簡単にし、快適にデスクトップを利用できるような工夫がなされています。

デスクトップと結び付いた検索機能「Strigi」

 KDE 4.0から「Strigi」という検索ライブラリが導入されています。Strigiは、厳密にはKDEの一部ではありませんが、KDE 4.1はあらゆる個所でStrigiを利用しています。

 実は、すでに紹介した画像の中にもStrigiの検索バーがあります。Kickoffのウィンドウの上部には、アプリケーションを検索するための検索バーがありますが、これがStrigiの検索バーです。ほかにも、ファイルを開くダイアログのファイル検索機能などに利用されています。

 デスクトップと検索が深く結び付くのは、最近のトレンドに沿ったものであり、KDEがユーザーに提供するデスクトップのイメージ、ユーザー体験を向上させようという動きは、こんなところにも表れています。

 今回は、KDE 4.1が登場した背景、そしてKDE 4で大きく様変わりしたユーザー体験を取り上げました。特に、これまでKDEを使っている方や使ったことがある方は、その変化を感じていただけたのではないかと思います。

 続く中編では、KDE 4.1ではどんなことができるのかを、KDE4.1に搭載されているアプリケーションの紹介を通してお伝えする予定です。また、後編では、実際にKDE 4を試すために、主要ディストリビューションでどのようにインストールや設定をすればよいかという手順を説明します。同時に、手軽に試したい人向けにLiveCDなども紹介する予定です。

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Index
新たなユーザー体験をもたらすKDE 4.1(前編)
 見た目も中身もすごいんです
  Page 1
 KDEの歴史
 KDE 4.1リリースとその位置付け
 大幅に進化したユーザー体験
 コラム KDE 4.1のアーキテクチャ
  Page 2
 Plasmoidの追加方法
 デスクトップを快適にするPlasmoid
Page 3
 2通りの方法を選べるランチャー
 デスクトップと結び付いた検索機能「Strigi」

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