新たなユーザー体験をもたらすKDE 4.1(後編)
 〜 KDE 4.1を使ってみよう 〜



日本KDEユーザ会
2009/1/27


KDE4.1の設定方法

 KDE 4.1では、「System Settings」という新しいシステム設定管理プログラムを利用して設定を行います。System Settingsでは、ウィンドウの挙動やアプリケーションの外観の変更、個人情報や国と言語などの設定、ネットワークの設定などができます。

画面1
画面1 システム設定管理のSystem Settings

 System Settingsを起動したときに表示されるのが、「概観」画面です。そして、設定項目を選ぶと、「概観」画面が各設定項目の画面に書き換えられます。設定が終わったら、画面の左上にある「概観」ボタンでSystem Settingsの起動時の画面(概観画面)に戻ることができます。

 例えば、ウィンドウのボタンやスタイル、フォントの変更などを行いたい場合は、設定項目として「外観」を選択します。そうすると、設定用画面に切り替わります。その中で、ウィンドウ、フォント、スタイルなど変更したい小項目を選んで設定を変更します。設定の変更が終わったら、適用ボタンをクリックすることで、設定をすべてのアプリケーションに適用できます。その後「概観」ボタンで概観画面に戻ることで、引き続きほかの設定を行うことができます。

 Windowsなどの設定ツールとは操作感が異なりますが、1つのウィンドウで設定が完結するので、慣れると設定しやすいツールになっています。

WindowsやMac OS XでKDE 4.1を動かす

 KDE 4.0は開発当初から「クロスプラットフォーム」を掲げ、LinuxだけでなくWindowsやMac OS Xで動作させることを目的に開発が進められてきました。その成果として、Windows向け、Mac OS X向けのKDEがすでに公開されています。

 Windowsは「The KDE on Windows Project」、Mac OS Xは「The KDE on Mac Team」によって公開されています。公開されているインストーラを利用することで、非常に簡単にKDE 4.1をインストールできます。ここでは、それぞれのインストール方法を紹介します。

 WindowsでKDE 4.1を利用するには、公開されているKDE-Installerを使ってKDE 4.1をインストールします。インストール後、インストール先のディレクトリを環境変数KDEDIRSとして指定し、環境変数PATHにライブラリのディレクトリ(%KDEDIRS%\lib)と実行ファイルのディレクトリ(%KDEDIRS%\bin)を追加します。加えて、「Visual C++ 2005 SP1 Redistributable Package」をインストールする必要があります。これでWindows上でKDEを利用可能になります。詳細は、KDE on Windowsのインストール方法説明ドキュメントを参照してください。

 Mac OS XでKDE 4.1を利用するには、ダウンロードページから必要なパッケージをダウンロードし、Finderで各パッケージをダブルクリックすることでインストールします。詳細は、KDE on Macのインストール方法説明ドキュメントを参照してください。

KDE 4.2の展望

 1月末には、次期バージョン「KDE 4.2」のリリースが予定されています。

 KDE 4.2では、Plasmaやウィンドウマネージャなど、ユーザー体験の中心になる部分がいくつか強化されています。Plasmoidが多数追加され、Plasmoidを操作するインターフェイスにも変更が加えられています。また、画面下に表示されるパネルのデザインが大幅に変更され、起動済みのアプリケーションのステータス(ファイルのコピー状況など)をポップアップで表示する機能が追加されました。ほかにも、各アプリケーションのバージョンアップが行われています。

 しかし、大きな変更は行われていませんので、この連載で紹介した内容は、ほとんどそのまま有効です。

 なお、KDE 4.2も、今回紹介したKDE 4.1と同じ方法でインストールできます。ただし、KDE 4.2 RCの段階では、Fedoraはバージョン10、Kubuntuではバージョン8.10(Intrepid)用のパッケージしか提供されていません。

 全3回にわたって、KDE 4.1の機能やアプリケーション、インストール方法を紹介してきました。KDE 4.1、そして1月末に予定されているKDE 4.2は、いままでWindowsしか使ったことがない方にとっても非常に使いやすいものになっています。

 これから初めてLinuxをデスクトップPCやノートPCで使ってみようという方、またいままでKDEは使ったことがないという方にとっても、KDE 4.1は興味を引かれるものになっているのではないでしょうか。ぜひ、この連載を活用して試してみてください。

コラム■KDE 4.1をソースからビルドする方法

 KDE 4.1をソースコードからビルドするには、CMakeが必要です。CMakeは、クロスプラットフォームなビルドシステム(CMakeの「C」は「Cross Platform」のCです)で、KDEではバージョン4.0から採用されました。ビルドでCMakeを利用するプログラムはまだ少ないため、多くの環境で新たにインストールが必要になると思います。

 また、Qtをインストールしたディレクトリを示す$QTDIR、KDEのインストール先ディレクトリを示す$KDEDIRなど、いくつかの環境変数を設定する必要があります。

 加えて、Qtはもちろんのこと、ビルドするために必要なそのほかのライブラリも多数あります。

 残念ながらKDE 4.1用はありませんが、KDE 4.0のインストールに必要なライブラリやプログラムのリストが公開されています(リストはこちら)。このリストを参考に、必要なライブラリをインストールしてください。もし、ビルドの際、特にCMakeの実行時にエラーが発生する場合には、その内容から判断して、適宜ライブラリをインストールする作業が必要です。

 ビルドのコマンドは、すべてのKDEパッケージで同様です。以下のコマンドを実行することで、KDEの各パッケージをインストールできます。

$ cmake -DCMAKE_INSTALL_PREFIX=$KDEDIR
$ make
$ su -
$ make install

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Index
新たなユーザー体験をもたらすKDE 4.1(後編)
 KDE 4.1を使ってみよう
  Page 1
 KDE 4.1のインストール
  Page 2
 KDE 4.1の設定方法
 WindowsやMac OS XでKDE 4.1を動かす
 KDE 4.2の展望
 コラム KDE 4.1をソースからビルドする方法

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