連載第8回
TCP/IPアレルギー撲滅ドリル【下位レイヤ編】

不確実なIP通信をカバーする
うまい方法とは

福永勇二
インタラクティブリサーチ
2004/12/21


素朴な疑問
実は前回がヤマでした
1 IPはTCPくらい難しいんですか?
2 IPパケットって何ですか?
3 通信を始めるときの手順は?
IPパケットはこうなっている
4 IPパケットはどんな構造なんですか?
5 パケット長って何ですか?
6 識別子は何のために使うんですか?
7 フラグメントって何ですか?
8 フラグ、フラグメントオフセットについて教えてください
9 生存時間って何ですか?
10 プロトコル番号って何ですか?
11 データ部分にはどんなデータが入るのですか?
 実は前回がヤマでした

IPはTCPくらい難しいんですか?

 相当に手ごわかったTCPに比べて、今回のIPは結構アッサリしています。前回取り上げた、Ethernetとの関係、IPアドレス、そしてルーティングが分かれば、IPの重要な仕組みの多くを理解したといってもいいくらいです。

 でも、さすがにアレだけでまだIPの世界を説明できていないので、今回はもう少しIPの中に入り込んで仕組みを取り上げようと思います。決して難しい話ではありませんが、何せ目には見えない世界の話。少しだけ想像力を働かせて読み進めてみてください。読み終わるころには、EthernetとIP、IPとTCPとの関係が分かるようになると思います。

IPパケットって何ですか?

 IPパケットは、IPを使って送りたいデータのほかに、それを送り届けるのに必要なさまざまな情報を付け加えた、ひとまとまりのデータ全体を指す名前です。その中には、例えば、データを送信する送信元コンピュータのIPアドレス、データを受け取るあて先コンピュータのIPアドレスなども含まれています。

 IPを使って通信をするコンピュータや、その通信を中継するルータは、あらかじめ決められているIPパケットの形に従って送りたいデータや通信をコントロールするデータを並べて、それを1つのデータの塊としてネットワークに送り出します。

通信を始めるときの手順は?

 IPでデータを送り出すときは、通信相手との間で「これからデータを送ります」「受信準備が終わりました」といったやり取りをしません。データを送信したいコンピュータは、いきなりデータを送信します。そのため相手がまだ受信準備ができていない場合など、送ったデータがうまく受信されないことも起こり得ます。

 普通に考えると、そんなに確実性のない通信は使い物にならなさそうですが、それをカバーするうまい方法があります。TCPと組み合わせて使うのです。すでに取り上げたようにTCPには通信誤りを上手にカバーして、確実な通信を実現する仕組みが組み込まれています。データを届ける仕組みはIPが受け持ち、確実な通信を行う仕組みはTCPが受け持つことで、たくさんのコンピュータとの間で、確実な通信を行うことができるようになります。


TCP/IPアレルギー撲滅ドリル【下位レイヤ編】(8)目次
1  実は前回がヤマでした
2  IPパケットはこうなっている

関連リンク
  連載:TCP/IPアレルギー撲滅ドリル【超実践編】(上位レイヤ編)
連載:インターネット・プロトコル詳説

連載:ルータの仕組みを学ぼう
ホストのネット接続は正しく行われているか? 〜netstatによるネットワーク設定の確認〜


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