設定ファイルと格闘せずにDNSを運用管理
始めてみよう、Amazon Route 53

並河 祐貴
株式会社サイバーエージェント
2011/6/23

「R53 Fox」でAmazon Route 53を操作

 それでは、実際にDNSレコードの登録や削除を行ってみます。なお利用の際には、自分で利用できるドメインをレジストラなどから取得済みである(注3)ことが前提となります。

 まず、取得しているドメインを「Hosted Zone」に登録します(Hosted Zoneを登録した時点から課金が発生します)。R53 Foxの一番左下の「Create」ボタンをクリックしてください。

 次に、“Name”の欄には、レジストラから割り当てられた(自分で取得した)ドメイン名を入力してください。“Caller Reference”の部分は自動で入力されます。“Comment”の入力は任意です。入力が完了したら「OK」ボタンをクリックしてください(画面8)。

画面8 R53 Foxを使ってドメインを「Hosted Zone」に登録する

 するとIDが割り当てられ、画面のリストに登録した「Hosted Zone」の行が追加されているはずです。この行を右クリックし、「Detail」をクリックしましょう。

 Detailのウィンドウ内の“Name Server”におそらく4つのDNSサーバが記載されています(画面9)。このサーバをドメインを取得したレジストラにネームサーバとして登録することで、実際のドメイン名からの名前解決にAmazon Route 53が利用できることとなります。

画面9 “Name Server”の欄には4つのDNSサーバが表示される

 レジストラにネームサーバとして登録された後は、whoisコマンドなどを使うと、Name Server欄に先ほど登録したAWSのDNSサーバが表示されていることが確認できるはずです。

 Amazon Route 53が自ドメイン用のDNSサーバとして機能するようになったところで、次は、DNSレコードの登録をします。

 R53 Foxのウィンドウに戻り、DNSレコードを登録したいHosted Zoneの行をダブルクリックすると、個別のHosted Zoneのウィンドウが開きます(画面10)。

画面10 個別のHosted ZoneのウィンドウでDNSレコードの登録を行う

 次に、一番左下の「Create」ボタンをクリックし、DNSレコードの登録情報を入力します(画面11)。“Name”にはFQDN(www.namikawa.infoなど、ホスト名およびサブドメイン、ドメイン名を省略せずに記したもの)形式で記述します。“Type”はレコードの種類(A、CNAME、MXなど)を選択、“TTL”にはキャッシュの保持期間(単位は秒)、“Value”はレコードの値を入力し、最後に「OK」ボタンをクリックします。

画面11 GUI上でDNSレコードの登録作業が行える

 登録後1分程度で情報が伝播し、先ほど登録したレコードが名前解決できるようになっていると思います。digコマンドなどで確認してみましょう。

$ dig www.namikawa.info

; <<>> DiG 9.3.6-P1-RedHat-9.3.6-16.P1.el5 <<>> www.namikawa.info
;; global options: printcmd
;; Got answer:
;; ->>HEADER<<- opcode: QUERY, status: NOERROR, id: 44914
;; flags: qr rd ra; QUERY: 1, ANSWER: 1, AUTHORITY: 0, ADDITIONAL: 0

;; QUESTION SECTION:
;www.namikawa.info.             IN      A

;; ANSWER SECTION:
www.namikawa.info.      600     IN      A       xxx.xxx.xxx.xxx

;; Query time: 178 msec
;; SERVER: 192.168.0.1#53(192.168.0.1)
;; WHEN: Mon May 9 02:04:54 2011
;; MSG SIZE rcvd: 51
digコマンドで名前解決が行えることを確認

 また、登録したレコードを右クリックし、「Edit」をクリックすると、先ほど登録したレコードの情報を更新することができます。また「Delete」をクリックすると、登録したレコードを削除できます。

注3:レジストラへネームサーバを登録する手順は、各レジストラによって異なりますので、各レジストラのドキュメントなどに従ってください。

手軽に、簡単に始められるDNS

 このように、Amazon Route 53と専用のGUIツールである「R53 Fox」を使うことで、簡単にDNSの管理を始めることが可能です。

 もちろん、通常のAWS同様にすべてWebのAPI経由での制御となるので、CUIから制御処理をすべて自動化することも可能です。AWS公式のドキュメント(英語)に情報がありますので、興味のある方は参照してみてください。

 課金体系の部分でも記しましたが、1ドメイン当たり月額1ドル50セントという小額のコストからはじめることができ、プロにDNSの運用管理をお任せすることができます。DNSサーバが必要になった際は、一度試してみてはいかがでしょうか。

■筆者紹介
並河 祐貴
株式会社サイバーエージェント所属
ブログ: http://d.hatena.ne.jp/rx7/
Twitter: http://twitter.com/namikawa

これまで、数々のオープンソースソフトウェアの検証/導入/運用や、サーバ仮想化環境やクラウドサービスを利用したサービス構築/運用を実践。近年は、サイバーエージェントにてAmebaなどの大規模Webサービスのバックエンドを支える業務に携わっている。主な著書は「クラウドAmazon EC2/S3のすべて〜実践者から学ぶ設計/構築/運用ノウハウ〜」。

始めてみよう、Amazon Route 53
  Webサイト運用に欠かせないDNS
DNSをサービスで――Amazon Route 53の特長
従量型の課金体系
  Amazon Route 53の利用申請
GUIで操作できるFirefoxアドオン「R53 Fox」
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