その時、IPv6が動いた
World IPv6 Dayで得られた成果とこれからの課題

株式会社インターネットイニシアティブ
松崎吉伸
2011/8/4

日本時間の2011年6月8日午前9時からの24時間、WebサイトをIPv6に対応させてみるイベント「World IPv6 Day」が行われ、大きな混乱もなく終えることができました。その過程で分かったことや今後の課題を紹介します。(編集部)

W6D 大きな混乱なく終了したWorld IPv6 Day

 2011年6月8日、日本時間で午前9時から24時間、WebサイトにAAAAレコードを追加してIPv6対応してみるベント「World IPv6 Day」が行われました。当日は世界的に大きな混乱もなく進行し、予定していた24時間を終えることができました。これは、多くの志ある方々の努力があって実現できたことだと思っています。

Internet Societyのサイト内に設けられた「World IPv6 Day」のページ

 思い起こすと、World IPv6 Dayに絡んで問題を見つけちゃったり、みんなで対応を考えたり、コンテンツ事業者を訪問したり、総務省に相談に行ったり、IETFの会場でISCの人をつかまえて実装についてお話ししたり……いろんなことがありました。ここではWorld IPv6 Dayを振り返るとともに、その過程で分かったことや今後の課題などを紹介します。

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 幅広い多様な環境で「本気」の検証

 IPv6はすでに長年利用されてきています。実際、ルータや端末、OS、各種ソフトウェアはIPv6をサポートして久しいです。また、徐々にIPv6対応のWebサイトやサービスが立ち上がってきました。それでも、IPv6の利用状況はIPv4と比べてとても小規模でした。

 一方で、インターネットに接続するユーザーの環境は多様化してきています。世界中で利用されている接続方式や端末の種類、利用しているソフトウェアなどを考え始めると、その組み合わせは途方もない量になってしまいます。IPv6対応に際し、それら環境をすべて検証して回るのは現実的ではありません。そこで、世界の人々がそれぞれの環境で検証を行い、幅広い環境をテストできるようにIPv6トライアルが検討されました。

 World IPv6 Dayはこうした経緯で、IPv6導入の促進、それから前述のような問題点の抽出と対応策の検討、実施を目的に企画されました。

 今回は、Webコンテンツの提供者側に注目し、24時間と時間を区切って、これまでIPv4のみでサービスを提供してきたWebサイトにAAAAレコードを追加して、IPv6対応させてもらうことをトライアルの柱にしました。ユーザーが日常的に利用している環境で問題がないかを検証するため、IPv6に対応した特別なURLを用意してもらうのではなく、既存のメインサイトをIPv6に対応していただくようにお願いしました。

 これまでもIPv6に対応したWebサイトはありましたが、ユーザーが頻繁に参照しているWebサイトがIPv6に対応するとなると、検証の本気度が違うものです。世界でいろいろな問題が発見され、解決に向けて開発元に報告されたり、回避策が検討されたりしました。

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 再認識された問題点

 ユーザー環境では、ソフトウェアの開発者が想定していなかった環境で問題が発生する事例が数多く報告されました。例えば、6to4での接続環境では、世界のどこかにきちんと運用されていないリレールータがあるだけで、通信に問題が出る場合があります。

 また、日本ではあまり利用されていないようですが、海外で発売されている一部のブロードバンドルータでIPv6の初期設定に問題があり、端末にIPv6アドレスが設定されないままdefault経路のみが設定されるといった状況が報告されました。

 日本では、NTT東西の提供するフレッツ光サービスで、IPv6閉域網のIPアドレスがユーザーに付与されているため、IPv6→IPv4のフォールバックが格段に発生しやすい状況が報告されました。これは、最初にIPv6での接続を試み、それがうまくいかない場合はIPv4での接続に切り替えるという挙動ですが、この際、切り替えがうまくいかなかったり、許容できないほどの時間が掛かるという状況が報告されました。

図1 IPv6→IPv4のフォールバック。IPv6で接続できないとIPv4での接続を試みる

 実はこれらの問題は以前から発生していた問題ですが、World IPv6 Dayというイベントでその問題が再認識され、対策に向けて多くの方々が知恵を絞りました。

 

World IPv6 Dayで得られた成果とこれからの課題
大きな混乱なく終了したWorld IPv6 Day
幅広い多様な環境で「本気」の検証
再認識された問題点
  国内で焦点となった「IPv6→IPv4フォールバック」対応
ポリシーテーブルとAAAA filterという回避策
和やかに始まったW6D当日
  IPv6トラフィックは増加、Gbps単位の観測も
みんなで頑張って幸せになろう!
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