動向解説 最新IDE RAID事情

2.内蔵/外付けRAIDユニット

デジタルアドバンテージ
2001/02/09

 ここでは、ドライブ・ベイとRAIDコントローラが一体化している「RAIDユニット」について解説しよう。

PCとIDEで接続するRAIDユニット

 次は、PCとRAIDコントローラの間をIDEインターフェイスで接続する「IDE接続型」の製品に注目してみよう。このタイプの場合、RAIDコントローラ単体で販売されることは少なく、ほとんどの製品は、ドライブ・ベイとRAIDコントローラを内蔵する「RAIDユニット」(下図)として販売されている。

IDE接続型RAIDユニット
ユニット内部には、IDEハードディスクとそのドライブ・ベイ、RAIDコントローラが収まる。RAIDレベルはRAID 1、つまりミラーリングのみをサポートする。標準でホットスワップに対応する製品が多い。

 このIDE接続型は、非常に仕様が似通った製品が多いのが特徴である。具体的には、

  • PCからは1台のIDEハードディスクに見える
  • RAIDレベルはRAID 1、つまりミラーリングのみサポート
  • ハードディスクの台数は2台のみ
  • ステータスや警告の表示には、インジケータLEDやブザーが用いられる
  • PC内蔵専用(IDE接続なので、外付けするにはケーブル長が足りないため)

といった点が共通している。つまり、どの製品も目的はIDEハードディスクの耐障害性を高めることにあり、大容量ボリュームや性能向上を指向していないことが分かる。

 多くの製品はハードディスクのホットスワップに標準で対応するほか、装着に5.25インチ・フルハイトのドライブ・ベイを必要とする(わずかながら、3.5インチ・ベイや5.25インチ・ハーフハイトのベイで済む製品もある)。価格は、ハードディスクなしで5万円台から販売されている。

IDE接続型RAIDユニットの例 IDE接続型RAIDコントローラの例
これはProware Technology製のDataFreeという製品。5.25インチ・フルハイトのケースに3.5インチ・ハードディスクを2台装着してハードウェア・ミラーリングを実現する。 これはArco Computer Products製の「DupliDisk II 3.5" Bay Mount」という製品。その名のとおり、3.5インチ・ベイに装着できるRAIDコントローラの基板である。向かって奥側に見えるコネクタにはPCからのIDEケーブルを接続し、両側のコネクタには、それぞれIDEハードディスクを接続する。

 以下に主要なIDE接続型RAIDユニット/コントローラを記す。

ベンダ名 製品名 RAIDレベル HDD接続台数 ホットスワップ 特徴など
ACCUSYS ACS-7500 1 2台 HDDを含まないキット製品。国内販売店での取り扱いは多い
Arco Computer Products DupliDisk II 3.5" Bay Mount 1 2台 3.5インチ・ベイに収まるRAIDコントローラの基板。これとホットスワップ対応ドライブ・ベイがセットのモデルもある
Proware Technology DataFree 1 2台 2基の空冷ファンと金属製のフレームでハードディスクの放熱効果を高めている
アドテックス AXRB-Nシリーズ 1 2台 2.5インチ・ディスクを使って3.5インチ・ベイに収まる小型化を実現している。SCSI接続型や5.25インチ・ベイ対応モデルもある
トラストガード TGSF 1 2台 SCSI RAIDモデルもある
主要なIDE接続型RAIDユニット/コントローラ製品
動作保証しているハードディスクとセットでしか販売しないベンダもあれば、RAIDボックス単品をキットとして販売しているところもある。


■手軽に実現できるIDEハードディスクのミラーリング

 このIDE接続型RAIDユニットのメリットは、ほとんどソフトウェア的な設定をすることなく、簡単なセットアップでハードウェアRAID 1のディスク・サブシステムを実現できる点だ。というのも、前述のようにPCからは1台のIDEハードディスクとして認識されるため、IDEハードディスクが正常に利用できる環境(PCとOS)ならば、ただIDEケーブルをIDE接続型RAIDユニットにつなぎ替えるだけで利用できるからである。PCIカード型のような専用デバイス・ドライバは不要だ。

 また、もしハードディスクが故障したら、システムを止めることなく、ただ代替品と交換すれば自動的に正常な状態への回復処理が実行される。注意が必要なのは、代替のハードディスクが、使用中のハードディスクと同一の製品でないと、ベンダによる動作保証が得られないことだ。実際には、ハードディスクの製造ベンダや容量すら異なっていても、ミラーリングできてしまう製品が多いようだ(使用可能な容量は、2台のハードディスクのうち容量の小さい方と同じになる)。こうした点に注意していれば、専任の管理者がいない環境でも運用は決して難しくはない。

 逆に容量や性能に関するスケーラビリティは、前述のように、ほぼないといってよい。 例えば、SOHOなどでファイル・サーバの耐障害性は高めたいが、容量はそれほど必要ないといった環境には、IDE接続型は手軽で便利だ。しかし大容量あるいは高性能が必要だったり、サーバ内部にRAIDユニットを取り付けるスペースがなかったりする場合は、次の「外付けRAIDユニット」が選択肢となる。また、PCIカード型に比べて若干高価(PCIカード型なら1万円台、IDE接続型なら5万円台から)なので、ホットスワップが不要ならPCIカード型の方が初期導入コストは抑制できる。

SCSIやファイバ・チャネルで接続する外付けRAIDユニット

 従来、この外付けRAIDユニット*1は、SCSIハードディスクを用いるSCSI RAID採用モデルばかりだった。しかし、最近になってIDEハードディスクの性能が向上し、逆に価格はSCSIハードディスクと差が広がるにつれ、ベンダは、性能を追求した高価SCSI RAIDモデルと、そこそこの性能で安価なIDE RAIDモデルを併売することで、製品ラインアップの拡充に成功している(たたし、「安価」とはSCSI RAIDに対して相対的に安いという意味で、後述するようにIDE RAIDモデルでも絶対的には決して安価ではない)。

*1 ここでは「外付けRAIDユニット」と表しているが、同タイプの製品にはSCSI接続の内蔵タイプも存在する。

外付けIDE RAIDユニットの内部構成
構成自体はIDE接続型とよく似ているが、SCSIなどケーブルの長いインターフェイス規格をPCとRAIDコントローラの接続に利用しているため、RAIDユニットを外付けにすることができる。図中のSCSIインターフェイスの代わりに、ファイバ・チャネルやイーサネットを採用する製品もある。

 
外付けRAIDユニットの例
これはPromise Technology製のUltraTrak100。

 このタイプの製品に共通する特徴は、RAID 5あるいはRAID 0+1をサポートし、大容量かつ耐障害性を持つRAIDボリュームを実現できる、ということが挙げられる。またホットスワップにも標準で対応している製品が多い。装着可能なハードディスクの最大台数は、標準的には6〜8台程度、多い製品なら10台を超える。実現可能な容量も大きく、数百Gbytesクラスの製品も決して珍しくはない。製品の外観は、右写真のようにタワー型が多いが、最近はラックマウント型もよく見かける。電源ユニットが二重化されていたり、詳細なステータスを表示できる液晶ディスプレイが装備されていたりと、機能の充実した製品が多いのも特徴といえる。

 以下に、主要な外付けRAIDユニットの製品を記す。

ベンダ名 製品名 RAIDレベル HDD接続台数 PCとの接続インターフェイス 特徴など
3ware 3ware NSU 0+1 8台 ギガビット・イーサネット イーサネット・ベースのSAN(Storage Area Network)に対応したRAIDユニット。10/100BASE-Tにも対応する
MaxTronic International Arenaシリーズ 0/1/3/5/1+0*2 最大3〜8台 Ultra2 SCSIまたはWide Ultra SCSI 幅広いラインアップを持つ外付けRAIDユニットのシリーズ。OEM品を含め、国内でも多くの販売店が取り扱っている
ウインドウ Libra-8-FC 0/1/3/5/1+0 最大8台 ファイバ・チャネル 電源ユニットが二重化されている。ラックマウント型やSCSI接続モデルもラインアップされている
ニューテック Confidence ATA 0/1/5/1+0 最大8台 Ultra160 SCSI 1U/2Uラックマウント型やタワー型がラインアップされている。1UタイプのHDD搭載数は4台まで
バイオス Ultra VXR-ZK 0/1/5 最大3台 Ultra2 SCSI HDD数を少なくして小型化した外付けRAIDユニット
プロストア・ジャパン NAS 1500 0/1/3/5 最大8台 10/100BASE-Tイーサネット どちらかといえばハードウェアRAID対応のNAS(Network Attached Storage)といえる
主要な外付け型IDE RAIDユニット製品
この表に掲載した製品以外にも、非常に多くの製品が流通している。製品ごとに仕様や価格の差も激しいので、購入時には入念に調べておきたい。
*2 製品によっては、RAID 3や0+1をサポートしていないものもある。


■重要なのはPCとの接続インターフェイス

 外付けRAIDユニットの場合、従来はPCとの接続インターフェイスはほぼSCSI一色だったのが、最近はファイバ・チャネルやイーサネットを利用する製品も増えてきた。注意が必要なのは、外付けRAIDユニットがPCからどのように見えるかは、このインターフェイスによって異なるという点だ。SCSIの場合はSCSIハードディスクに見えるが、ファイバ・チャネルの場合はSAN対応ストレージとして扱われるものがある。またイーサネットで接続される製品は、NAS(Network Attached Storage)だったり、ギガビット・イーサネットをベースとするSAN対応ストレージだったりする。つまり、インターフェイスによって利用方法や管理方法がまったく異なるわけだ。

■比較的高価なのが難点か

 ファイバ・チャネルやギガビット・イーサネットでPCと接続するような外付けRAIDユニットは、どの製品も大容量かつ高性能で価格も高く、ハイエンド向けといってよい。接続インターフェイスをどちらにするかは、ネットワークやサーバの環境に合わせるだけのことだ。

 SCSI接続型外付けRAIDユニットは、PCIカード型やIDE接続型ではニーズを満たせない用途に有効だ。例えば、PCIカード型は専用デバイス・ドライバが必要なのでOSによっては使えないこともある。しかし、SCSI接続型なら、利用するPCとOSに対応するSCSIホストアダプタを用意すれば、たいていは利用できる(ベンダによってはOSによって動作保証しない場合もあるが)。また、IDE接続型では容量が足りない場合は、より多くのハードディスクを搭載できるSCSI接続型外付けRAIDユニットを採用すれば済む。

 ただ、PCIカード型やIDE接続型より高価なのが難点である。外付けRAIDユニットでハードディスクの台数をちょっと増やしたりすると、すぐに100万円を超えてしまう製品が多い。SCSIと違いIDEでは、ハードディスク1〜2台*3当たり1本のケーブルとIDEインターフェイスが必要なので、コストがかさみやすいのも影響しているようだ。購入時には、かなりの予算を見込む必要があることは覚えておきたい。

*3 高機能なIDE RAID製品では、ハードディスク1台につきケーブルとインターフェイスを必要とする。これはIDEの仕様上、1本のケーブルに2台のハードディスクを接続すると、両方同時に効率よく稼働させるのが困難だからである。


実績の積み重ねがIDE RAID普及のポイント

 全体的に見れば、今後もIDE RAIDは、ハードディスク単価の安さを武器にSCSI RAIDから市場シェアを奪っていくことが予想される。ただし、それにはIDE RAIDという製品分野そのものがもっと実績を重ね、ユーザーやPCベンダから「信頼」を勝ち取っていくことが前提条件である。現在はその途上にあるといえる。実際、PCサーバのうちエントリ・モデルにはIDE RAIDが採用された例はあるものの、その数は少ない。現時点でのIDE RAIDに対するPCサーバ・ベンダの姿勢が、このことに表れている。

 しかし、いったん信頼を得れば、コストの安いIDE RAIDは急速に普及する可能性がある。特にRAID 0/1/0+1に対応する安価なPCIカード型IDE RAIDは、エントリ・クラスのサーバやワークステーションに標準装備されることが多くなるだろう。そうなると、さらなるコスト低減のため、マザーボード上に直接RAIDコントローラを組み込む製品も増えるはずだ(実際、デスクトップPC向けの市販マザーボードには、IDE RAIDコントローラを搭載したものが数多く存在する)。

 そのほかのIDE RAID製品についても、今後、IDE RAID市場への参入ベンダが増えれば、競争によりさらなる価格低下が望めそうだ(現時点でベンダ数は決して多いとはいえない)。いずれにせよ、サーバやワークステーションのディスク・サブシステムを強化したいのなら、2001年もIDE RAIDの動向から目は離せないことは間違いない。記事の終わり

 
  関連リンク
ware NSU
ACS-7500
DupliDisk II 3.5" Bay Mount
DataFree
AXRB-Nシリーズ
TGSF
Arenaシリーズ
Libra-8-FC
Confidence ATA
Ultra VXR-ZK
NAS 1500
 
 
 
 INDEX
  [動向解説]最新IDE RAID事情
    1.PCIカード型RAIDコントローラ
  2.内蔵/外付けRAIDユニット
 
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