ニュース解説

―IDF Spring 2001 Japanレポート―
Intel勝利の方程式を語る
 
2.USB 2.0はWindows XPには間に合わない!

デジタルアドバンテージ
2001/04/24

Windows XPとIntelのチップセット・サポートがカギとなる「USB 2.0」

 4月に入ってから、いろいろなベンダからUSB 2.0に対応した周辺機器が発表されている。例えば、アダプテックはPCIカードのホスト・アダプタを、ラトックシステムはCardBusとPCIカードそれぞれのインターフェイスに対応したホスト・アダプタを発表している(アダプテックラトックシステムのニュースリリース)。2001年前半のうちに35社以上のベンダが、USB 2.0に対応した製品を発表する予定だという。

USB 2.0対応のCardBusホスト・アダプタ 左側の写真のカードのデバイス・マネージャ画面
2000年4月6日に発表されたラトックシステムの「REX-CBU2」(出荷前の試作品のようだ)。ノートPCにUSB 2.0インターフェイスを追加できる製品だ。5月末にはPCIカード・タイプとともに出荷される予定である。 USB 2.0対応の日本電気(NEC)製ホスト・コントローラに、後述のMicrotek社製スキャナが接続されているのが分かる。
MicroTekのUSB 2.0対応スキャナ USB 2.0対応プリンタの試作機
これは7月に製品としてリリースが予定されているスキャナの試作機だ。転送レートは、実効でUSB 1.1の「数倍」という高速化が実現できるという。 エプソンのインクジェット・プリンタEM-900CをUSB 2.0対応にしたもののようだ。

 こうした状況の中で気になるのが、USB 2.0のOSサポートだ。最近、Windows XPがUSB 2.0をサポートしないという報道があったためか、USB 2.0のセミナー中に、マイクロソフトの担当者である斉藤 満氏より、WindowsファミリのUSB 2.0サポートについて説明が行われた。その概要をお伝えしよう。

 まず、Windows XPに関しては、OSのリリースCD-ROMには間に合わず、USB 2.0に対応したドライバ・スタックは収録されない。しかし、リリースとほぼ同時に、Dynamic Setup(Windows Updateと同様、インターネットなどに接続し、必要なモジュールをダウンロード、セットアップを行う仕組み)を利用して、インターネット経由でUSB 2.0のドライバをインストール可能にするとのことであった。

 それ以外のOSに関しては、Windows 2000でのサポートが、Windows XPとほぼ同時期に行われる。それより遅れて、Windows Meについてもサポートが行なわれる。しかし、それ以前のWindows 9x系OS(Windows 95/Windows 98/Windows 98 SE)でのサポートは行われない。つまり、USB 2.0の480Mbits/sの転送モード(ハイスピード・モード)を利用するには、Windows MeもしくはWindows 2000/XPが必要になるというわけだ。

 さて、そのWindows XP用USB 2.0のドライバの開発状況だが、USB 1.1ベースのデバイスをUSB 2.0のハブに接続した場合については、すべてのサポートが完了している。一方、USB 2.0デバイスについては、ハイスピード・モード時でのアイソクロナス転送(遅延を抑えた一定の転送レートを保証する転送方式)だけが、まだ開発中とのことだ。ほかのコントロール/バルク/インタラプト転送(いずれもUSBで規定されている転送モード)はサポートを完了している。つまり、USB 2.0のハイスピード・モードにおけるアイソクロナス転送のサポートについてのみ、ドライバがWindows XPの出荷時に間に合わない可能性があると示唆したわけだ。なお、プリンタについては、製品レベルでのテストが不足している状態だという。「USB 2.0に対応した機器があったらテストさせてほしい」という要望が、マイクロソフト側から参加者に対して投げかけられたほどだ。

 もう1つ気になるのは、Intel側のチップセット対応だ。USB 1.1の場合、IntelのチップセットにUSBインターフェイスが内蔵され、PCにUSBが標準装備されるようになった結果、ハードウェア面での追加コストなしでUSBデバイスを接続できるようになったことが、USBの普及を大きく促進したからだ。インテルによれば、USB 2.0のホスト・コントローラを統合したチップセットは、2002年初頭にリリースするということだ。それまでは、マザーボード上かあるいはPCIカードに単体のホスト・コントローラ・チップを搭載することでカバーすることになる。当初は2000年末にも製品登場が期待されていたUSB 2.0の普及は、もうしばらく先になりそうだ。

次期Pentium 4は新パッケージ

 プレスルームの隣には、Intelのパッケージ技術やIntel Lab.が開発している製品などの展示室が設けられていた。そこには、現在開発中の線幅 0.1 μm以下の回路の焼き付けを実現するためのEUV露光技術で使用する露光マスクと集光用の鏡なども展示されていた(Intelの「EUV露光技術開発に関するニュースリリース」)。

プレス・ルームの隣に展示されていたIXA対応のカード EUV露光装置の鏡とマスク
ARMが内蔵されたキガビット・イーサネット・コントローラを使った交換機。ハードウェア部分とソフトウェア部分の分離が可能となり、新しいサービスの開発が容易になるということだ。 後ろ側の円筒形のものがEUV露光装置で使われる鏡、、手前の左側がマスク。右側は現在の露光装置で使われているマスクが比較のために置かれていた。

 0.13μmプロセスで製造される次期Pentium 4(開発コード名「Northwood:ノースウッド」)で採用されるパッケージも展示されていた。このパッケージは、既存のPentium 4に比べてピン間隔が狭くなり、パッケージ・サイズが大幅に縮小されていた(ピン数は既存の423ピンから478ピンへと増えている)。ちょうど、既存のPentium 4のパッケージで、ピンの内側部分に相当するサイズである。ただ、プロセッサ上部に乗せられている金属製のカバー部分(ヒートスプレッダ)のサイズは変更されない。これは、0.13μmプロセスの採用によってプロセッサのダイ・サイズは縮小され、全体の消費電力は低くなっているものの、単位面積あたりの発熱量がそれほど変わらないので、放熱のために小さくできないということであった。また、既存のPentium 4では、μBGA状の基板にプロセッサ・コアを載せ、それをピンが付いた基板上に載せるという2段重ねになっていた。新たなパッケージでは、直接ピンが付いた基板上にプロセッサ・コアを載せるため、製造コストも削減できるということであった。なお今回は、ソケットについては明らかにされなかったが、既存のPentium 4と同様にユーザーがプロセッサを交換可能なものになるらしい。

既存のPentium 4(左側)と新しいPentium 4(右側)のパッケージ
既存のPentium 4(Willamette)と、0.13μmプロセスで製造される新しいPentium 4(NorthWood)のパッケージを並べて撮影したもの。左側の写真を見ると、金属部分のサイズがほぼ同じであることが分かる。これはNorthWoodのダイ・サイズが小さくなっても、単位面積当たりの発熱量は逆に増えるため、その熱を効率よく逃がすため、ということだ。右側の写真を見ると、ピンの密度が高くなっていることが分かる。

ピア・ツー・ピアの壮大なる実験への呼びかけ

 米国時間4月3日にIntelが全米癌学会など欧米の科学研究団体と共同で発表した「インテル フィランソロピック・ピア・ツー・ピア・プログラム(Intel Philanthropic Peer-to-Peer Program)」に関して、IDF Japanでもパトリック・ゲルシンガー氏などから参加が呼びかけられた(Intelの「フィランソロピック・ピア・ツー・ピア・プログラムに関するニュースリリース」)。このプログラムは、インターネットに接続されたPCとピア・ツー・ピア技術を応用することで、仮想的なスーパーコンピュータを実現しようというもの。基本的な仕組みとしては、インターネットに接続された多数のPCを使って地球外生命体を探すプロジェクト「SETI@home」とほぼ同じだ。

 最初のアプリケーションは、白血病治療薬の最適化に関するものだ。どのような計算を行っているかについては、このプログラムに参加しているUnited Devices社のホームページに詳しく述べられているが、白血病の発病などに関係するたんぱく質のうち、4種類について調べるというものだ。

UD Agentの画面
フィランソロピック・ピア・ツー・ピア・プログラムのクライアント側のソフトウェア「UD Agent」と呼ばれる。現在、計算を行っている対象のたんぱく質などが表示される画面も用意されている。

 指示に従って「UD Agent」と呼ばれるアプリケーションをインストールすると、PCの演算余力を利用し、計算を行う。計算が完了すると、United Devices社のデータ・センターに接続し、処理結果が転送される(常時接続でない場合は、インターネットに接続された時点で転送が行われる)。と同時に新しいデータのリクエストが送られ、PC上に新しいデータが転送される、という仕組みだ。このアプリケーションは、プロセスの優先度が「低」に設定されているため、PCの使い勝手には影響しない。それでいながらCPU使用率は、常にほぼ100%となる。

 「UD Agent」はUnited Devices社のダウンロード・ページから入手可能だ。このプログラムが成功したならば、新たなPCの使い方として、いろいろな研究・開発に同様の仕組みが使われることになるだろう。

 以上、IDF Japanの一部について簡単に紹介した。多くのテクニカル・セッションは、主にインテル・プラットフォームに関連したマイクロデバイスやハードウェア製品設計/開発者に向けたものである。しかし単なるマイクロプロセッサ・ベンダからの脱却を目指して、インテルはネットワーク製品やP2P製品などを幅広く取り扱うようになっており、なかにはLANやサーバの動向に関する解説など、ネットワーク管理者が中長期的な導入計画を考えるうえでも参考になる話題が増えてきた。インテルでは、年に2回(春と秋)にIDF Japanの開催を予定しているので、読者がマイクロ・デバイス/ハードウェア・エンジニアでなかったとしても、次回は参加を検討してみてはどうだろうか。記事の終わり

  関連リンク 
USB2connectに関するニュースリリース
USB 2.0対応ホスト・アダプタの製品情報ページ
EUV露光技術開発に関するニュースリリース
フィランソロピック・ピア・ツー・ピア・プログラムに関するニュースリリース
SETI@homeのダウンロード・ページENGLISH
United Devices社のホームページENGLISH
United Devices社のダウンロード・ページENGLISH
 
   
     
 INDEX
  [ニュース解説]―IDF Spring 2001 Japanレポート―Intel勝利の方程式を語る
  1.モバイル向けプロセッサがサーバを救う?
2.USB 2.0はWindows XPには間に合わない!

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