最適ネットワーク機器選択術

コラム
Linuxのためのイーサネット カード選び

島田広道
2000/07/07

 最近になって急速に普及し始めたLinuxは、従来のOSに比べて開発手法が大きく異なるため、ソフトウェア サポートの形態も従来の常識が当てはまらない面がある。ここでは、特にデバイス ドライバのサポートに注目して、Linux用イーサネット カードを選ぶ際のポイントをチェックしてみる。

ボランティア ベースの開発が主体のLinux

  Windows OSを始めとする多くのOSは、特定のOSベンダが開発し、ライセンスを所有している商用OSである。これらのOSでは、ハードウェア ベンダとOSベンダが協力しあってデバイス ドライバが開発される。具体的には、OSベンダはデバイス ドライバの開発に必要なツールや情報をハードウェア ベンダに提供する。それを受けてハードウェア ベンダは、そのOS用のデバイス ドライバを開発し、OSベンダはそれをテストする。最終的には、そのデバイス ドライバは製品に添付されたり、あるいはOSに同梱されてリリースされたりしている。

 主体的にデバイス ドライバを開発するのは、ハードウェア ベンダであることが多い(デバイス ドライバを専門に開発するベンダにアウトソーシングされていることもあるが)。逆にハードウェア ベンダより情報を提供してもらってOSベンダが主体的にデバイス ドライバを開発する場合もあるが、それは少数派である。いずれにせよ、開発されたデバイス ドライバのサポートはハードウェア ベンダかOSベンダが行うことになる。

 ところがLinuxの場合、いわゆるOSベンダが存在せず、世界中に散在する多くのプログラマがボランティアとしてLinuxを開発しているという特殊な事情がある。デバイス ドライバもまた、ボランティアの人々がハードウェア ベンダからの情報提供を受けて開発しているのがほとんどだ。最近になってハードウェア ベンダ自身がLinux用ドライバの開発を行う事例が増えてきているが、まだまだ少数である。つまりハードウェア ベンダが主体的にLinux用ドライバを開発することは少ない。

Linux対応をチェックするには

  以上のような理由のため、Linuxで使うイーサネット カードを選ぶ場合、ほかのOSとは異なる注意点がある。まず、イーサネット カードにLinux対応ドライバが添付されていることは稀で、たいていはLinuxカーネルまたはLinuxディストリビューションに含まれているものを利用する。カーネルのバージョンやディストリビューションの種類によって、収録されるデバイス ドライバの数や種類は異なるので、使用するディストリビューションなどを事前に確認しておく必要がある(主要なディストリビュータのホームページは、本ページの最後に一覧している)。

 イーサネット カードのLinux用ドライバの最新情報を得るには、NASA CESDISのホームページにあるLinuxのページを参照するとよいだろう。ここにはイーサネット コントローラ チップごとにデバイス ドライバの情報がまとめられている。また、市販されているイーサネット カードのLinux対応を調べるには、イーサネット カード ベンダのホームページを参照して、Linuxへの対応状況が公表されていないか確認してみよう。昨今のLinuxブームにより、多くのイーサネット カード ベンダがホームページで自社製品をLinuxで利用するための情報を提供するようになったので、まず最初にこちらを参照しておきたい。ただし、そのほとんどは動作確認にとどまっており、動作保証やデバイス ドライバの配布までしているベンダはまだ少ない。

定評があるのは歴史の古いコントローラ

  Linuxの場合、最新のハードウェアにはデバイス ドライバが対応していないことが多い。これは、基本的に製品が出荷されてからボランティア ベースのLinux開発者らがデバイスドライバを開発するからである。従って、性能や仕様を重視して最新製品を選ぶと、Linuxでは使えずに後悔することもあるわけだ。デバイス ドライバの安定性についても、評判が高いのは古めのハードウェアであることが多い。イーサネット カードでいえば、旧DEC(現Intel)製の21x4xシリーズ(Linuxでの通称はtulip)というネットワーク コントローラがこれに該当する。

 PCIやISAのイーサネット カードについては、Linuxは広くカバーしており、動作する可能性は高い。一方、PCカード タイプの場合、PCカード コントローラ(PCカード スロットを制御する回路)にも依存するので、PCIやISAほど対応範囲は広くない。特にCardBus対応イーサネット カードの対応製品数は少ない。対応状況はLinux PCMCIA Information Pageで確認できる。また、USBネットワーク アダプタについては、USB自体のサポートがLinuxで始まって間もないこともあり、まだサポートされていないようだ。

 以上のように、Linuxでイーサネット カードを使う場合は、ほかのOSと勝手が大きく違うので、製品選びには注意が必要である。

関連リンク
最新のLinuxカーネルとその情報を提供している。Ring Server Projectによるミラーサイトから参照するとよいだろう。
ここからLinuxのネットワーク ドライバに関する情報を参照できる。
PCカードのLinux対応状況を確認できる。
日本におけるTurbo Linuxの販売元
LASER5 Linuxの販売元
日本におけるredhat Linuxの販売元
Debian GNU/Linuxのホームページ
 
 
     
 INDEX
  [特集]最適ネットワーク機器選択術
  1. イントロダクション
  2. イーサネットの基礎の基礎
    2-1. イーサネットの基本はCSMA/CD方式にある
      コラム:IEEE802の各種規格
    2-2. イーサネットのフレーム形式とコリジョン ドメイン
    2-3. 現在の主流、100BASE-TXを知る
      コラム:10BASE/100BASE以外のLAN規格
  3.
    3-1. デスクトップPCには100BASE-TX PCIカードが最適
      コラム:できれば避けたいISAイーサネット カード
    3-2. 一般的な100BASE-TX PCIカードの選択ポイント
    3-3. 100BASE-TX PCIカードの付加機能をチェックする
      コラム: イーサネット カードにおけるサーバ用とクライアント用の違い
    3-4. ノートPC用にはPCカードから選ぶ
    3-5. 100BASE-TX CardBusか、10BASE-T 16bit PCカードか?
    3-6. PCカードならケーブルの接続方式がポイント
    3-7. イーサネット ケーブル直結方式は便利か?
      コラム:USBによるイーサネット接続
    3-8. デバイス ドライバは重要な選択ポイント
    3-9. もう1つのソフトウェア サポート − ユーティリティ
    コラム:Linuxのためのイーサネット カード選び
  4.
    4-1. ハブ/スイッチの種類と機能
    4-2. ハブ/スイッチ選択の基礎知識
      コラム:そのほかのネットワーク機器
    4-3. ハブ/スイッチ選択のポイント

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