最適ネットワーク機器選択術

コラム
IEEE802の各種規格

河部 拓
2000/05/26

 イーサネットも、誕生当時はあまたあるネットワーク技術の1つにすぎなかった。しかし、イーサネットは当時存在したLAN技術と比較し、高速性、低コスト性、拡張性といった特徴を備えていた。これらの特徴は他技術と差別化を図るには十分なものであった。今やLANは、イーサネットで構築するものと誰もが考えているだろう。LANとイーサネットはほとんど同義であるかのように説明されることも多い。が、イーサネットの独壇場だったLAN環境にも近頃変化が現れ始めている。1999年から製品の出荷が始まった伝送速度11Mbits/sの高速無線LANが登場したためだ。これまで無線LANが標準的なLAN技術とならなかったのは、イーサネットと比較して価格が高く、また製品も少なかったからだ。それが1999年になり、高速無線LAN規格が標準化されたことにより、製品化に弾みがつくとともに、価格も大きく下り始めた。価格と性能がイーサネット(10BASE-TX)と遜色がなくなれば、ケーブルの敷設が不要な無線LANのメリットは大きい。今後、高速無線LANはLAN環境へ大きく浸透し、イーサネットと並ぶLANの主流となる可能性がある。これらイーサネットと高速無線LANは、ともにIEEE(米国電気電子学会)のLAN技術を検討する802委員会により標準化が進められている。

 イーサネットはIEEE802.3、高速無線LANはIEEE802.11という標準にそれぞれ基づいており、伝送速度・通信媒体によってこれらの規格はさらにいくつかの種類に詳細化されている。

さまざまなIEEE802

 イーサネットは、これまでIEEEで「IEEE802.3」として標準化が進められてきたもので、現在でも伝送速度の高速化を中心に規格の拡張が進められている。最初の標準規格では、通信媒体(メディア)として同軸ケーブルを使用することが定められたが、その後シールドなしのツイストペア ケーブル(UTP:Unshielded Twist Pair Cable)、光ファイバをメディアとしたものも標準に加えられた。イーサネットの各種バリエーションは、IEEE802.3に続く一文字のアルファベットによって区別される。IEEE802.3の各規格を表「各種IEEE802.3規格」にまとめる。また、IEEE802.3の各バリエーションには規格名として、「10BASE-T」といった「XX BASE-YY」形式の呼び名がつけられている。このうち"XX"の部分は伝送速度を表す数値で、10であれば10Mbits/s、100であれば100Mbits/sという意味になる。また、YYの部分はメディアの種別を表すのだが、各通信速度によって、表記ルールが定められている。現在、これらの規格の中で主流であるのは、10BASE-Tと100BASE-TXの2つだ。

標準化規格名 IEEE802.3i IEEE802.3u IEEE802.3z IEEE802.3ab
規格名 10BASE-T 100BASE-TX 1000BASE-SX/LX/CX 1000BASE-T
使用媒体 UTP UTP SMF(LX)/MMF(LXSX)/STP(CX) UTP
伝送速度 10Mbits/s 100Mbits/s 1Gbits/s 1Gbits/s
最大セグメント長 100m 100m 100m
IEEE802.3の主要な規格
SMF: シングルモード ファイバ/MMF: マルチモード ファイバ/STP:シールド付きツイストペア ケーブル

 

 
     
 INDEX
  [特集]最適ネットワーク機器選択術
  1. イントロダクション
  2. イーサネットの基礎の基礎
    2-1. イーサネットの基本はCSMA/CD方式にある
    コラム:IEEE802の各種規格
    2-2. イーサネットのフレーム形式とコリジョン ドメイン
    2-3. 現在の主流、100BASE-TXを知る
      コラム:10BASE/100BASE以外のLAN規格
  3.
    3-1. デスクトップPCには100BASE-TX PCIカードが最適
      コラム:できれば避けたいISAイーサネット カード
    3-2. 一般的な100BASE-TX PCIカードの選択ポイント
    3-3. 100BASE-TX PCIカードの付加機能をチェックする
      コラム: イーサネット カードにおけるサーバ用とクライアント用の違い
    3-4. ノートPC用にはPCカードから選ぶ
    3-5. 100BASE-TX CardBusか、10BASE-T 16bit PCカードか?
    3-6. PCカードならケーブルの接続方式がポイント
    3-7. イーサネット ケーブル直結方式は便利か?
      コラム:USBによるイーサネット接続
    3-8. デバイス ドライバは重要な選択ポイント
    3-9. もう1つのソフトウェア サポート − ユーティリティ
      コラム:Linuxのためのイーサネット カード選び
  4.
    4-1. ハブ/スイッチの種類と機能
    4-2. ハブ/スイッチ選択の基礎知識
      コラム:そのほかのネットワーク機器
    4-3. ハブ/スイッチ選択のポイント

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