Windows 2000 Insider/PC Insider合同特別企画

Windows XPの正体
―― 実験/実証によって探るWindows XPの真実の姿 ――

Windows XPで正式サポートされたDVD-RAM

元麻布春男
2001/08/22


 Windows XPで新しくサポートの加わったハードウェア・デバイスの1つにDVD-RAMドライブがある。Windows 2000やWindows Meといった既存のOSでは、DVD-RAMドライブはCD-ROMドライブとして認識されるため、標準状態のままではメディアへの書き込みができない「リード・オンリー」のデバイスとなってしまう(Windows 2000のDVD-RAMサポートについては「特集:DVD-RAMの実像」を参照のこと)。もちろん、Windows 2000にCD-ROMドライブとして認識されていても、DVD-ROMやDVDビデオが採用するUDF 1.02の読み出しをCD-ROMドライバがサポートしているため、こうしたメディアの読み出しは行える。さらに、DVD-RAMドライブにはWriteDVD!に代表されるドライバ/ユーティリティ類が必ず添付されており、こうしたツールを用いることで、メディアへの書き込みも可能になる。ただ、やはりこうした中途半端な対応はあまり気持ちのいいものではない。

 一方Windows XPでは、DVD-RAMドライブがDVD-RAMドライブとして認識されるようになった。つまり、WriteDVD!のようなサードパーティ製のドライバ/ユーティリティ類がなくても、データの書き込みが可能である。ここでは、このWindows XPのDVD-RAMドライブのサポート状況と、DVD-RAMで用いられるファイル・システムについて、Windows XP RC1(日本語版)をベースに検証してみた。

DVD-RAMのドライブ・レターが1つになったWindows XP

 現在DVD-RAMドライブは、松下電器産業、日立製作所、東芝といったメーカーから販売されている。今回の検証に用いたSD-W2002は、東芝製のATAPI対応の内蔵ドライブである。ラベルには2001年3月製と書かれている。いわゆるバルク扱いで流通しているドライブだが、上記のとおり、既存のOSではドライブ単体での書き込みができないため、ライティング・ソフトウェアとして「WriteDVD!」が添付されている。従来のWindows OSの場合、ライティング・ソフトウェアのない状態では、SD-W2002は一般のCD-ROMドライブとしてシステムに認識され、CD-ROMドライブと機能的に区別することはできない。

プロセッサ Pentium 4-1.8GHz
マザーボード Intel D850GB (Intel 850)
メモリ 256Mbytes PC800 RDRAM
ハードディスク Maxtor DiamondMax Plus 60
グラフィックス・カード WinFast GeForce3 TD
ネットワーク Intel PRO/100+
サウンド ヤマハYMF744
テストに用いたシステム

 このSD-W2002を上表のようなシステムに組み込み、Windows XP RC1日本語版をクリーン・インストールした。下の画面は、OSインストールが終わった状態のもので、WriteDVD!を組み込んでいないにもかかわらず、SD-W2002がDVD-RAMドライブとして認識されていることが分かる。ここで注目すべきは、SD-W2002がDVD-RAMドライブとして1つのドライブ・レターしか占有していないことだ。

DVD-RAMドライブのインストール直後の[マイ コンピュータ]画面
画面のようにWindows XPの[マイ コンピュータ]の[リムーバブル記憶域があるデバイス]では、フロッピードライブとともにDVD-RAMドライブが認識されていることが分かる。
  Windows MeやWindows 2000ではCD-ROMドライブとして認識されていたが、Windows XPは「DVD-RAMドライブ」と認識している。

 Windows 2000にWriteDVD!を組み込むと、SD-W2002はCD-ROMドライブとリムーバブル・ディスクの2つのデバイスとして認識され(ドライブ・レター2個を占有する)、ロードしたメディアによりアクセスすべきドライブ・レターが変わってしまうという問題があった。しかし、Windows XPは、SD-W2002を読み書き可能な1つのデバイスとして認識するため、ドライブ・レターを1つしか占有していない。この状態でSD-W2002に用いられているデバイス・ドライバの詳細を調べると、下の画面のような結果となった。これを見ると分かるように、DVD-RAMドライブ専用のデバイス・ドライバがWindows XPで追加されたのではなく、CD-ROM用のドライバであるcdrom.sysがDVD-RAMにも対応するように拡張されたわけだ。

DVD-RAMドライブの[ドライバ ファイルの詳細]画面
[ドライバ ファイル]を見ると分かるように、DVD-RAMドライブ専用のデバイス・ドライバがWindows XPで追加されたわけではない。
  ドライバは、Windows 2000などと同様、cdrom.sysが使われる。

Windows XPが対応するディスク・フォーマット

 この状態でSD-W2002で可能なことは何か。言い換えれば、SD-W2002はどのようなディスク・フォーマットのメディアを読み書きできるのだろうか。これを調べるために、さまざまなファイル・システムでフォーマットされた各種のメディアを用意した。すべて、事前にWindows 2000上で適切なフォーマット・ユーティリティによりフォーマットしたものだ。また、比較のために、2台のDVD-ROMドライブも用意してみた。1台はパイオニアのDVD-RW対応のDVD-ROMドライブ「DVD-116」、もう1台は日立製作所のDVD-RAM対応のDVD-ROMドライブ「GD-7500」だ。いずれもATAPI対応の内蔵ドライブである。

ユーティリティ名 ベンダ名 対応メディア 備考
WriteDVD! ソフトウェア・アーキテクツ DVD-RAM 現在のDVD-RAMの標準的なフォーマット・ユーティリティ
PrimoDVD イージーシステムズジャパン CD-R/RW、DVD-R/RW DVD-R/RWはディスク・アット・ワンスのみ対応
DVDit!LE ソニック CD-R/RW、DVD-R LE版は製品バンドル向け。DVDit! Ver.2.3ではDVD-RAMをサポート
PacketMan アプリックス CD-R/RW、DVD-RW DVD-RWで現在のところ、唯一データ書き込みが行える。PacketManでフォーマットしたメディアを読み出すためのPacketManリーダーが無償配布されている
テストに用いたフォーマット・ユーティリティ

 その結果をまとめたのが下表だ。Windows 2000での読み出しテストの結果と比べてみれば、Windows XPでの改良点が明らかになる。FAT32での読み出しと書き込み、UDF 2.0xの読み出しが、Windows XPで新たにサポートが加えられた機能ということになる。唯一、書き込みが可能になっていることから、FAT32がWindows XPでのDVD-RAMドライブにおける標準ファイル・システムと考えることができる。実際、Windows XPがDVD-RAMメディアに対するフォーマット作業をサポートしているのも、FAT32だけである。実は、何かの拍子(?)にDVD-RAMメディアをNTFSでフォーマットできてしまったし、フォーマット時はクイック・フォーマットのチェック・ボックスをチェックしておかないと、いつまでもフォーマットが終わらない、という問題にも遭遇した。しかし、これらはRC1固有の問題かもしれない。

      東芝SD-W2002 パイオニア DVD-116 日立製作所 GD-7500
メディア ファイル・システム フォーマット・ユーティリティ *1 読み出し 書き込み 読み出し 読み出し
DVD-RAM FAT32 WriteDVD! N/A *3
DVD-RAM UDF 1.02 WriteDVD! × N/A *3
DVD-RAM UDF 1.50 WriteDVD! × N/A *3
DVD-RAM UDF 2.00 WriteDVD! × N/A *3
DVD-RAM UDF 2.01 WriteDVD! × N/A *3
DVD-R UDF 1.02 PrimoDVD × N/A *3
DVD-RW UDF 1.02 DVDit! LE *2 × N/A *3
DVD-RW UDF 2.00 PacketMan × N/A *3 × ×
DVD-ROM UDF 1.02 プレス
3台のドライブによるWindows XP RC1での読み出しテスト(追加ソフトウェアなし)
*1 それぞれのメディアは事前にWindows 2000上でそれぞれのツールを用いてフォーマット済み
*2 DVDit! LEはDVD-RWに正式対応していないが、書き込みは可能
*3 ハードウェア的に非互換
 
      東芝 SD-W2002 パイオニア DVD-116 日立製作所 GD-7500
メディア ファイル・システム フォーマット・ユーティリティ 読み出し 書き込み 読み出し 読み出し
DVD-RAM FAT32 WriteDVD! × × N/A *3 ×
DVD-RAM UDF 1.02 WriteDVD! × N/A *3
DVD-RAM UDF 1.50 WriteDVD! × N/A *3
DVD-RAM UDF 2.00 WriteDVD! × × N/A *3 ×
DVD-RAM UDF 2.01 WriteDVD! × × N/A *3 ×
DVD-R UDF 1.02 PrimoDVD × N/A *3
DVD-RW UDF 1.02 DVDit! LE × N/A *3
DVD-RW UDF 2.00 PacketMan × N/A *3 × ×
DVD-ROM UDF 1.02 プレス
Windows 2000での読み出しテスト(追加ソフトウェアなし)

 プレス工程により量産されるDVD-ROMおよびDVDビデオ・ディスクに用いられるUDF 1.02と、CD-RやCD-RWの書き込みを想定したファイル・システムであるUDF 1.50は、すでにWindows MeやWindows 2000でもサポートされていた。SD-W2002上でDVD-RやDVD-RW上のUDF 1.02ファイル・システムが読めなかったのに驚いたが、おそらくこれはSD-W2002のハードウェア(あるいはファームウェア)の問題で、OSやメディアの問題ではないと考えられる(その証拠にGD-7500やDVD-116はWindows 2000でもWindows XPでもこれらのメディアからの読み出しが可能だ)。

 SD-W2002のスペックは、東芝の製品情報ページに用意されており、ここではSD-W2002がDVD-RおよびDVD-RWの読み出しをサポートしていることが明記されている。しかし、手元にあるドライブは初期型なのか、それともたまたまそういう仕様をOEMが要求したものなのか、理由は不明だがDVD-RとDVD-RWの読み出しをドライブ自体がサポートしていないようだ。ほかにも、Web上のスペック・シートではサポートされているはずのUltra DMAモードのサポートも、手元のドライブではサポートされていなかった(マルチワードDMAモード2までのサポート)。Web上に記載された仕様によれば、SD-W2002での読み出しテストの結果はGD-7500と同様の結果になるはずである。

DVD-RAMへの書き込みはFAT32のみサポート

 基本的にFATファイル・システムは、リムーバブル・メディアに対するWindowsの標準ファイル・システムである。DVD-RAMのようにFAT16の限界である2Gbytesを超える容量のメディアでは、自ずとFAT32ファイル・システムが使われることになる*1。Windows XPがDVD-RAMドライブをサポートするのに際し、FAT32を選んだことも、それほど不思議ではない。

*1 FAT16でDVD-RAMの容量を使い切るには、2Gbytes以内の容量のパーティションを複数個、設定する必要がある。しかしマイクロソフトは、リムーバブル・メディアにFDISK互換のパーティション設定を行うことを推奨していない。

 一方、Windows XPが読み出しのみをサポートしたUDF 2.0xは、本来はDVD-RAMのようなランダム・ライトをサポートしたデバイスを想定したファイル・システムである。上表のDVD-RWの項にあるPacketManは、アプリックス製のパケット・ライティング・ソフトウェアで、CD-R/CD-RWに対してはUDF 1.50で、DVD-RWに対してはUDF 2.00での書き込みと読み出しをサポートする(DVD-Rには未対応)。だが、どうやらPacketManで書かれたメディアを読み出すには、OSがUDF 2.0xをサポートするだけでなく、専用のリーダー・ソフトウェア(PacketManリーダー)が必要なようだ(アプリックスの「PacketManリーダーのダウンロード・ページ」)。標準状態のWindows XPでアクセスを試みると、下の画面のようなエラー・ダイアログが返ってくる。

PacketManで書き込みを行ったディスクにアクセスした場合のエラー
PacketManで書き込みを行ったディスクをWindows XPで読み出そうとすると、画面のようなエラー・ダイアログが現れる。Windows XPは、DVD-RAMのUDF 2.0には対応しているが、DVD-RWのUDF 2.0には対応できていないようだ(PacketManのフォーマットに原因がある可能性も否定できない)。

 WriteDVD!でUDF 2.0xフォーマットしたDVD-RAMメディアは、上述のとおり読み出しが可能だが、書き込もうとすると、下の画面のようなエラー・ダイアログが表示される。このダイアログは、ほかのUDFの場合と共通で、一律に書き込みの行えないCD-ROM扱いを受けるようだ。UDF 2.0xは登場して間もないだけに、OSで標準サポートするほど「枯れていない」ということなのだろうが、読み出しだけでもUDF 2.01をサポートする理由は、今後登場するであろう民生用のDVDレコーダーやビデオ・カメラで、UDF 2.0xをサポートしたものに対応する(データ互換性を持たせる)ということらしい。

UDF 2.0xフォーマットしたDVD-RAMメディアに書き込みを試みたところ
UDF 2.0xでフォーマット済みのDVD-RAMメディアに対し書き込みを行おうとすると、画面のようなエラー・ダイアログが現れる。FAT32での書き込みはサポートするものの、UDF 2.0xでの書き込みはサポートしていないことが分かる。

 ちなみに、書き込みができないUDFのDVD-RAMメディアだが、これらのメディアもFAT32でフォーマットし直すことは可能であり、フォーマットし直すことで書き込みが可能になる。また、Windows XPであろうと、WriteDVD!のインストールを行うことで、Windows 2000までと同様、各種のUDFフォーマットでの書き込みが可能になるが、再びSD-W2002は「リムーバブル ディスク」と「CDドライブ」の2つのドライブとして認識されるようになる。痛し痒しというところだ。

WriteDVD!をインストールした後の[マイ コンピュータ]画面
Windows XP上でUDF 2.0xでの書き込みを行うには、WriteDVD!のインストールが必要だった。ただし、WriteDVD!のインストールを行うと、この画面のように「リムーバブル ディスク」と「CDドライブ」の2つのドライブとして認識されてしまい、挿入しているメディアの種類によってドライブ・レターを使い分けなければならなくなる。
  [リムーバブル ディスク]はDVD-RAMメディアの場合、[CDドライブ]はCD-ROMやDVD-ROMなどの場合といったように、ドライブに挿入したメディアの種類によってドライブ・レターの使い分けが必要となる。

 Windows XPにより標準サポートされることで、DVD-RAMドライブの使い勝手が大きく向上することは間違いない。問題は、現時点でGD-7500のような、DVD-RAMメディアとハードウェア的に互換性を持つDVD-ROMドライブの種類が、きわめて限定されることだろう。しかも、今のところ増える様子があまりみられないのだが、Windows XPの登場がこの傾向に変化をもたらすのか、注目されるところだ。記事の終わり

  関連記事(PC Insider内) 
DVD-RAMの実像

  関連リンク 
SD-W2002の製品情報ページ
PacketManリーダーのダウンロード・ページ


 INDEX
  Windows 2000 Insider/PC Insider合同特別企画
    Windows XPの正体
    次世代に向けたCD-R/RWの書き込み機能のサポート
    セーフモードが高解像度対応になるWindows XP
    文字表示を滑らかにする新技術「ClearType」
  Windows XPで正式サポートされたDVD-RAM
    大幅に改善されたWindows XPのIDEサポート
    Windows XPのドライバ・インストールに関する安全機能
    高速化されたWindows XPのスタンバイ状態と休止状態
   
 
 
Windows XPの正体


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