第3回 ウイルス対策に重要なのは「多層防御」


竹島 友理
NRIラーニングネットワーク株式会社

2008/10/9

セキュリティ対策に“完ぺき”を追求するのは難しいため、いくつもの対策を重ねる「多層防御」を考えるべきだとされています。もちろんこれは迷惑メール対策でも同じことです。連載第3回では、Exchange 2007での多層防御をどう実現するかを解説します(編集部)

 ウイルスは組織にとって大きな脅威となるため、ウイルスに感染したメッセージが組織内に侵入した場合は、できるだけ早期にウイルスを検出して駆除することが重要です。連載第3回は、Exchange Server 2007の標準のウイルス対策機能について見ていきます。

 エッジで守れ! ハブでも守れ! メールボックスでも守れ!

 メッセージ用ウイルス対策ソフトウェアを実行する最も重要かつ適切な場所は、インターネットと内部ネットワークの境界に配置するエッジトランスポートサーバです。これが、組織内における最初の防衛線となるからです。

 しかし、これだけではありません。組織内で2番目の防衛線となるハブトランスポートサーバと、メッセージングデータを格納しているメールボックスサーバにもウイルス対策ソフトウェアは必要ですし、ユーザーのデスクトップコンピュータにも必要です。ウイルス対策ソフトウェアは、何層にもわたって展開してください。それによって、より強力にウイルスを防御できます。

 エッジトランスポートサーバとハブトランスポートサーバには、Exchange Server 2003から新しいトランスポートエージェントがサポートされているので、Exchange Server 2007では、新しいトランスポートエージェントに準拠したウイルス対策ソフトウェアを実行してください。メールボックスサーバでは、ファイルレベルのウイルス対策ソフトウェアと、Exchange Server 2003から引き続きサポートされているVSAPI 2.5(Virus Scanning Application Programming Interface)に準拠したウイルス対策ソフトウェアを実行してください。

 VSAPI 2.5は、Exchange Serverのメールボックスサーバ上で実行される、すべてのウイルス対策ソフトウェアで使用されており、標準のメールフローからではなく、CDO(Collaboration Data Objects)やExchange Webサービスなど、別の手段でデータベースに送信されてくるメッセージや攻撃に対する、唯一の保護手段となります。

 使用しているVSAPIのバージョンこそはExchange Server 2003と同じですが、Exchange Server 2007で利用されているVSAPIは64ビットアプリケーションです(Exchange Server 2003までは32ビットアプリケーションです)。従って、従来のバージョンのExchange Server用に作成されたウイルス対策ソフトウェアでは正しく動作しない可能性があるので、必ずExchange Server 2007用のソフトウェアを使用してください。

 ところで、Exchange Server 2007には、ウイルス対策ソフトウェアは標準では組み込まれていません。従って、まず、はじめに、サードパーティのウイルス対策ソフトウェアを導入するのか、マイクロソフトが提供しているウイルス対策ソフトウェアパッケージ、Microsoft Forefront Security for Exchange Server(以下、FSE)を導入するのかを計画する必要があります。

 新たにサポートされたExchange用のForefront

 Exchange Server 2007は、FSEをサポートしています。これは、Exchange Server 2007と完全に統合している(Exchange Server 2007の機能を拡張してくれる)、マイクロソフトのウイルス対策ソフトウェアパッケージで、複数のウイルス対策エンジンを同時に使用できるという利点を持っています。

【関連記事】
Forefrontが実現する包括的セキュリティ(全4回)
http://www.atmarkit.co.jp/fsecurity/rensai/forefront01/forefront01.html

 メッセージ転送を担当するエッジトランスポートサーバとハブトランスポートサーバにFSEを展開した場合、送受信されるメッセージをFSEがスキャンしてくれます。そして、メールボックスサーバにFSEを展開した場合、メールボックスデータベースとパブリックフォルダデータベースの中をスキャンしてくれます。

 このとき、Exchange Server 2007の“ウイルス対策スタンプ”機能と組み合わせることができます。ウイルス対策スタンプとは、スキャンを実行したウイルス対策ソフトウェアのバージョンやスキャン結果を、そのメッセージに残すことです。

 この機能を使用すると、インターネットから受信したメッセージが「エッジトランスポートサーバ→ハブトランスポートサーバ→メールボックスサーバ」と組織内を移動する際、メッセージをその都度スキャンしなくなるので、スキャン回数を減らせます。例えば、エッジトランスポートサーバでスキャンされたメッセージにウイルス対策スタンプを付けると、それ以降、メールボックスサーバなどでスキャンを省略できます。これによりサーバの負荷が軽減され、メッセージ配信処理のパフォーマンスが上がります。

 
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Index
ウイルス対策に重要なのは「多層防御」
Page1
エッジで守れ! ハブでも守れ! メールボックスでも守れ!
新たにサポートされたExchange用のForefront
  Page2
Exchange Server 2007が持つ2つのウイルス対策フィルタ
添付ファイルの脅威を防ぐ
  Page3
トランスポートルールを活用し、条件一致で一括処理を

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