第3回 情報漏えい対策――保存と検閲で「もしも」に備えよ


藤澤 英治
株式会社CSK Winテクノロジ
2007/6/4


 アーカイブに必要なリソースは

 ここまでは、電子メールをアーカイブするための方法を説明しましたが、今度はアーカイブするために必要なリソースについて説明します。

 電子メールのアーカイブを行うときに重要なことは保存するハードディスクのサイジングになります。通常、メールサーバを構築する場合には1人当たりに用意するサイズの上限値を決めます。すなわち1人当たりのメールボックスのサイズ制限が100MBであれば単純に100MB×社員数となります。通常の運用であれば特にこれで問題はありません。

 しかし、電子メールのアーカイブを行うためのディスク容量として同じ数式を当てはめることはできません。なぜならばメールボックスのサイズを制限されたユーザーは、その制限にかからないように電子メールをローカルに保存したり、不要な電子メールを削除するなどして制限内に収まるようにしているからです。重要なのは、メールボックスに入っている容量とアーカイブすべき容量は違うということです。

 では、アーカイブに必要な容量はどのように求めたらよいでしょうか、参考となる考え方を以下に説明します。

アーカイブ容量

    =平均メールサイズ×1人1日当たりの送受信数

×社員数×保存日数×安全率

 それぞれの係数の考え方は以下の通りです。

  • 平均メールサイズ
    ピーク時を含めて1カ月から3カ月くらいのメールトラフィックを調べて平均サイズを算出することをお勧めします。また、平均を求めるときに社内メールなのか、社外との電子メールなのかも明確にしておくとどの方法を使う場合にも有効です

  • 1人1日当たりの送受信数
    社内、社外それぞれについて、1日の平均送受信数を算出します。1人当たりの送受信数を算出しておけば、人数の増減があっても簡単に必要容量を求めることができます

  • 社員数
    電子メールの送受信を行う人数になります。アルバイトなどを使っていて、かつ電子メールを業務に利用している場合にはその人数も含めます

  • 保存日数
    ディスク上にどのくらいの期間分を保存しておくかを決めます

  • 安全率
    運用を開始した後で、突然トラフィックが上がってしまったなどの事態が発生した場合にも対応できるように30%から50%くらい多めにディスク容量を見積もります

 また、効率よくアーカイブをさせるためにはスパムメールへの対策も同時に検討することが望ましいでしょう。単純に電子メールのトラフィックを算出したとして、その電子メールのほとんどがスパムメールである可能性があります。社外からの電子メールの約70%がスパムメールであるというデータもありますので、不要な電子メールはアーカイブしないように作ることも重要です。この対策を誤るとアーカイブするデータの半分以上が無用な電子メールということになりかねないので注意が必要です。

 このアーカイブには隠れたメリットがあります。アーカイブシステムを導入したとアナウンスしただけで社員が意識し、私用メールが激減する傾向があるようです。

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Index
情報漏えい対策――保存と検閲で「もしも」に備えよ
  Page1
メールアーカイブとバックアップは異なる
どのように電子メールをアーカイブするのか
Page2
アーカイブに必要なリソースは
  Page3
フィルタリングで問題のある電子メールを判定
システムだけの対応ではなく、社内ルールの徹底も重要


電子メールセキュリティの基礎知識 連載インデックス


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