システムベンダブリーフィング

システムインフラベンダ ブリーフィング(13)

データセンターネットワーキングの明日


三木 泉
@IT編集部
2009/10/27

マクデータなどの買収により、SAN市場での地位を強化したブロケードコミュニケーションズシステムズは、イーサネットスイッチ/ルータで知られるファウンドリ・ネットワークスを買収。シスコシステムズに唯一対抗できる企業とみなされるようになってきた。米ブロケードCEOに、新生ブロケードの戦略について聞いた

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 ブロケードコミュニケーションズシステムズは、ストレージネットワーキング(SAN)用のファイバチャネルスイッチで成長してきた企業だ。サーバベンダやストレージベンダとの強力な関係を築き、ファイバチャネルスイッチでは圧倒的なシェアを握っている。最近ではイーサネットスイッチ/ルータで知られるファウンドリ・ネットワークスを買収。シスコシステムズの対抗馬としての存在感を増してきた。同社CEOのマイケル・クレイコー(Michael Klayko)氏に、ブロケードの戦略と、同社が8月に発表したネットワンシステムズとの協業について聞いた。太字は編集部の質問および補足である。

 まず、ブロケードは何を事業分野として認識しているのか。

 われわれはネットワークに専心している。ファイバチャネル・ネットワーキング、IPネットワーキング、イーサネット技術を提供している。マクデータ、CNT、ファウンドリ・ネットワークスなどさまざまな買収を通じて、設立後14年でありながら26年の経験を手に入れ、ネットワーク分野では考え方をリードする企業として認識されるようになった。

 ソフトウェアベンダやサーバベンダを買収する気はない?

 あり得ない。シスコはその分野に参入することで多少の教訓を得たのではないかと、私は考えている。われわれは自分たちの守備範囲で非常にうまくやっている。IPネットワークにしろ、SANにしろ、ネットワークは世界中で信じられないレベルの成長を見せている。当社は1つの事業分野にフォーカスしている。それによって財務体質も強くなっている。あらゆる種類のネットワークにわたって相乗効果を発揮できるし、幸いなことに安定して年率35%で成長できている。

 国際的に景気後退の時期にあっても、この市場は急速に成長している。どんなに景気が悪くてもデータ量の増大やデータの流れを止めることはできない。だからこそ誰もが、どうすればいままでと違うやり方で対応できるか苦慮している。ここに当社のビジネスチャンスがある。

 ネットワーク機器市場で伸びる方法

 エクストリームネットワークスもジュニパーネットワークスも、いまでは以前ほど伸びていない。ネットワーク機器市場をどう見ているのか。

 われわれはこの分野で伸びている。それはなぜか。思い切った言い方だが、いま顧客の間には「品質に関する恐れ」がある。以前は例えばシスコからもっと多くの機器を買うという選択肢しかなかった。しかしいまではデータ量の成長率がネットワークのアーキテクチャを超えてしまったため、顧客は「自社が新しいアーキテクチャを取り込む助けをどのベンダがしてくれるのか、どのベンダがコストを構造的に低減してくれるハイパフォーマンスな製品を持っているのか」と考えるようになっている。

 当社は4つの点に注力している。まず革新性。社内で革新性を計る基準を設けている。過去6四半期以内に発売した製品が、全社的な売り上げの60〜80%を常時占めるように努めている。事実上、当社は2年ごとに自社を完全に生まれ変わらせている。変化の激しいこの市場ではそうせざるを得ない。

 第2のフォーカスは品質だ。「これで十分」という考え方はしない。ストレージの世界では99.9999%の可用性を確保してきた。この考え方をそのままIPの世界に持ち込もうとしている。品質は当社における大きな差別化の要因だ。

 第3に、当社は低コストな製品の提供者を目指している。最高のパフォーマンスを発揮する最も革新的な製品を最も低コストで提供すれば人々はわれわれを選択してくれる。

 第4に低リスクであることだ。特に日本市場は多少リスクに敏感だと感じている。変化に時間が掛かる場合もある。従って、手に入るテクノロジをどう活用しながら、その実装におけるリスクを低減するかが課題になる。当社の信条は、個々の企業がそれぞれのペースでテクノロジを取り込むことを支援するということにある。当社からすれば、ますます多くの従来製品との後方互換性を確保しなければならず、複雑化する。しかし顧客の企業それぞれのペースでの移行が可能になる。

 シスコをはじめとするほかのベンダが持つ急進的な技術は、お客さまに大規模な変化を要求する。これがリスクを生み出す。しかし人々は現在、リスクには敏感になっている。

 われわれはExtraordinary Networkというコンセプトを掲げている。これも革新や品質、リスク管理、コストポイントといった考え方に直結する。実際に提供するのはなかなか大変だ。革新に関しては、例えば次のようなことを行った。

 5年前、当社は製品を設計し直した。これはエネルギー効率に関するメッセージを出すためだけだった。このために約4500万ドルという巨額の資金を費やした。ほかの機能はまったく変えなかった。当社はエネルギーの使い方が市場における差別化要素になると信じていたからだ。他社の製品に比べ、10倍もエネルギー効率が高い製品もある。いまではこの問題は世界的に差し迫った問題になっている。われわれは、これで数々の案件を獲得した。

 
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