ストレージ・アーキテクトになろう(1)

連載:ストレージ・アーキテクトになろう(4)

ストレージの運用設計をどうするか


EMCジャパン株式会社
グローバル・サービス統括本部
マネージド・サービス部 部長
森山 輝彦
2009/1/20

 4. 保守対応

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 障害が発生してから対応するのではなく、障害を予防するための実施するタスクとして保守対応があります。統合ストレージ基盤でもこの保守対応は重要な運用管理業務の1つです。ストレージ基盤の保守作業の実施は、ベンダの保守担当員が実施するのが普通ですが、その作業を実施するための調整業務などは、自社要員、もしくは外注要員にて対応することになります。最近の統合ストレージ機器は、ほとんどの場合、活性保守(ストレージ機器を使用した状態での保守)が可能となっていますが、瞬間的な性能の遅延などが発生することも多くあります。ほとんどの場合、問題となるほどの影響はありませんが、性能要件が厳しい業務システムが接続されている場合などは、業務時間外やアクセスの少ない時間帯などで、保守を実施するなどの調整が必要になります。あらかじめ年間保守日などを設定できる場合は、その計画日に合わせて対応することが可能ですが、そうでない場合は、保守日の設定のための調査、調整などにそれなりの工数がかかります。

 この保守対応の最も影響の大きなイベントが、ストレージ筐体の移行(リプレース)です(保守のカテゴリで扱うことは一般的ではないですが、運用フェイズの最後に発生するイベントとして、この項目に入れました)。

 導入後、数年経過してから発生するこのストレージ移行では、ストレージハードウェアのマイクロコードの差異により、旧ストレージに接続されていたシステムがそのままの状態で接続できない(システム側のサポート状況と接続性サポートの問題)場合が多く見られます。業務サーバのライフサイクル、ストレージ基盤のライフサイクルなどを考慮し、ストレージ筐体移行時の影響を可能な限り小さくするよう、考慮しておくべきです。

 これらの保守は、予防保守のような積極的な対応の場合も多くありますが、ベンダのサポート切れによる対応が必要になる場合も少なくありません。計画的な作業を実施していくためにも、ベンダの保守ポリシーや保守契約の内容などを確認しておくことは重要です。自社の業務のライフサイクルや、業務サーバOSやミドルウェアのライフサイクルなどと共に、IT基盤の中長期の保守計画を立案するための情報をベンダに要求してください。この対象は、ハードウェア、マイクロコード、ソフトウェアが含まれます。

 5. 問い合わせ対応

 日常業務の1つではありますが、製品、機能に関する問い合わせ、新たな業務サーバの接続に伴う、接続性の確認に関する内容、ストレージ利用中に業務サーバ側で検知されるさまざまなディスク関連のメッセージに対する内容、性能遅延が発生した場合の問い合わせなどが代表的です。共有ストレージ・サービスを提供している場合は、そのサービス内容に関する問い合わせも発生します。ITILのカテゴリでは、サービスデスクの機能です。

 このような業務を、サービスデスクに移管する、もしくは、ストレージ担当者(チーム)が、この機能の一部を担うなどを検討します。問い合わせの頻度が高い場合、必要な情報をイントラネットへ公開したり、FAQなどを整備したりする取り組みも多く見られます。技術的に高度な内容の問い合わせに関しては、ベンダの問い合わせ窓口の利用や担当営業/SEへの問い合わせなどを実施しながら対応することになります。

 実際の運用の現場では、この類の対応に必要となる工数が決して無視できない量となっていることが多く見られます。効率を考えた場合、自社内のストレージ担当者のスキルレベルの向上と採用するストレージ基盤技術の標準化が効果的です。運用開始後の一定期間、ベンダSEの支援を得ることも有効な施策の1つです。

 運用設計では、統合ストレージ基盤構築後の運用フェイズに発生するさまざまなイベントを想定し、誰がその役割を担っていくかを自社の運用方針と照らし合わせて検討していくことになります。自社要員(ストレージ担当、サーバ担当、ネットワーク担当等)、もしくは外注要員の役割分担と、担当要員の教育、ベンダによるトレーニングへの参加計画、ベンダSEの業務委託の利用、アウトソーシング契約、共有オペレータへの業務移管など、その検討可能な選択肢は多岐にわたります。

 最近は、ITIL、ISO20000など、ITの運用フェイズに焦点を当てたベストプラクティスの検討や導入も多く聞かれます。ただ、むやみにベストプラクティスを導入していくと、実施すべきタスクが増え、品質の向上は見られるかもしれませんが、工数も増加します。自社の目標に合ったレベルを選択することが重要です。それぞれのタスクの実施者の決定も重要な検討項目であり、昨年より、日本クイントにて、“アウトソーシング・ガバナンス・ファンデーション”というトレーニング・コースが開始されています。このコース内でも、需要と供給のバランスを考慮し、適切に担当要員の配置、調達を実施することを説いています。

 統合ストレージ基盤の調達の際、以前に比べれば、この運用計画、運用要員に関する項目を掲げているRFPを見かけるようになりましたが、決して多くはありません。

 運用フェイズでの対応に関しても十分検討をした上で、統合ストレージ基盤の調達を実施することを忘れないでください。

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Index
ストレージの運用設計をどうするか
  Page1
統合ストレージ ―― 運用契約、組織の役割分担
1. 案件対応
  Page2
2. 日常業務
3. 障害対応
Page3
4. 保守対応
5. 問い合わせ対応

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