XenServerを極める(2)

第4回 XenServerの持つ機能とツール群


シトリックス・システムズ・ジャパン株式会社
2008/9/29


 Citrix Provisioning Server

 データセンターを仮想化する場合、すべてのサーバを仮想化するケースはほとんどない。必ず、物理マシンと仮想マシンが混在しIT管理者はそれら仮想マシンと物理マシンを管理しなければならない。仮想化のベストプラクティスは、現在の物理環境に仮想環境を溶け込ませることであると考えている。すなわち、仮想環境だけがほかの物理環境と異なる管理をしなければならないようなことはなるべくすべきではなく、物理環境の管理手法をベースとして、さらにXenMotionに代表される仮想環境ならではの管理が可能になるべきだと考えている。今後出てくる新たなイノベーションを持ったツールは物理マシンと仮想マシンの両方をサポートする必要がある。

 XenServer Platinum EditionにバンドルされているCitrix Provisioning Server(以下PVSと略す)は、まさにそのような物理マシンと仮想マシンを管理することができる新しい発想を持った製品である。PVSはサーバのアプリケーションワークロードを管理し、IT管理者の指示によりそのアプリケーションワークロードを物理マシン、仮想マシンを問わず自由に割り当てることができる。アプリケーションワークロードとはOS、コンフィグレーション、アプリケーションが含まれたデータである。すなわち、PVSのディスクの中に、アプリケーションワークロードを保存するvDISKと呼ばれる仮想ディスクを作成し、そのワークロードを管理対象サーバであるターゲットデバイスに割り当てる。それぞれのターゲットデバイスは割り当てられたアプリケーションワークロードでネットワークブートを行う。

 Citrix XenAppのように同一ワークロードが複数のサーバでサービスされている場合、1つのvDISKから複数のサーバを起動することができる。いわゆるシングルイメージでサーバが起動されるため、サービスパック適応のケースなどはこのワークロードを更新することにより、そのワークロードを使用しているサーバすべてがサービスパックを適応された状態で次回起動される。また、vDISKから起動されたサーバはアプリケーションワークロードに対する更新がvDISKに反映されないため(ユーザー領域は更新される)、常にフレッシュな状態で起動できるという特徴もある。

図3 1つのvDISKから複数のサーバを起動できるため、vDISKを更新することにより、すべてのターゲットデバイスは更新された状態で起動する

 IT管理者がどのサーバにどのアプリケーションワークロードを割り当てるかは、いつでもPVSで設定でき、そのサーバを再起動することで異なるアプリケーションワークロードを割り当てることができる。すなわち昼間はXenAppサービスを提供し、夜間は同じサーバでバッチ処理を起動することや、数台のWebサーバで提供しているサービスをWebサービスの負荷の増加により同じアプリケーションワークロードを新しいサーバに追加し実行することも、ドラッグアンドドロップで容易に可能になるのである。

 いままではハードウェアとアプリケーションワークロードは1対1で固定化されていたが、PVSによりハードウェアとアプリケーションワークロードを分離させることが可能となる。IT管理者は負荷状況に応じ物理と仮想の最適なハードウェアにアプリケーションワークロードをアサインできるだけでなく、シングルイメージによりアプリケーションワークロードの管理も効率化することができる。

 そのほかの機能

 そのほかの機能、ツールを簡単に紹介する。

仮想マシンのHigh Availability (HA)
XenServerのハードウェア障害時の仮想マシンのほかのサーバからの自動再起動の機能については次のバージョンでサポート予定である。

P2V(Windows, Linux)
LinuxのP2Vの機能はXenServerインストールメディアに同梱されている。また、WindowsのP2Vは次のバージョンでサポート予定である。

V2V
他社の仮想化ソフトウェアを使用して作成した仮想マシンイメージをXenServerに移行するV2Vの機能はCitrix ホームページからダウンロード可能である。

DDK
XenServerでサポートされていないデバイスドライバはDDKを使用して作成することが可能である。DDKはCitrix ホームページからダウンロード可能である。

 今回は、XenServerに組み込まれた、また提供されている機能・ツールについて説明を行った。仮想化を補完する機能や仮想化でしか実現できない機能が数多くあり、今後もさらに強化されていくはずである。

 次回はXenServer導入の要件について説明する。

3/3
 

Index
第4回 XenServerの持つ機能とツール群
  Page1
XenMotion
  Page2
Storage Delivery Service
Page3
Citrix Provisioning Server
そのほかの機能


Server & Storage フォーラム 新着記事
@ITメールマガジン 新着情報やスタッフのコラムがメールで届きます(無料)

注目のテーマ

Server & Storage 記事ランキング

本日 月間