「ADC MEETUP 04 Social Gaming」レポート
「ADC MEETUP 04 Social Gaming」レポート


ソーシャルゲームのUI開発は
Adobe AIR/Flashが主役になるか


有限会社オングス
杉山貴章
2012/3/6

ソーシャルの力で楽しさの増幅にチャレンジ

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 バスキュールの北島ハリー氏は、Flashを利用して企業のマーケティングやキャンペーンにソーシャルな要素を融合する事例を紹介した。

 その1つであるナイキのスポーツシューズ「NIKEiD.」のプロモーションは、Web上でユーザーがデザインした靴を、mixiのバナー広告に載せるという試みを行ったという。

 ユーザーは「NIKEiD. FRIEND STUDIO」という特設サイトで、自分の好きな色やマークを利用して「NIKEiD.」をカスタマイズできる。このサービスとmixiのバナー広告を連動させ、バナー上には友人がデザインした靴を表示するようにした。バナーをクリックすると、STUDIO内の友人の靴を見ることができる。

 単に一方的に広告を配信するのではなく、そこに友人というストーリー要素を加えることによって、ユーザーに楽しさを提供すると同時に、広告効果の拡大を狙ったわけだ。その結果、最終的には約91万6000種類のバナーが作成され、クリック数はPCで通常の10倍、モバイル端末では通常の16倍を記録したとのことだ。

NIKEiD. FRIEND STUDIO:HOW TO WORK(北島氏の講演資料より)

 mixiのクリスマスイベント「mixiクリスマス」もバスキュールが手掛けた代表的な作品の1つである。毎年恒例で開催されているこのイベントだが、2011年は新たにテレビCMと連動する企画が盛り込まれた。その結果、テレビCMの放送中は通常時の倍以上クリックされたという。

 サーバ環境は、前年まではGoogle App Engineを利用して構築していたが、2011年はWindows Azureを採用したとのこと。これは自動スケールではCM連動による一時的な負荷の増大に対応できない恐れがあり、短期的に手動でインスタンス数を増減できる機能が必要だったからだという。

テレビCMとの連動にも挑戦したmixiクリスマス2011(北島氏の講演資料より)

バスキュール/バスキュール号 テクニカルディレクター 北島ハリー氏

 また北島氏は、mixiアプリを作る際のTipsとして、タイムアウト制限が10秒であることに触れ、APIのコール回数をなるべく少なくし、memcacheを利用して10秒以内でサーバが強制タイムアウトを行うことを紹介した。Facebookに関しては、Facebookページがセキュア接続を義務化するようになって手続きが煩雑になったことから、手軽に始めるのであればクラウド上でFacebookアプリを展開するのがいいのではないかと語った。

 ソーシャルな要素を持つコンテンツを提供することについて、北島氏は次のように語っている。

「ソーシャルネットワークの魅力は、自分以外の誰かの日常や気使いなどをリアルタイムに感じたり、長期間連絡が途絶えていた人々とのつながりを復活できることではないかと思います。これは凄く楽しいことです。日々の膨大なトラフィックの中に、そういった魅力がパルスのように発生しています。面白いコンテンツを提供することで、これを増幅する役目を担ってみたいと考えています」

Flashのみによるスマホ向けゲーム制作の3事例


フリーランスFlashデベロッパー/ゲーム作家 中野亘氏

 中野亘氏は、ほぼFlashのみで開発した3本のスマートフォン向けゲームについて、その開発裏話を紹介した。

 パズルゲーム「きょうのしかく」は、画面上の四角形のオブジェクトをいじることで、その中に隠されたその日の日付の数字を探すというもの。365日分のパズルが用意されている。これはもともとActionScript 3.0の学習のためにWebコンテンツとして作成したもので、後にそれをiOS、そしてAndroid向けに移植したという。

1年間毎日楽しめる数字パズルゲーム「きょうのしかく」(中野氏の講演資料より)

 iOSへ移植する際もソースコードはほぼそのまま利用できたが、問題になったのはswfファイルの扱いである。Web版では毎日のパズルをそれぞれ個別のswfファイルで用意していたが、iOSではswfファイルが扱えない。そこで苦肉の策として、すべてのパズルを1つのflaファイルとしてまとめて読み込むようにしたという。Androidへの移植ではiOS向けのソースコードをそのまま利用でき、細かなチューニングとデバッグを含めても1週間ほどで完了したとのことだ。

365日分のパズルをすべて1つのファイルにまとめた(中野氏の講演資料より)

 「ワクチンケース」は、ワクチンの詰まった部屋の扉を順番に消すことでバイ菌を退治するパズルゲーム。消したい扉を指でタッチするのだが、実際に作ってテストした際に、自分の手や指が画面を隠すことが思った以上にストレスになるということ気付いたという。そのため、手が視界を遮らないようにオブジェクトの配置を工夫する必要があったとのこと。

手順通りに扉を消して菌を退治する「ワクチンケース」のデモ

 また、タッチアプリの場合、ボタンは最低でも44×44ピクセルの大きさがないとタッチの反応が鈍くなるといわれている。しかしワクチンケースの場合、縦長の「辺」をタッチするタイプのゲームであるため、タッチの有効範囲の設定にも工夫が必要だったとのことだ。

タッチインターフェイスならではのひと工夫が必要(中野氏の講演資料より)

 描画処理に関しては、AIR 2.6で作っていた段階ではドロップシャドウやぼかし、ベベルなどのフィルタを利用するとパフォーマンスが悪くなる問題があったが、AIR 3.0にアップデートしたら解決してしまったそうである。

 3つ目の「スリラーマンション」は、昔懐かしいゲームウオッチ風のゲーム。これは趣味として作ったもので、制作期間は1週間ほど。中野氏は、このスピードと気軽さがFlashの魅力だと語った。

ゲームウオッチ風の「スリラーマンション」のデモ


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 INDEX
「ADC MEETUP 04 Social Gaming」レポート 
ソーシャルゲームのUI開発はAdobe AIR/Flashが主役になるか
  Page1
ゲームに注力するFlashプラットフォーム
ソーシャルゲーム市場とAdobe AIR/Flashの最新動向
Page2
ソーシャルの力で楽しさの増幅にチャレンジ
Flashのみによるスマホ向けゲーム制作の3事例
  Page3
AIR製スマホゲームをMobage対応にできるSDKとは
現場が教えるAIRのスマホネイティブアプリ開発のコツ
  Page4
Stage3DでコンソールクオリティのWebコンテンツを実現
世界的ヒットゲーム「Angry Birds」でもFlashを採用


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