「ADC MEETUP 04 Social Gaming」レポート
「ADC MEETUP 04 Social Gaming」レポート


ソーシャルゲームのUI開発は
Adobe AIR/Flashが主役になるか


有限会社オングス
杉山貴章
2012/3/6

AIR製スマホゲームをMobage対応にできるSDKとは


ディー・エヌ・エー CTO室 ソフトウェアエンジニア 藤吾郎氏

 ディー・エヌ・エーの藤吾郎氏は、同社で開発中の「Mobage AIR SDK」を紹介した。

 ディー・エヌ・エーでは、外部開発者がMobageでゲームを公開できるための場として「Mobage Open Platform」を提供している。スマートフォン向けの開発環境として、現時点ではJavaScript用の「ngCore」と、ネイティブの機能を使うための「Mobage Native SDK」(言語はJavaとObjective-C)を用意しているが、間もなくここに加わることになるのが「Mobage AIR SDK」だ。

「Mobage Open Platform」の概要(藤氏の講演資料より)

 Mobage AIR SDKでは、モバゲーの機能をAIRアプリから利用できる開発環境であり、これを使うことで、AIRで作ったゲームをMobageで公開できるようになる。

Flash Builder 4.6で開発したMobage APIのActionScriptコード例

 Mobage Open Platformは、仮想通貨やアイテム購入、ソーシャルグラフへのアクセス、ユーザーの拒否リストの管理、禁止ワードのチェック、ゲームないミニメッセージの管理などといった機能を利用できるAPIを用意している。Mobage AIR SDKでは、これらのAPIを利用することで、AIRゲームを手軽にMobageに対応できるという。

Mobage AIR SDKで作ったAndroidアプリのエミュレータによる課金デモ

 Mobage AIR SDKは現在正規リリースに向けて準備を進めている最中であり、近日公開予定との話だ。

現場が教えるAIRのスマホネイティブアプリ開発のコツ

グリー取締役執行役員 CTO 開発本部長 藤本真樹氏

 グリーでは、スマートフォン向けのソーシャルアプリ開発のプラットフォーム「GREE Platform for Smartphone」として新たに、サーバ側にはNode.jsを、端末側にAIRを採用した(プレスリリース)。

 同社の藤本真樹氏によれば、AIR採用に向けた大きなターニングポイントになったのが、AIR 3でANEが追加されたことだという。ANEの登場によって実現できる機能の幅が大きく広がったのだ。

「GREE Platform for Smartphone」の概要(藤本氏の講演資料より)

 また、採用を決定した理由として、藤本氏は「HTML5はFlashの3倍重かった! 描画パフォーマンスの比較 | ClockMaker Blog」の資料を引用してFlashのパフォーマンスが高いことを挙げた。その他、Flash開発者が多く人材やノウハウが生かせること、開発ツールやオーサリングツールの完成度では他の追随を許さないことなどの理由から、採用を決定したとのことだ。

 AIRを使ってスマートフォン向けアプリを開発するうえでの注意点としては、メモリサイズが限られていることを挙げた。特にAndroidでは、メモリを消費し過ぎると自動的にアプリを終了させられたりするため、常にどの程度のメモリを使用しているのかを気に掛ける必要があるという。対策としては、ローカルのデータベースをうまく使うことでメモリを節約する方法などを紹介した。

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 パッケージサイズについても、AIRアプリは容量が大きくなりがちなので、場合によってはiOSの3Gダウンロード制限である20Mbytesを超えてしまうことがあるので注意が必要とのこと。Captive Runtimeを利用する場合には特に気を付けなければならない。

 また、Androidなどは端末の種類が多いため、どの機能が使えるのかをコード内で常に確認する必要が生じる。Flash.system.Capabilitiesである程度は調べられるが、十分でないケースもあるため、端末ごとのサポート状況一覧をプロパティファイルにまとめて確認できるようにしておくというTipsも紹介された。

 その他、シームレスな通信のために便利な機能として「WebSocket」にも言及があった。ActionScriptでWebSocketを使うためには、GitHubで公開されている「websocket-as」というクライアントライブラリを勧めていた。

「websocket-as」のコード例(藤本氏の講演資料より)

 最後に藤本氏は「グリーでもFlashの資産を気軽に利用できるようなSDKのプラグインなどをどんどん作っていきます。皆でいろいろ挑戦して、日本に止まらず、世界で評価されるアプリが出てきてくれればと思います」と締めくくった。

 なお、サーバサイドにおけるNode.jsへの取り組みについては、Developer Summit 2012のセッションレポート「ソーシャルアプリのインフラはNode.jsが主役になるか」で紹介しているので、本稿と併せて参考にしていただきたい。

1-2-3-4

 INDEX
「ADC MEETUP 04 Social Gaming」レポート 
ソーシャルゲームのUI開発はAdobe AIR/Flashが主役になるか
  Page1
ゲームに注力するFlashプラットフォーム
ソーシャルゲーム市場とAdobe AIR/Flashの最新動向
  Page2
ソーシャルの力で楽しさの増幅にチャレンジ
Flashのみによるスマホ向けゲーム制作の3事例
Page3
AIR製スマホゲームをMobage対応にできるSDKとは
現場が教えるAIRのスマホネイティブアプリ開発のコツ
  Page4
Stage3DでコンソールクオリティのWebコンテンツを実現
世界的ヒットゲーム「Angry Birds」でもFlashを採用


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