解説

HPとの合併で名を捨てて実を取ったCompaq
――新生HPの製品ラインアップが明らかに――

1. コンシューマ向けPCはブランド変更なし

デジタルアドバンテージ
2002/05/11


 2001年9月3日にHewlett-PackardとCompaq Computerの合併が発表されてから8カ月。紆余曲折があったものの、2002年5月3日に無事合併が完了、7日には新生「Hewlett-Packard」がスタートした。同日、合併後の製品ラインアップならびにブランド名のロードマップについても発表が行われた(HPのニュースリリース「製品ロードマップについて」)。両社とも総合コンピュータ企業を目指し、製品を充実させてきただけに、ほぼすべてのセグメントで製品が競合している。その整理統合は、合併の効果を左右するだけでなく、その後の人員削減や工場の閉鎖などにも影響を与えるだけに重要な意味を持つ。ユーザーとしても、両社の製品が今後どのように変わっていくのか、気になるところだろう。そこで、ここでは各セグメントごとに新生HPの製品がどのように変わるのかを見ていくことにする。

クライアントPCはCompaq製品を軸に統合

 ビジネス向けクライアントPCは、デスクトップPCとノートPCともCompaqの製品ラインが残ることになった。ただし、Pentium 4搭載で世界最小サイズを実現したHP製省スペース・デスクトップPCの「HP e-pcライン」は、継続販売される。これは、Compaqの製品ラインアップの方が充実しており、ヨーロッパを中心にCompaqの知名度の方が高いことから選択されたものと思われる。

継続販売が決まったHP e-pc42
Pentium 4搭載で世界最小サイズを実現した省スペース・デスクトップPC。ビジネス向けクライアントPCはCompaqの製品ラインが採用されたが、唯一継続販売が決まった。

 一方コンシューマ向けPCでは、両社のブランドが残る。しかし、ブランド認知度の違いにより、各国によってどちらのブランド/製品を残すかなど判断されるという。日本では、「HP Pavilion」の投入が2000年10月と遅かったことから、認知度が低い。そのため、日本においては「Compaq Presario」だけが残る可能性が高いと予想する。

 HPでは、両ブランドを残すことに対し、ニュースリリースで2つの理由を挙げている。1つは、Compaqはホーム/ワイヤレス・ネットワークに、HPはイメージング・ソリューションに強みを発揮しているため、それぞれにユニークな価値が提案できること(つまりすみ分けが可能である)。そしてもう1つは、コンシューマ用デスクトップPCとノートPCで2つのブランドを維持するのは販売店の要望を反映したものという。しかし、真の理由は別のところにありそうだ。米国の量販店を覗くと、大手PCベンダ製で並んでいるのは、HP PavilionとCompaq Presario、Sony VAIO程度である。もし、片方のブランドに統一したら、店頭での露出は間違いなく低下し、その結果として、販売台数に占めるシェアも大幅に減ることが容易に予想できる。多少、ブランドの維持コストがかかっても、プリンタで培ったHPブランドと、米国では低価格/高品質のイメージが強いCompaqブランドを残した方が得策という判断なのだろう。当面は、現在のラインアップを維持し、新モデルからは部品の共通化を行い、コストを削減するはずだ。最終的にはフロントパネルだけを変えて、それぞれのブランドで販売するという戦略を採用することになるだろう。

PDAはCompaq iPAQに統一

 Windows CEマシンについては、好調な「Compaq iPAQ」を「HP iPAQ」として改称して販売を行う。「HP jornada」については、2002年中に販売が中止されることになる。Compaq iPAQは、現在のPocket PC市場を育てた立役者であり、サードパーティ製の周辺機器もHP jornadaに比べて豊富なことから順当な判断といえるだろう。2002年夏には、IntelのXScaleプロセッサを搭載したiPAQの出荷が始まることから、これを機に「HP jornada 568」は競争力を失い、事実上の販売終了となるはずだ。ただし、ハンドヘルドPC(キーボード付きのWindows CEマシン)の「HP jornada 720」については、Compaqに対応するモデルがないことから、Windows CE.NETのリリースによるモデル・チェンジが行われるまで継続販売されるかもしれない。

HP jornada 568(左)とHP jornada 720(右)
左はCompaq iPAQと同様、プロセッサにIntel StrongARM-206MHzを搭載するPocket PC「HP jornada 568」。右は、やはりプロセッサにIntel StrongARM-206MHzを搭載するハンドヘルドPCの「HP jornada 720」。どちらも2002年中に販売が終了する。

プリンタはHPの製品に統一

 プリンタやスキャナ、デジタル・カメラといったイメージング/プリンティング製品は、HPブランドがそのまま継続される。日本では、エプソンとキヤノンのシェアが高く、HPにプリンタ・ベンダのイメージがないが、世界的に見ると「HPといえばプリンタ」というほど、プリンタ市場におけるHPブランド力は強い。当然の選択といえるだろう。

 プロジェクタについては、HPとCompaqの製品ラインは統合され、HPブランドで販売されるものの、最終的な結論は出ていないという。

 次ページでは、合併成功の鍵を握るサーバ製品のラインアップがどのようになるのかを見ていこう。

  関連リンク 
製品ロードマップに関するニュースリリース
 
 
 
 INDEX
  HPとの合併で名を捨てて実を取ったCompaq
  1.コンシューマ向けPCはブランド変更なし
    2.サーバ製品もCompaqが主流に

 「System Insiderの解説」


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