解説

新世代を迎えるIntel、その方向性は?

3. 新たなプラットフォーム「Viiv」をリリース

元麻布春男
2006/01/28

解説タイトル

ホームPCを変えるViivプラットフォーム

 このCentrinoに次ぐ第2のプラットフォーム・ブランドとして2005年8月に発表されたのがViivテクノロジだ。Viivはコンシューマ向けのプラットフォーム、なかでもリビングルーム(デジタル・ホーム)で使われるPCを想定したプラットフォームのブランドで、10フィート・ユーザー・インターフェイスを備えたWindows XP Media Center Editionを前提とする。シングルコア・プロセッサを包含したCentrinoと異なり、Viivはデュアルコア・プロセッサが必須となる。現時点ではPentium D、Pentium Extreme Edition、Intel Core Duoのいずれかを搭載している必要がある。チップセットはIntel 945/955/975いずれかのファミリ製品で、Intel純正のイーサネット・コントローラと組み合わせることがロゴの条件となる。

Dellの20インチ液晶ディスプレイ採用PC
Intel Core Duoプロセッサは多様なPCで利用できる。Dellは20インチ液晶ディスプレイを採用したノートPCと省スペース・デスクトップをハイブリッドしたようなモデルをCESで参考展示した。

 CESにおけるIntelの発表の多くが、このViivプラットフォーム向けのコンテンツに関する提携で占められた。その提携先は、Yahoo!、DIRECTV、AOL、NBC Universal、ESPN、Turner Broadcasting、ClickStar、MTV、Googleなど多岐にわたる。これらの動画やゲームといったコンテンツのうち、Viivでしか利用できないもの(エクスクルーシブ・コンテンツ)は決して多くはない。冒頭で述べた無線LANの普及にCentrinoが果たした役割を考えれば、Viivでコンテンツの利用を保証することも、あながち無意味なことではないだろう。しかしCentrinoのときと異なり、コンテンツの利用を保証するには、コンテンツ・ベンダとクライアント・プラットフォーム(ViivベースのPC)だけでなく、両者を接続するパイプの太さ(ブロードバンド接続の実効帯域)も重要になる。果して、消費者に簡潔なメッセージ「Viivなら優れたオンライン・コンテンツを楽しむことができます」といったものを送ることができるのか、注目される。

Viivロゴが付いたESPNのオンライン・コンテンツ
すでにViivロゴ付のオンライン・コンテンツの展開は始まっている。日本でも無料テレビのGyaoやZZZ.TV(デジタルホームヨシモトドットコム)などにViivロゴが付いている。
 
CESの基調講演でのClickStarの紹介
Viivへのコンテンツ提供を表明したClickStarの創立者である俳優のモーガン・フリーマン(Morgan Freeman)氏(中央)と、ClickStar会長であるローリー・マックレアリー(Lori McCreary)氏(左)を迎えるIntelのオッテリーニ社長(右)。ClickStarは、DVD化前の映画をプレミアム・コンテンツとしてオンライン配信する計画で、日本向けのサービスも検討している。

 また、コンテンツの場合、地域性が重要になる。音楽であれば米国のコンテンツをそのまま楽しむことはそれほど難しくないかもしれないが、日本語による吹き替えや字幕のない映画を楽しむことができる日本の家庭は極めて限られるだろう。日本国内向けにもViivのコンテンツは提供されるが、米国向けに比べて豊富とはいい難い。また、テレビ放送の場合、日本にはデジタル放送の著作権保護のため、B-CASカードによる認証が必要となるが、B-CASカードはViivテクノロジやWindows XP Media Center Editionで標準的にサポートされているものではない。日本でプレミアム・コンテンツとしてのデジタル放送を楽しむには、Viivに加えてPCベンダ側の努力がかなりの割合で必要になるだろう。

最終フェイズに入ったNetBurst

 このViivプラットフォームに対応したプロセッサとして、上述したIntel Core Duoに加え、Pentium DとPentium Extreme Editionの新製品が発表になった。いずれも65nmプロセスで製造されるNetBurstマイクロアーキテクチャのプロセッサで、Pentium Dは「Presler(プレスラー)」という開発コード名で知られてきたもの。1つのパッケージに2つのシングルコア・ダイを封入したデュアルコア・プロセッサだ。Extreme Editionでは、付加機能として、FSBの引き上げ(800MHzに対し1066MHz)、Hyper-Threading(HT)テクノロジのサポートが行われている。

 ただTDPの高さ(3GHzまで95W、それを超えると130W)を考えると、Pentium DやPentium Extreme Editionを搭載したAV機器風のPC、ファンの音がほとんど気にならないようなPCに仕立て上げることはかなり難しいと思われる。IntelはViivの主要技術の1つとしてIntel Quick Resume Technology(上述)を挙げているが、Pentium DやPentium Extreme Editionでは、ディスプレイ出力やオーディオ出力を無効にしたところで、ファンの動作音でPCが動作中だと分かってしまうに違いない。

 また、Viivプラットフォームの対象からは外れるが、Cedar Mill(セダーミル)という開発コード名で知られてきたシングルコア・プロセッサも、Pentium 4 6x1として同時に発表された。すでに発売されている90nmプロセス(Prescottコア)のPentium 4よりプロセッサ・ナンバが1小さいのはVirtual Technology(VT)のサポートがないためらしい。VTはビジネス・クライアント向けの機能という位置付け(少なくとも2006年の場合)であり、ある種のプレミアム技術ということのようだ。

 現時点では、HTやEM64TといったNetBurstマイクロアーキテクチャがサポートするプラットフォーム技術を、モバイルPC向けプロセッサにルーツを持つIntel Core(Yonah)がサポートしていないことが、NetBurstが新製品としてリリースされ続けている最大の理由だと考えられる。だが、2006年内に登場する新マイクロアーキテクチャのプロセッサにこれらのプラットフォーム技術が採用されると、NetBurstマイクロアーキテクチャは第一線からは退くことになるだろう(Celeronにはまだしばらく残るだろうが)。NetBurstマイクロアーキテクチャを採用した最初のPentium 4(Willamette)がデビューしたのは2000年11月のことであり、プレミアム・プロセッサのマイクロアーキテクチャとしては6年余りの寿命ということになる。デビュー時、今後の10年を考えたとまでいわれたが、そのポテンシャルをすべて発揮することなく、消えることとなりそうだ。記事の終わり

 
 
 INDEX
  [解説]新世代を迎えるIntel、その方向性は?
  1. プロセッサからプラットフォームへと舵を切るIntel
  2. 新プロセッサ「Intel Core」を発表
3. 新たなプラットフォーム「Viiv」をリリース
 
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