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2003年注目の無線LAN技術を理解するためのキーワード

IEEE 802.11b

デジタルアドバンテージ
2003/02/13


 2.4GHz帯の無線周波数を利用し、最大11Mbits/sの転送レートを実現する無線LAN規格。現在、最も普及している無線LAN規格である。

 IEEE 802.11bが利用する2.4GHz帯は、ISM(Industry Science Medical)バンドと呼ばれ、利用者が無線免許を取得しなくても使える周波数となっている。屋内だけではなく屋外でも利用でき、公衆無線LANインターネット・アクセス・サービス(詳細は後述)や無線LANインターネット・サービスなどでも使われている。一方で2.4GHz帯は、Bluetoothやコードレス電話といった無線機器のほか、電子レンジや医療機器などでも使われており、こうした機器との電波干渉により通信が途絶することもある。

 利用できる周波数帯については、規制などによって国ごとに異なっている。日本におけるIEEE 802.11bで利用可能な中心周波数は、以下のとおりだ(第14チャンネルは若干周波数が離れている点に注意)。

チャネル 中心周波数 日本 米国 ヨーロッパ
第1 2.412GHz
第2 2.417GHz
第3 2.422GHz
第4 2.427GHz
第5 2.432GHz
第6 2.437GHz
第7 2.442GHz
第8 2.447GHz
第9 2.452GHz
第10 2.457GHz
第11 2.462GHz
第12 2.467GHz
第13 2.472GHz
第14 2.484GHz
表区切り
日本および欧米におけるIEEE 802.11bが利用する中心周波数
各チャネルの中心周波数は5MHzおきに連続しているが、最後の第14チャンネルだけは不連続になっている点に注意したい。表中の〇は、オーバーラップしないようにチャネルを割り当てた場合の中心周波数帯の例。

 米国では第1から第11チャネルまで、ヨーロッパのほとんどの国では第13チャネルまでとなっている。なお、フランスは2.457G〜2.472GHzの4チャネル、スペインに至っては2.457GHzと2.462GHzの2チャネルに制限されている。この周波数はあくまで中心周波数であり、通信には前後約10MHzの合計20MHzが利用される。そのため、近接したチャンネルはオーバーラップして相互に干渉することになり、通信速度の低下や通信の途絶といった弊害をもたらすことになる。そのため、干渉を完全に回避させるためには、22MHz以上離して設定することが必要だ。日本の場合は、第1、6、11、14の各チャネルを利用することで、オーバーラップなしに4台のアクセス・ポイントが設置可能である。

 IEEE 802.11bでは、1次変調方式として5.5Mbits/sと11Mbits/sではCCK(Complementary Code Keying)を、2Mbits/sではDQPSK(Differential Quaternary Phase Shift Keying)を、1Mbits/sではDBPSK(Differential Binary Phase Shift Keying)をそれぞれ用い、DSSS(Direct Sequence Spectrum Spread:直接拡散方式のスペクトラム拡散)による2次変調を施している。こうした2段階の変調方式を採用することで、ノイズに強い無線通信を実現しているわけだ。

 通信手順としては、まず1Mbits/sのデータ転送レートで各種情報のやり取りを行い、次に電波状態に合わせてデータ転送レートを2Mbits/s、5.5Mbits/s、11Mbits/sと引き上げていく。電波状態が悪くなった場合は、逆に11Mbits/sから順番に1Mbits/sまでデータ転送レートを落とすことで、なるべく通信が途切れないような仕組みとなっている。

 
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