連載

PCメンテナンス&リペア・ガイド

第9回 失敗しないハードディスクの増設方法

3. ジャンパ設定とドライブ・ベイへの取り付け

林田純将
2002/07/26


電源ケーブルも接続可能かチェックする

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3.5インチIDEハードディスク用の電源ケーブル
CD/DVD-ROMドライブも同じ電源ケーブルを接続する。

 3.5インチ・ドライブ・ベイにも空きがあり、接続されているIDEドライブも3台以下、IDEケーブルの長さも大丈夫となったら、最後にチェックするのは電源の確保だ。ハードディスクに限らず、PC内部パーツの電源は、電源ユニットから供給を受けることになる。つまり、電源ユニットから出ているドライブ用の電源ケーブルの空きも確認しなければならない。電源ケーブルが足りなかったり届かなかったりする場合は、「PC Hints:PC内部の電源ケーブルを増設するには」を参照して、ケーブルを増設あるいは延長して対処しよう。

 
電源ケーブルがドライブ・ベイまで届くかどうか確認しているところ
IDEケーブル同様、電源ケーブルも長さが短くて届かなかったり、空いているコネクタがなかったりすることがある。事前にチェックして、ケーブルを延長あるいは増設しておこう。

 以上の点を確認し、すべて問題なければハードディスクの増設は、少なくともハードウェア面では可能ということになる。ハードディスクを購入した後で、増設できなかったことが分かるといったこともあるので、よくチェックして増設作業に臨もう。

速度や世代が著しく異なるドライブは同じケーブルに接続しない
  デスクトップPCに 2台目のIDEハードディスクを増設する際、接続先の選択肢は、

(1)プライマリIDEのスレーブ
(2)セカンダリIDEのマスタ

の2つが考えられる。どちらを選択すべきだろうか?

 簡単に増設できるのは(1)の方だ。標準のCD/DVD-ROMドライブはセカンダリIDEに接続されているのが普通なので、(1)はたいてい空いているからである。しかしこれだと、プライマリIDEに2台のハードディスクが接続されることになるが、両方のハードディスクへのアクセスが同時に発生した際、性能が低下しやすい、というデメリットがある。

 それに対して(2)では、プライマリIDEとセカンダリIDEそれぞれのインターフェイスがたいてい並列で動作できるため、ハードディスク性能の点では(1)より有利だ。しかし、増設用ハードディスクがCD/DVD-ROMドライブと同じセカンダリIDEに接続される点が問題になるかもしれない。例えば、1990年代後半に開発・販売されたPCに搭載されていたIDEインターフェイスを制御するIDEコントローラの中には、接続された2台のIDEドライブのうち、遅い方に合わせて最大転送速度を決めてしまうものがある。この場合、ハードディスクよりずっと低速なCD/DVD-ROMドライブがボトルネックになり、増設したハードディスクの性能が低下することになる。そうでなくとも、最新の増設ハードディスクと古めのCD-ROMドライブのように、性能や世代が違いすぎる組み合わせを同じIDEケーブルで接続すると、仕様の食い違いなどからトラブルを招きやすい。また、CD-R/RWドライブや書き換え型DVDドライブを増設しようとすると、前のページで解説したATAPIドライブの接続順序の制限から、セカンダリIDEのマスタにつながったハードディスクはプライマリIDEのスレーブに移動する必要があり、増設時に手間がかかる。

 以上から、やはりハードディスクの増設は(1)を選んだほうが無難といえる。


マスタ/スレーブの設定はハードディスク上のジャンパ・ピンで行う

 次は、ハードディスクのマスタ/スレーブを設定しよう。マスタとスレーブの設定は、ハードディスクのジャンパ・ピンで行う。通常、初期出荷状態のハードディスクはマスタに設定されているため、増設用ハードディスクはマスタからスレーブへジャンパ設定を変更しなければならない。ジャンパ・ピンの設定方法はハードディスクによって異なるが、最新のハードディスクならたいてい、設定方法がハードディスク上のラベルに記載されているはずだ。ラベルを見れば、容易に作業方法は理解できるだろう。なお、標準搭載のIDEハードディスクは通常、マスタのままで問題ない。

IBM製ハードディスクのジャンパ設定の例
たくさんのジャンパ設定があるが、通常、参照すべきは「16 HEADS」の欄だけだ。1台のみ、あるいは2台構成時のマスタは「DEVICE 0(MASTER)」を選ぶ。スレーブなら「DEVICE 1(SLAVE)」だ。2台構成時に、スレーブ・ドライブが正しく認識されない場合は、マスタ側で「FORCING DEV 1 PRESENT」の設定を試してみるとよい。なお右の写真のジャンパ・ピンは、マスタの設定になっている。
 
Maxtor製ハードディスクのジャンパ設定の例
大別して4種類のジャンパ設定が記されているが、通常、参照すべきは左側2つの設定だけだ。つまり、1台のみ、あるいは2台構成時のマスタは「Master」、スレーブなら「Slave」にそれぞれジャンパ設定を合わせればよい。「Spare Jumpers」とは予備のショート・ピンを装着しておくダミーのジャンパ・ピンのことだ。なお、右の写真のジャンパ・ピンは、マスタの設定になっている。
 
Seagate Technology製ハードディスクのジャンパ設定の例
ジャンパ設定はラベル真ん中の「Jumpers」という欄に記されている。、1台のみ、あるいは2台構成時のマスタは「Master or single drive」、スレーブなら「Slave」にそれぞれジャンパ設定を合わせればよい。2台構成時に、スレーブ・ドライブが正しく認識されない場合は、マスタ側で「Master with non-ATA compatible slave」の設定を試してみるとよい。なお右の写真のジャンパ・ピンは、マスタの設定になっている。ラベル上のジャンパ設定の向きは、ハードディスクの底面を上にしたときのジャンパ・ピンの向きに合わせてあるので、間違えないよう注意したい。

 また、ハードディスク上のジャンパ・ピンにおいて、マスタとスレーブのほかに、「CSEL」や「CABLE SELECT」、「CS」などと記された設定項目を見掛けることがある。これは「ケーブル・セレクト」という機能で、IDEケーブル上のどのコネクタにハードディスクを接続するかでマスタとスレーブを選択する方法だ。ケーブル・セレクトでは、ジャンパ・ピンの設定をいちいち変更する必要がない。しかし、専用のIDEケーブルが必要なことや、ケーブル・セレクトの機能が正しく機能しない場合もあるので、やはりジャンパ・ピンでマスタとスレーブを手動で設定することをお勧めする。

ハードディスクの取り付けはネジ留めを忘れずに

 ジャンパ・ピンの設定が終わったら、ハードディスクを3.5インチ・ドライブ・ベイに装着して固定する。ドライブ・ベイ自体が本体から取り外せる場合は、なるべく取り外して作業を行ったほうがネジ留めなどの作業が行いやすい。ドライブ・ベイが取り外せるかどうかなど、ドライブの増設方法はPCによって異なるので、PCのマニュアルを読んで確認しよう。

ドライブ・ベイを取り外してハードディスクに取り付けているところ
これはDimension 4100の3.5インチ・シャドウ・ベイ。「ドライブ・ベイ」というより「取り付け用金具」と表現したほうがよさそうなパーツである。これをハードディスクの底面に取り付けてネジ留めする。くれぐれも、丈夫ではない底面や上面に力を加えすぎたり、ドライバをハードディスクにぶつけて衝撃を与えたりして、ハードディスクを傷めないように注意して作業すること。

 上の写真で、ハードディスクの下に敷いているのはエアキャップで、ハードディスクを堅い机上に置く際の衝撃を和らげる「クッション」として使っている。また、ハードディスクを手でつかむ際には、上面と底面に力を加えすぎないように注意しよう(回路基板などを破壊してしまう可能性がある)。上の写真では、ハードディスクの両脇を指で押さえて固定している。ネジ留めする際も、ドライバをガツンとハードディスクにぶつけないようにする。

複数台のハードディスクを搭載できるドライブ・ベイ
これは別のPCから取り外した3.5インチ・シャドウ・ベイ。一般的な1インチ厚のハードディスクを4台まで搭載できるが、ハードディスクからの発熱が集中してしまうので、隙間をあけて装着するのは2台までに留めたほうが無難だ。このタイプのドライブ・ベイでは、装着中に誤ってハードディスクをベイから落とさないよう注意しよう。

 昔に比べれば、最近のハードディスクは振動や衝撃に強くなっているが、取り扱いには注意したい。片側だけネジ留めするといった横着をせずに、両側をキチンとネジで固定しよう。

 次のページでは、ドライブ・ベイのPC本体への取り付けと、ハードディスクへのケーブルの接続作業について解説する。

  関連記事 
PC内部の電源ケーブルを増設するには
 
 

 INDEX
  [連載]PCメンテナンス&リペア・ガイド
  第9回 失敗しないハードディスクの増設方法
    1.ドライブ・ベイの状態を確認
    2.増設ハードディスクが接続可能かチェック
  3.ジャンパ設定とドライブ・ベイへの取り付け
    4.PC本体への取り付けとケーブルの接続
    5.最後はBIOSやOSレベルでの設定
 
「PCメンテナンス&リペア・ガイド」


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