特集
海外出張で役立つインターネット接続術

1. 出張前の機材準備

塩田紳二
2002/08/06


普段使い慣れたノートPCを持とう

 海外でノートPCを使い、インターネット接続を行うには、準備が必要となる。その準備は、機材と設定の大きく2つに分けられる。米国では、コンセントやモジュラ・ジャックの形状が日本と同じなので、特に電源ケーブルや電話ケーブルを用意する必要はない。国内で使っているものをほとんどそのまま利用できるはずだ。米国の電源電圧は120Vだが、最近のノートPCに付属するACアダプタは、世界中で利用できるように100〜240V対応となっていることが多い。

ノートPCのACアダプタ
通常、ノートPCのACアダプタは、このように100〜240V対応と世界中で利用できるようになっている(赤線部分)。もし、電源電圧の対応幅が狭い場合は、別途電圧変換用のトランスを用意する必要がある。電圧変換用のトランスは、家電量販店で入手可能だ。

 機材は普段使い慣れたものを持っていくのが望ましい。荷物が重くなるからといって、普段使っていないサブノートPCをわざわざ用意する必要はない。渡航先にもよるが、一般的に米国への海外旅行では、ホテルに着くまでに重い荷物を持って歩き回る必要はほとんどなく、せいぜい飛行機から降りた後、入国審査場など空港内を歩く程度である。どちらかというと空港までどうやって行くかの方が問題だ。ノートPCはカバンにさえ入れば、どのような大きさでも構わない。ホテルでの作業などを考えると、かえってキーボードが大きいA4サイズのノートPCの方が作業効率が良く、便利なくらいだ。

 この「普段使い慣れた」というのには、もう1つ別の意味がある。往々にして、機材のトラブルは一番起こってほしくないときに起こるものだ。このときに使い慣れたノートPCであれば、トラブルの原因も究明しやすいし、何よりも出発前日まで普通に使っていれば、旅行中にトラブルの発生する可能性は低い。アプリケーション環境の整備なども不要であり、いざ海外で使おうと思ったら、必要なアプリケーションやユーティリティがなくて仕事にならなかった、といった失敗も防げる。

 普段は使っていない会社のノートPCを借りるような場合は、トラブルの発生確率がぐっと高まる。普段でも、久しぶりにノートPCの電源を入れたら起動しなかった、ということは起きるものだ。もし普段から使っているノートPCがあるのならば、それをそのまま持っていくことをお勧めする。もし、他人や会社のノートPCを借りていく場合は、少なくとも2〜3日は普段の業務にも使ってみて、問題がないことを確認しておいた方がよいだろう。

リムーバブル・ストレージを用意しよう

 最低限の機材としては、ノートPCとACアダプタ、電話ケーブル(巻き取り式のものが便利)を用意したい。それに加えて、何らかの書き込みが可能なリムーバブル・ストレージもあるとよい。というのは万一、PCの調子が悪くなったときに書きかけの文書などをノートPCから取り出して保存しておく必要があるからだ。実際、データさえあれば、あとは現地でPCを借りるなり、買うなりして何とかしのぐことができる。しかし、重要なデータが、動かないノートPCの中にあるのではもうどうしようもない。ちなみに英語版のWindows 2000/XPは、日本語表示や入力が可能なように日本語のサポート・モジュールがインストールできる*1。米国でノートPCを買っても何とか日本語が使えるようになることは覚えておきたい。

*1 Windows Updateで[Windows Update Worldwide]−[Japanese]を選択すると、日本語のサポート・モジュールをインストールするかどうかのダイアログが表示される。ここでインストールを選択すると、日本語サポート・モジュールがダウンロードされ、日本語の表示と入力が可能になる。

 リムーバブル・ストレージには、フロッピードライブ、CD-Rドライブ、USB接続のフラッシュメモリといった、なるべく多くのPCで読み込みが可能なものを選ぼう。お勧めはUSBに接続するだけで簡単に利用できるUSB接続のフラッシュメモリ(「フラッシュディスク」などとも呼ばれる)だ。32M〜64Mbytes程度あれば、テキストやちょっとした画像も保存できる。価格は32Mbytesのもので5000円程度と比較的手ごろである。なお、コンパクトフラッシュやメモリースティック、SDカードなどといった、カード・メディアは安価で比較的入手も容易だが、利用がPCカード・スロットを持つノートPCに限られ、デスクトップPCで利用するには、別途カード・リーダーやアダプタなどが必要となり、汎用性といった点で少々劣る部分がある。一方、USB接続のフラッシュメモリなら、多くのPCが備えるUSBポートに直結できるし、たいていの製品はWindows XP/2000/MeならばOS標準のデバイス・ドライバで読み書きできる。逆に言えば、これ以前のWindowsではドライバが必要となるし、また少ないながら専用ドライバが必要な製品も存在するので、間違ってこのような製品を選ばないよう事前に確認してから購入しよう。

メルコのUSB接続のフラッシュメモリ「Petit Drive」
多くの周辺機器ベンダから同様のUSB接続のフラッシュメモリが販売されている。多くの製品で、Windows XP/2000/Meならばデバイス・ドライバをインストールせずに読み書きが行えるようになっている。

 このほか、3〜4口のテーブル・タップ(なるべくコード部分の長いもの)があると、ホテルの机と電源コンセントが離れているときに助かるし、また机のそばにある電源コンセントが空いていない場合にも使える。そのほかに、あると便利なものを下表に挙げておく。

名称 解説
テーブル・タップ(3〜4口) 机とコンセントが離れているときや、デジタル・カメラのバッテリを充電する、といったときに便利
WindowsインストールCD-ROM 新しいデバイスをPCに接続してインストールする際に要求されることがある。また、何らかのトラブルでWindowsが起動できなくなってしまった場合、その再インストールにも利用できる。ただ、ノートPC付属のリカバリCDは、ハードディスクを完全に初期状態に戻すものが多く、実質的には役に立たないことも多い
マウスとマウス・パッド ホテルの机で落ち着いて仕事するときには、マウスの方が作業効率は上がる。これはホテルの部屋でのみ使うので、スーツケースに入れてしまってもよい。そのため、特に小型のものである必要はない。最近の光学式マウスはマウス・パッドが不要だが、ホテルの机の天板がガラスだったり、白一色だったりする場合(結構ある)には使えないことがある。どうしても用意できなければ、代わりに雑誌などが使える
USB接続のフラッシュメモリ USBポートに直結できるフラッシュメモリ。OS標準ドライバで動作する製品を選べば、Windows Me/2000/XPでUSBポートを装備するどんなPCでも利用できる
イーサネット・ケーブル/PCカード ネットワークに接続できる機会は多い。イーサネット内蔵のPCならケーブルのみ必要だが、非内蔵ならイーサネットPCカードも用意しよう
電話ケーブル アナログ・モデムで接続する場合は電話ケーブルが必要。巻き取り式のコンパクトなものが便利
ノートPCケース 本体の保護を目的としたインナータイプ(カバンの中に入れられるもの)が便利
CD-ROMドライブ 最近のIT関連のショウではCD-ROMで情報を配布していることも多い。
増設バッテリ 飛行機の中などで仕事をするなら長時間運用が可能な体制を準備しておこう
そのほか 持っていく機器に応じてUSBハブやデジタル・カメラのメモリ・カード用PCカード・アダプタ、接続ケーブルなど
表区切り
海外出張で必須あるいは便利な機材

 ノートPC以外にも、デジタル・カメラやICレコーダなどを持っていくなら、それらの接続ケーブルやメモリ・カードのPCカード・アダプタなども忘れないようにしたい。できればこういう機器は、乾電池や単3形のニッケル水素充電池など汎用的な電池が使えるものを選ぶと、いくつもの充電器を持ち歩かずに済み、最悪の場合に現地で電池を購入することで利用できるので安心だ。ただ、こうした充電器やACアダプタは持っていくのも、持って帰るのも忘れやすいので注意したい。筆者はホテルに入って、さぁPCを使おうと、コンセントを探して机の下を見たら、コンセントにノートPCのACアダプタ用コードや充電器が差さったまま置き忘れられているのを発見したことがある。

巻き取り可能なイーサネット・ケーブル
このような巻き取り可能なケーブルを用意しておくと、荷物がかさばらなくてよい。こうした巻き取りタイプは電話ケーブルにもあるので、両方用意しておくと何かと便利だ。
 
  関連リンク 
Windows Updateのページ英語
 

 INDEX
  [特集]海外出張で役立つインターネット接続術
  1.出張前の機材準備
    2.日本でのインターネット接続の準備
    3.飛行機とホテルの賢い選択法
    4. ホテルでインターネット接続
    5. 電子メールを上手に使う
    6. インターネット接続の緊急手段
 
 「System Insiderの特集」


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