Silverlight制作を
デザイナと開発者でコラボしてみた

実録:デザイナ×開発者コラボを成功するポイントとは

シグマコンサルティング株式会社 菅原 英治
株式会社DDF 上村 陽介
2009/9/7

 開発者からの2つのポイントについて解説します。以降は再び筆者菅原が執筆します。

開発者【1】「デザイナが目で見られるものにする」

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 繰り返しになりますが、本コンテンツ制作においては、まず開発者が、Silverlightコンテンツを制作するための「ソリューション」を準備しました。そしてその「ソリューション」のコンテンツ内のファイル構成(名前入力画面、カバンの中身画面、カバンの中身のアイコンとその画像、およびそれらの定義ファイル)や画面の実相方法を設計することになりました。

 その際、特に気を付けたのが、デザイナがBlendでその「ソリューション」を開いた際に、「目で見られるものにする」、ということです。具体的には、カバンの中身画面を見ていただきたいのですが、この画面ではカバンの中身が名前によって、動的に変化します。

 このような動的に変化する画面は、開発者目線で考えると、プログラムで動的に画面上に追加させてしまうのが一番簡単です。しかし、そうしてしまうと、Blend側でこの画面を編集する際に、カバンの中身のアイコンが1つも表示されない状態で見えてしまうことを意味します。

 つまり、カバンの中身のアイコンの位置を目で見ながらマウスでレイアウトできなくなってしまいます。今回は、それを避けるため、あらかじめアイコンを配置し、中身をロジックで切り替えるようにすることで対応しました。

開発者【2】「デザイナの成果物を真摯(しんし)に受け止める態度が重要」

 コラボするからには、やはり相方であるデザイナを尊敬し、その成果物を真摯に受け止める態度が重要です。開発者目線で考えると、どうしても、こうした方が美しい実装だ、と思うことがあるかもしれません。

 特に、Blendで修正した画面(Silverlightの画面は「XAML」と呼ばれるXMLで定義される)は、本来必要ないタグが多々自動生成されるため、XAMLをXMLタグで読みがちな開発者からすると、とんでもないことになります。そこを割り切って、自分はデザイナと一緒にコラボし、この作品を作るのだ、と考えられるようになる必要があります。

コンテンツ制作時の基本情報は?

 最後に、本コンテンツ制作するに当たっての基本情報を載せます。今後のSilverlightコンテンツ制作案件の参考になれば幸いです。

コンテンツを制作するのに要した時間は?

 まず、本コンテンツを制作するのに要した時間です。デザイナと開発者併せてざっくり1週間程度の工数という結果になりました。

表 本コンテンツを制作するのに要した時間
  作業工数 打ち合わせに要した時間
デザイナ 6日間(イラスト3日、デザイン1日、Blend 3実装2日) 6時間(2時間の打ち合わせを3回)
開発者 2日間(16時間)程度(基盤設計1日、ロジック設計0.5日、開発0.5日)

コンテンツができるまでの流れは?

 本コンテンツができるまでの大まかな流れを簡単にご紹介します。

  1. 第1回打ち合わせを行う
    • ディレクタより、ラフ案の資料(世界観のイメージと画面フロー)の提示
    • クライアントを交えてコンテンツの方向性を確認し決定
    • デザイナがデザインモック(ただの絵)を制作することが決定
    • 開発者がロジックを実装した「ソリューション」を用意することが決定
  2. デザイナのデザインモックが完成する
    • デザインモックをクライアントに確認し合意
  3. 開発者がロジックを実装した「ソリューション」が完成する
    • 画面遷移ロジックの実装完了
    • カバンの中身のロジックの実装完了
  4. 第2回打ち合わせを行う
    • 開発者が実装した「ソリューション」についてデザイナに解説
  5. デザイナのデザイン組み込みが完了する
    • デザインモックを基に、「ソリューション」にデザインを組み込む
  6. 第3回打ち合わせを行う
    • クライアントによる完成品のチェック
    • チェックでの指摘点を、その場で修正
  7. コンテンツ制作完了

2つの業界が交ざり合い、どんどん面白いものを

 このように本稿では、Silverlight 3コンテンツをデザイナと開発者でコラボレートして制作した結果をまとめ、その過程で得られたものを紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。実際に試してみて、Silverlightは、デザイナと開発者のコラボが非常に容易に行えることが分かりました。

デザイナと開発者のコラボ風景(ちょっと、うそ臭いかもしれませんが、こんなにも仲良くできるんです)
「面と向かっての共同制作の方が3倍速い(体感で)」目黒のオシャレなDDFオフィスにて

 また、本稿でのコラボを通じて、Webデザインを得意とする企業とシステム開発を得意とする企業は、お互いに得意分野を生かした良い関係になれることが分かりました。2つの業界が交ざり合い、どんどん面白いものが世の中に出てくるのが楽しみです。

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3/3  

 INDEX
実録:デザイナ×開発者コラボを成功するポイントとは
Silverlight制作をデザイナと開発者でコラボしてみた
  Page1
本稿は、デザイナ×開発者コラボの実録ドキュメントです
製作チームの体制は、どうなっていたのか?
  Page2
Silverlightでのコラボは本当に容易だったのか?
コラボを成功させるための、7つのポイントとは?
Page3
コンテンツ制作時の基本情報は?
2つの業界が交ざり合い、どんどん面白いものを

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