モバイルサイト/SNSアプリ運営のためのCMS独断と偏見のCMS比較(終)(2/3 ページ)

» 2009年12月03日 00時00分 公開
[清水亮株式会社ユビキタスエンターテインメント]

【7】アクセス解析は限りなくリアルタイムに近く

 アクセス解析は、サイトを運営するうえで最重要ともいえる部分です。ここがリアルタイムであるかどうかでサイトの運営効率が断然違います。

 時間単位での入会率、退会率の確認をベースに、どの時間帯にはどういったコンテンツが読まれているのか、できれば会員を対象に取るアンケート(性別、年齢、住まい、職業)の情報と照合してユーザーの属性まで取れるべきです。

【8】非常に重要なステージング(試行)機能

 ステージング機能とは、あらかじめ登録した試験端末を使って未来のサイト状態を確認する機能です。

 モバイルサイトの場合、情報を公開するタイミングがシビアです。記事をまとめて書いて、将来に渡って公開予約をする場合も多いため、事前に未来のサイト状態を確認するためのステージング機能が不可欠です。この機能がないと、毎回何かの発表があるたびに早朝出勤や残業をしなければならず、精神衛生上良くありません。適切なステージング機能があれば、事前にサイト状態が確認できるので、安心してシステムに任せられます。

【9】キャリア・端末別のプレビュー機能

 モバイルの場合、対応キャリアによって違うページを表示したいことも数多くあります。最近はキャリアが同じでも、従来型のいわゆる「ガラパゴスケータイ」と、AndroidiPhoneWindows Mobileなどのスマートフォンも登場してきたため、プレビュー機能による確認が非常に重要になってきました。

安藤 幸央

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【10】RSS配信機能

 iモードのマイニュース機能のサポートにより、携帯の世界でもいよいよRSSが一般化しつつあります。RSSへの配信機能は、これからのモバイルCMSにとって、なくてはならないものとなるでしょう。

【11】高速な更新と反映

 PCサイト用の一部のブログエンジンでは、静的なHTMLを生成するため、サイトへの反映に数分から数十分かかってしまう場合もあります。しかし、1時間に何度も更新する場合もあるモバイルサイトでは、これは致命傷になり得ます。

 できれば、編集中もサイトは継続的に動作していて、更新ボタンを押したら数秒以内に本番環境に反映されるシステムが望ましいといえるでしょう。

【12】柔軟なデータベースと拡張性

 数年で廃れてしまうかリニューアルをかけるPCサイトと異なり、モバイルサイトの場合、原則として“永遠”に同じシステムを使い続けることになります。そうしたときに、データベースをガチガチに設計してしまうと、将来の改修や機能拡張に耐えられず、結局すべて作り直しになってしまい、かなりのコストが掛かってしまうということがよくあります。

 データベースはできる限り柔軟に設計されているのが理想で、CMSそのものも、後から改修したり拡張したりすることが簡単になっている必要があります。

【13】バックアップと復元

 ハードウェアは、電源が入っている限り“壊れる”ものです。通常のPCサイトよりはるかにアクセスの多いモバイルサイトなら、より壊れやすくなります。特に課金情報などを持っている場合は、バックアップから復元できないと、大変なことになります。また大規模な障害だけでなく、「あ、あのページ、間違って消しちゃった」ということがたまにはあると思います。

 ページ単位でバックアップと復元ができるCMSなら、心配ごとは大幅に減少します。

【14】アフィリエイト対応

 少し前からモバイルサイトの集客の主力はアフィリエイト広告です。アフィリエイトサイトからの誘導を確認するためには、それぞれのアフィリエイトシステムに対応したCMSが必要になります。

 また、アフィリエイトに限らず、例えばポスターや雑誌広告などに掲載したQRコードに特殊な符号を付け、後でどの媒体からの誘導が一番多かったかなどを確認するための集計システムも必須機能といえるでしょう。

【15】課金認証/会員認証

 キャリア公式サイトを作る場合、課金認証や会員認証の機能は不可欠であり、筆者らが普段モバイルサイトを構築するときに最も気を使う部分です。何しろ、モバイルサイトにとって会員認証は生命線ですから、ここに問題があると、ビジネスモデルそのものが破たんします

 課金認証も、月額課金だけでなく、都度課金ポイント制といった区分けがあり、さらにキャリアによって課金方式がまったく異なるため、ノウハウが必要です。キャリアによっては、初めて取引する会社に、課金認証方式についての講習を受けることを義務付けている場合もあります。

【16】Flashの動的生成

 美しいページを作るにはFlashの動的生成機能が不可欠です。それも、できるだけ簡単に扱えるものであるべきでしょう。

 Flashの動的生成エンジンそのものは珍しくないものの、美しい描画を実現するには、アウトラインフォントの埋め込みや、CMSとの高レベルな融合が必要となります。美しいFlashを作ることで定評のあるオルソの「Odette Solution(オデット ソリューション)」は、かなり高度な機能までサポートしたFlash動的生成対応CMSです。

図1 Odette Solution 図1 Odette Solution

【17】PCサイトやスマートフォンへの対応

 モバイルの世界では「小は大を兼ねる」といいます。モバイル用のページはPCでも見やすくできますが、PC用のページはモバイルでは見やすくなっていないということです。

 そこで筆者らは、PC向けとモバイル向け、両方をサポートしたサイトを作る際、まずモバイル向けを基準にして作ることをお勧めしています。高度にデザインされたPCサイトをモバイルにするのは大変ですが、もともとモバイル用に作られたコンテンツをPCサイト用に作ったきれいなテンプレートで表示する方が、ずっと簡単だからです。

 また最近は、「iPhoneやAndroid、Windows Mobileなどのスマートフォンにも対応したサイトを作りたい」というお話もよくあります。そういう場合でもモバイル用を基準にして、そこからPCやスマートフォンに合わせたテンプレートを作った方が、結局はリッチかつ美しいページを作成できます。

モバイル用CMSの今後トレンドを予測

 1999年から2009年12月現在まで、モバイルサイトは金の卵を産むガチョウと考えられてきました。しかし現実には、数年前にネット対応ケータイの普及率が人口のほぼすべてに達した後、モバイルサイトの成長率も鈍化を続けています。

 こうした中、次世代への起爆剤となっているのが、iPhoneをはじめとするスマートフォンと「mixiアプリ」に代表されるSNSアプリです。

【1】iPhoneやAndroidなどスマートフォンへの対応

 iPhoneといえば、その人気はもうご存じのとおりですし、また、iPhone的な機能を持つグーグルのAndroid搭載スマートフォンも各社から発表され始めています。特に、2010年はAndroid元年となるでしょう

 そうしたスマートフォンでの課金手段は、従来のようなキャリア課金ではなく、クレジットカード課金がまだ主流です。スマートフォン時代のコンテンツは、サイトではなくアプリが主流になりつつあります

 それまでは、例えば「占いサイト」というものに入会していたのが、これからは「占いアプリ」を購入する方向にいくと思います。そういう時代が来ても、アプリの中身は新鮮であるべきものも多く、CMSはそうしたアプリ型のコンテンツ配信に対応していく必要があるでしょう。

 ただし、スマートフォン向けコンテンツが本当に盛り上がってくるのは、2010年下半期以降だと思います。いまこの瞬間に一番熱いのは、SNSアプリです次ページでお話しします。

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