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Flashと人〜あの人からの6つの回答

Flashをやる人を増やし、Flasherをつないでいきたい

面白法人カヤック 閃光部クリエイター
道家陽介
2009/3/12
Flashを取り巻く人をつないでいくリレーコラム。気になるFlasher(フラッシャー)がバックグラウンドや注目のできごと、挑戦したいことを紡いでいきます

「Flash」との付き合い方や思い

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 今回から始まる「Flashと人」。

 このコーナーは、「Flash」と呼ばれるツールを取り巻く人をつないでいく連載コラムです。トップバッターを務めさせていただく僕は、道家陽介。面白法人カヤックの閃光部と呼ばれるFlash制作チームに所属しています。

 初回ということで、まずは簡単にこのコーナーの趣旨のご説明から。Adobe Flashを皆さんはご存じですか?

 ベクターグラフィックに強いアニメーションツールとして、ActionScriptというプログラムの開発環境として多くのWebクリエイターに利用されています。Flashアニメ、Flashゲームをはじめ、Webサイト上のアニメーション、スライドショーなどご覧になったことのある方も多いのではないでしょうか。

 このFlashを作るために必要な要素は、グラフィックデザイン、モーションデザイン、情報設計、PHPなどのサーバサイドテクノロジとの連携、……と多岐にわたります。

 そのためディレクターやプランナーも含め、さまざまな人と協力してコンテンツを作り上げていくことになります。

 そこでこの連載では、これからWebデザインにかかわろうとしている方やすでにかかわっている皆さん、Web制作に携わる方に向けて、いろいろな業界の現場でトップを走る皆さんに「Flash」との付き合い方や思いをつないでいきたいと思います。

 このコラムのルールは、次の著者を指名するリレーコラム形式で5つの質問にそれぞれ答えていくシンプルなものです。

  1. 「Flashのバックグラウンド」……どういった経緯でFlashに着目・携わるようになったのかや、Flashテクニックの下地をどのようにして取得したのか
  2. 「Flashで得意なこと・したいこと」……得意技や興味の方向性
  3. 「Flashの気になること・次にやりたいこと」……技術的に気になる面や野望
  4. 「Web以外でFlashの展開は?」……Flashの可能性
  5. 「Flashがなくなったらどうする?」……そのままずばりなくなったときはどうするか
  6. 「もっと自由に表現するためにしたいこと」……技術的でない観点でもかまいません

 業界で注目のクリエイターが登場しますので、楽しみにしていてください。では、早速僕の回を始めます。

質問1「Flashのバックグラウンドは?」

 僕がFlashと出合ったのは、2000年くらいに雑誌でFlash 4の記事を見掛けて体験版を使ってみたのがきっかけです。当時FlashといえばquinoCATMANといったアニメ作品やゲームが中心で、美大にいたこともありアニメーションにすごく興味を持っていました。

 そのままActionScriptにも興味を持ちましたが、当時はネットにも書籍にも有益な日本語の情報源が少なかったので、New Master of FlashFlashOOPに刺激を受けながら、徐々にActionScriptを勉強し始めました。

 2005年末に面白法人カヤックに入社し、いまでいうマークアップエンジニア志望のはずがなぜかFlashチームに配属され、いまにいたります。

 入社時にちょうどFlash 8が出たくらいなので、いまの知識の半分くらいはカヤックに入ってからやりながら覚えたという感じです。

質問2「Flashで得意なこと・したいことは?」

 開発スキルとしては、すごく得意なものがあるというよりは、アニメもASも、モーション中心なものもシステム系なものも幅広くなんでもやります、といった感じです。

 たまに副産物で自作ライブラリなども生まれます。自作ライブラリのWonderfl build falsh onlineの3D演習その5 +Matrix3DとScaleとRotateは、クライアント案件で3Dを実装したところから生まれたサンプルです。

Wonderfl build falsh onlineは、カヤックが2008年年末にリリースした、サイト上でフラッシュを作り公開できるサービスです

 制作以外では、_level0.KAYACというブログを書いたり、「ごはんとFlash」というコミュニケーションイベントをやったり、F-siteというユーザーグループを手伝ったりもしています。

_level0.KAYACは、カヤックの閃光部によるブログ。ほぼ毎日更新しています

 去年はBM11というラボのプロジェクト、現在は受託系のFlash案件を中心に、WebコンテンツやサービスのFlash部分を担当しました。

 最近はオーサリングだけでなく、企画や設計のところにかかわってお手伝いするかたちが多くなっています。

カヤック10周年コンテンツのCUBACLOCK。メインFlashとブログパーツFlashの実装を担当しています

質問3「Flashの気になること・次にやりたいこと」

 昨年は「ごはんとFlash」という交流会を何度か開催しましたが、そういうイベントや勉強会をもっと進化させていきたいと思います。

2008年夏の「ごはんとFlash」の模様。カヤックが運営しているカフェ「DONBURI CAFE DINING bowls」が由比ガ浜に出店した「海の家」で開催

 Flashを作っている人の目的として、作ったもので楽しませることがあると思いますが、それはデザイナーやプランナーの人の協力が必要だったり、広告やマーケティングの視点が重要だったりして、そうなると1人でFlashを作ったりActionScriptを極めたりするだけでは補えない部分が多く出てきます。

 だから、例えばSparkの勉強会でASの技術的なことをやっているのであれば、自分はデザイナーとFlashを考える勉強会とか少し軸の違うアプローチでWebデザインやFlashを考えるところに働き掛けていけたらと考えています。前述のWonderfl build falsh onlineを使ったオンラインでのラーニングや、直接作る機会になるような開発合宿みたいなものも検討しています。

 また、去年の流れから、Flashをやる人を増やしたり、デザイナーとかプランナーなど含めFlashにかかわる人をつないだりするところで貢献できるよう頑張りたいと思います。

質問4「Web以外でFlashの展開は?」

 FlashやActionScriptの映像的な使い方を広げてみたいです。

 最初に少し触れましたが、Flashはもともとベクターベースのアニメーションソフトで、映像やモーショングラフィックスを作る人に利用されていました。ActionScriptの進化によりそういった色が薄れつつあるのですが、ActionScriptの高速化によりProcessingのようなスクリプトベースの新しい映像の可能性が出てきました。

 Flash=Webという印象になっていますが、ライブイベントの演出やクラブイベントにおけるVJみたいな、空間演出へのアプローチがもっとはやったらおもしろいと思います。

 またVJの素材としては以前から使っている方も多いですが、Webで培われたインタラクティブな要素を映像に生かしていけるんじゃないかと考えています。まったく触れられない状態ではありますが、なかなかそういった部分でうまくいっている例がないので、挑戦してみたいですね(以前、知り合いでWiiリモコン+Flashでお客さま参加型のVJをしている方はいらっしゃいました)。

質問5 「Flashがなくなったらどうする?」

 僕にとってFlashの面白いところはコミュニケーションデザイン的なところなので、ほかの方法でそういったことを続けると思います。ネットじゃなくてライブイベントとか現場性のあるものにいくような気がします。

 個人的にも、Flashは自分とWeb制作業界をつなぐキーワードであったり、手軽にインタラクションを制作するツールではありますが、ないからといって自分自身はあまり変わらないですね。

質問6 「もっと自由に表現するためにしたいこと」

 ものづくりにかかわるお金をうまく扱う概念や仕組みに興味があります。

 自分たちがイベント運営をする際に企業スポンサーなどが必要なケースがありますが、草の根や個人の活動だとそもそもスポンサーについてもらうのが難しいです。仮にスポンサーがいても、そのお金は会場費と宣伝との単純なトレードオフで終わってしまい、両者のメリットが生かしきれていないように思うことがあります。

 またオープンソースプロジェクトにおいても開発を続けるための費用の確保が難しい状況が多いようです。

 例えば海外では、CreativeCommonsというライセンスが考案され、著作権や作品の2次利用に対する考え方が一歩進み、ものづくりがしやすくなりました。

 日本では、心なしかビジネス同士以外のお金に対して消極的なケースもありますが、CreativeCommonsで新しい概念を通して仕組みが変わったように、面白いことには積極的に投資しやすい考え方や仕組みができれば、両者にメリットがある面白いイベントやプロダクトがもっと増えるのでないかと妄想しています。

 取りあえず、僕個人としては、「ごはんとFlash」の協賛や、Progressionの寄付の仕組みを真剣に考えるところから始めたいと思います(例えば、寄付の単位を1口牛丼1食分で支払う牛ドネーションとか……)。

次の人を紹介してください。

 katamariSaqoosha(さくーしゃ)さんにお願いします。

 国内では、関西Flash業界のすごい人として君臨していますが、今度カナダ・トロントで開催されるFITCにも出演されるようです。katamariのコンテンツは技術的にももちろんすごいんですが、技術だけで終わらずにかっこいい作品に仕上がっています。

 プログラマから入ったという彼がちゃんとデザインの目線ももって周りのクリエイターに刺激を与えているところに興味があるのでぜひお願いします!

道家陽介(どうけ・ようすけ) 面白法人カヤック 閃光部クリエイター
1980年6月19日埼玉県生まれ。2003年名古屋芸術大学デザイン科卒業後、2005年面白法人カヤックに入社する。制作に参加した「gooホームPROJECT」(NTTレゾナント)では、カンヌ国際広告賞にて銀賞を受賞。そのほか、マンション100%(ネクスト)、CUBACLOCKなども担当する

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