ふかんで見る7社7様の帳票ソリューション


吉田育代
2005/11/17


これまで7回にわたって、7社のベンダの帳票ソリューションを見てきた。各社の着眼点やニーズに対応する方策に触れることで、この市場の特長や製品の大体の傾向が浮かび上がってきたのではないだろうか。そこで本稿では、各社のソリューションをそうした特長や傾向ごとに再編集した形でお届けしたい。

  ニーズを満たしながら、いかに美しく設計するか

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  まずは帳票設計である。このフェイズは各社とも一様に力を入れており、GUIベースで凝ったデザインの帳票が設計できるツールがいろいろ存在する。具体的に作りたい帳票の種類によって、最適なデザインツールの在り方は違ってくるだろうから、一概にどれが優れているとはいい難いが、例えば、キヤノン販売(参照記事:多彩な出力形式の帳票、キヤノン販売)はデザインをパーツとして個別に一元管理できる開発生産性の高さを主張している。同社はまた、複合帳票、可変帳票の設計に対応しているという点でも特長がある。

 非定型帳票の設計機能で他と一線を画しているのが、日本オプロ(参照記事:疎結合と密結合への両立へ、日本オプロ)である。棒グラフや円グラフ、エリアグラフ、散布図など豊富にチャート図を用意しており、カラーイラストなどを盛り込むことも可能だ。同社の製品を利用すれば、美観にこだわったグラフィカルな帳票を作成できる。

  一方、エンドユーザーのアドホックなレポート作成をサポートしているのが、ウイングアークテクノロジーズ(参照記事:企業基幹系システムの変化から生まれた帳票技術)とキヤノン販売だ。前者は、あらかじめ用意された多次元データベースであるデータキューブに対して、ExcelやWebブラウザからアクセスでき、後者はデータベースサーバに直接アクセスして必要なデータを抽出するスタイルを取っている。こちらはWebブラウザから利用する。

  帳票設計という、この段階でセキュリティを考慮しているのはテンアートニ(参照記事:帳票開発者のニーズにきめ細かく対応、テンアートニ)である。PDF電子署名機能を採用し、帳票発行者の妥当性を保証する。同社の製品はまた、CJK(中国語/日本語/韓国語)コード対応が可能で、多言語が混在した帳票を設計できる強い個性を持っている。

  一方、日本語の漢字だけでも複雑で十分な対応が必要と主張するのが富士通(参照記事:四半世紀で培った帳票ニーズへの対応力、富士通)で、きめ細やかな外字管理機能を提供している。

  さらに、ウイングアークテクノロジーズ、ブレインセラーズ・ドットコム(参照記事:帳票でなく、オンデマンドPDFジェネレータという考え方)は、帳票設計の範囲を入力フォームにまで広げている。

  紙に強いか、電子に強いか

  今日の企業情報システムにおいて、帳票利用の主流は紙ベースと電子ベースのどちらにあるのだろう。今年4月に登場した、いわゆる「e-文書法」の施行を見れば、企業における帳票の電子化は今後加速度的に進行していくだろうと思われる。しかし、電子帳票の利用を推進するためには、それなりのシステム環境が整備されている必要がある。帳票があらゆる取引のインターフェイスとして機能している現状を考えると、紙ベースの帳票の存在も捨て難い。つまり、答えは「いまはどちらがどうとも結論を出しがたい」状況なのである。

 こうした中で、紹介した帳票ソリューションもそれぞれに軸足が微妙に異なっている。どちらのニーズにも等分に強いことを打ち出すベンダが多い中で、すっぱりとPDFドキュメントという電子帳票の世界で勝負することを決意しているのが、ブレインセラーズ・ドットコムとテンアートニである。前者は、オンデマンドでどれだけリアルタイムにPDFデキュメントを生成できるか、また変更要件にどれだけ迅速に対応できるかという点に心血を注いでおり、後者は、Microsoft .NETアプリケーション、Java/J2EEアプリケーション、PHPアプリケーション、HTMLクライアントなど、マルチアーキテクチャに対応する適応性の高さをセールスポイントにしている。

 PDFドキュメントではないが、ホスト上で稼働している基幹システムや、ERP、営業支援システムなどのオープン系システムから出力されるデータを電子帳票化するスタイルを取っているのはJFEシステムズ(参照記事:全社規模で帳票を電子化して一元管理、JFE)だ。同社は全社利用にも対応するLinux版の製品を有している点が特長的だ。

  大規模利用にも堪える、出力へのこだわり

 紙ベースの帳票をサポートするとなると、プリンタ出力系の機能に注力することになる。

 例えば、ウイングアーク テクノロジーズの製品は、「コマンド印刷」という機能を持つ。同社独自のプリンタ・ドライバ技術により、プリンタのコマンドを直接発行する形で出力制御を行うため、データ量をおよそ10分の1に抑えられる。

 キヤノン販売では、サーバ側でPDFドキュメントを生成する方式、フォーム・テンプレートと帳票データのみを送信し、フォーム生成はクライアント側で行う方式、専用フォルダに帳票を格納し、大量印刷を可能とする方式という3つの出力形式を提供しており、帳票によって異なる出力ニーズに柔軟に対応している。キヤノン・プリンタと連動すれば、ステープル印刷や印刷ジョブ管理などの印刷制御も行える。

 富士通の場合は、帳票のレイアウトデータと論理データを分離・圧縮して送り、しかも同じレイアウトデータは一度しか送信しない。それを拠点側のエージェントが合体して印刷するスタイルを取るため、大量印刷であっても、迅速に印刷を開始することができる。

  セキュリティ機能を有した文書管理機能

 帳票の設計や流通、保存を一元管理できる環境が整うと、それを文書管理として発展させたいと考えるのは、すごく当然な成り行きである。具体的には、富士通、JFEシステムズが、これを実現させている。

 まず富士通だが、ユーザーの帳票閲覧/印刷/再加工の可不可といった権限管理が行えるだけではなく、ドラッグ&ドロップでフォルダ移動が可能な電子帳票の管理機能を提供しており、職制変更や人事異動などにも迅速に対応している。

 JFEシステムズの製品は、電子帳票の高速検索機能を搭載している。電子帳票を独自のデータベースに保存し、5秒間で450万枚というスピードで、目的の1枚を探し出すことができる。

  帳票ソリューション選択のきっかけとして

 ポイントを絞ったいくつかの切り口から、各社の帳票ソリューションの特長をふかんしてきたが、これ以外にも、大企業向けか小さな企業でも利用できるか、ハードウェアの自由度はどうか、連携パートナーは豊富かどうかなどといった視点があり、そこから見るとまた違った比較ができると思う。本稿が、御社に最適な帳票ソリューションを発掘するきっかけになれば幸いである。

帳票ベンダ・インタビュー バックナンバー



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