帳票ベンダ・インタビュー 第12回

電子帳票をそのままフロントエンドシステムに。
オブジェクトの活用が帳票ツールの流れを変えるか


吉田育代
2007/2/13


作成した帳票をそのままフロントエンドシステムに。生きた業務データをどこまでも生かすチェプロのオブジェクト活用は帳票の流れを変えるか

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  オープン環境の企業情報システムにおいて、帳票ニーズはいまどのような状況になっており、それに対して帳票ベンダはどのようなソリューションを提供しているのか。帳票ベンダへの直接取材でその解を探るシリーズ。第12回は、チェプロCaptain Play@を取り上げる。

 あるときは帳票ツール、あるときはビジネスインテリジェンスツール、あるときはセキュリティ閲覧システムと、1つで3つの役割をこなし、求められる場面で姿を変えるというそのツールの実態とは。この先ひょっとすると、電子帳票1枚が自席のPCに表示されていれば、それで日々の業務が完結する、という日が来るかもしれない。

   中堅中小企業と帳票問題
チェプロ代表取締役の福田玲二氏

  中堅中小企業で働く人々は、日々利用している帳票に大きな不満を抱きながら仕事をしている。システムコンサルティングを手掛けるチェプロの代表取締役、福田玲二氏が営業でいろいろな会社を回ってつくづく思うのはそのことだった。

 昨今は、所帯の小さい企業であってもシステムは導入されていて、リレーショナルデータベースも存在する。データベースの中のデータを活用する最もシンプルな方法は、CSV形式で取り出してきて、それをExcel上で加工するというものだ。

 簡単だがそれで帳票やレポートを作成しようとすると、データを切ったり張ったり非常に手間が掛かる。そのために1日つぶすというようなこともある。また、そのようなCSV形式での抽出だとデータが社外へ流出しやすく、セキュリティ面で危険でもある。

 業務パッケージソフトウェアを導入する企業も増えているが、それに付属している帳票類がそのまま使えるとは限らない。例えば売上報告書に前年との実績比較欄を設けたいなどと考えたとしよう。業務パッケージゆえに自社で勝手に改造するわけにはいかない。

 そこでベンダにカスタマイズを依頼すると、その費用として数百万円単位の見積もり金額が出てきたりする。小さな企業にそんな大金は簡単に出せないから、付属の帳票で我慢することになる。しかし、社内のユーザーからは売上金額に占める新製品の割合を見たいだとか、社用封筒が変わったからあて先・あて名の印字位置を変えたいだとか、次から次へと新しい要望が出てくるのである。

 また最近はインターネット利用が普及して検索エンジンによる情報検索が浸透しており、帳票も紙ではなくデジタル化された電子ファイルとして保管し、Web上で閲覧したいというニーズも高まっている。

 だが、ここにはトレードオフがあって、大抵のWebシステムはそのままでは印刷機能が弱く、印字できない部分が出たり、表形式の帳票だと文字や数字の印字位置がずれたりする。ドキュメントフォーマットとして標準的に利用されている電子帳票でも、その表示能力、印刷能力は完ぺきといいがたい。趣味ならともかくビジネスの世界で印字品質が悪いのは、いくら小さな企業であっても許しがたい気持ちになる。

 さらに時代背景として、個人情報保護法や日本版SOX法の登場により、データおよび帳票へのセキュリティを強化することが緊急の課題となっている。

   解決策として開発されたCaptain Play@

 こうした日本の中堅中小企業が抱えるもろもろの帳票問題を何とかしたいと考え、チェプロがこの世に生み出した製品、それがCaptain Play@(以下、Play@。プレイアと読む)である。ユニークな名前だが、企業情報システムから重要なデータを抽出して飛び立ち、自らが拠点となって新たなデータの宇宙へ向かう宇宙船のイメージを持たせたのだという。

 それでは、中堅中小企業向け製品ならではの特徴はどこにあるのだろうか。ここでは次の3つのポイントに絞って紹介することにしよう。

1. 帳票設計が簡単

2. ドキュメントが高品質

3. 厳格なセキュリティが容易に設定できる

 まずは帳票設計についてだが、Play@はプロパティ設定によるノンプログラミングによる帳票開発手法を採用している。その数は総数518個に上り、このプロパティを設定するだけで帳票設計が完了するという。例えば、文字間隔の設定はCharIntervalプロパティというものを使う。画面を見ながらここに入れる数値を変えていくことで文字間隔を自由に設定することができる。改行文字数の設定はRowIntervalプロパティだ。ここに20字と入れれば20字詰めのドキュメントフォーマットになる。

画面1 帳票の設計

 このように、どのような機能がどのプロパティで実現されているかさえ分かれば、プログラミング知識のないエンドユーザーでも自分の思いどおりに帳票を設計することができるという。福田氏は、そういいながら同社の営業担当者が3時間で作成したという納品書やお弁当の商品チラシのサンプルを見せてくれた。企業に普及している外資系帳票ツールとの比較では、帳票開発スピードは新規帳票で2.25倍だという。

 また、データベースとダイレクトに接続してクエリーを発行し、データを直接取得して作成する帳票やデータ分析レポートにも対応する。Microsoft Accessを利用したことがある人ならクエリーやテーブルを設定するのは難しいことではないらしい。

画面2 クエリーの発行

 逆に難しいこともできる。スクリプト機能を搭載しており、データに四則演算処理をして表示したい、何らかの制御を加えたいといったときはスクリプトを組んでプログラムを作成することで実現可能だ。

 2番目の“ドキュメントが高品質”という特徴だが、これを実現しているテクノロジーがまさにPlay@がほかの帳票ツールと一線を画している点だろう。チェプロはこれを“オブジェクト型電子帳票ファイル”と呼んでいる。この製品で作成した帳票ファイル「PVF」は、画面上の表示でも、印刷出力でも、文字や罫線がズレたりゆがんだりすることがない。

 それは、帳票を構成しているパーツそれぞれが単なる画像やテキストではなく、オブジェクトとして“生きて”存在しているからである。表のセルの中の数字1つ1つが“このセル内のどこに位置すべきか”という情報を持っているため、決して罫線と接したり、その上に乗ったりしないのだ。

 そしてまた、PVFはオブジェクト型電子帳票ファイルであるがために、バックエンドでデータベースとそのままリンクすることができる。例えば、ある会社の東京支店が作った4月の時間帯別売上集計表があるとしよう。それをWebブラウザ上で閲覧しているのだが、その帳票に次は5月になってアクセスした。

 するとその帳票がまるですり替わったように5月分の時間帯別売上集計表になるのである。データを動的に変化させられるのだ。セキュリティをかけてデータを更新しないようにすることもできる。また、集計表内の特定の数値を変更して、それをデータベースにフィードバックすることもできる。PVFというのは、見た目は紙が電子になっただけの帳票ファイルなのだが、実際はデータベースと直接“交信”できるフロントエンドシステムなのである。

 つまり、帳票を作ればそれをそのまま業務アプリケーションとして機能させることができるということで、もうデータを見るためにわざわざアプリケーションを開発しなくてもいいのである。これは常にシステム投資コストに悩む中堅中小企業にとって、大きな福音ではないだろうか。

 3番目の特徴は“厳格なセキュリティ設定が容易に設定できる”ことだ。実は、2番目の特徴のところで書いたデータ更新だが、権限がなければ実際は行えない。集計表内の数値を変更することも同様。書き換えるためには権限がいる。

 Play@は1つの帳票、1つのオブジェクトごとに個人、組織単位で、閲覧、データ更新、印刷出力、CSV出力、クライアント端末への保存、それぞれの可否がきめ細かく設定できるのである。それも、レポートアシスタントと呼ばれる管理画面の中の、ユーザーセットという項目で容易に行えるので、システム管理者が常駐することの少ない中堅中小企業にとっては運用しやすい形態といえるだろう。

   大量印刷や高機能な文書管理はニーズじゃない

 福田氏はPlay@を“帳票開発&ビジネスインテリジェンス(以下、BI)ツール&セキュリティ閲覧管理システム”と呼び、1つで3つの役割をこなせる製品と解説する。業務アプリケーションにがっちり組み込むスタイルではシステムインテグレーションにコストが掛かり過ぎるからと、組み込みもできるが、独立させて運用できる形態も取った。データベースと接続すればそのままBIツールとして利用できる。

 しかし、Play@で作成した帳票PVFを既存のアプリケーションに“ビルトイン”してあたかもそのアプリケーションが帳票を発行したかのように見せ掛けることもできる。PVFはWebブラウザ上でも展開できるが、ここでもLAN環境と同様にきめ細やかなセキュリティを施せる。

画面3 ウェブのログイン画面

 帳票系ツールというと大量印刷機能や、電子帳票対応製品ということで文書管理機能についても気になるところだが、Play@はこれらの点についてはあまり注力していないようだ。PVFのファイルサイズにはこだわっていて、その生成スピードも標準的なドキュメントフォーマットと比べて1000枚単位で約7分の1だそうだが、こと印刷出力となると大量ニーズには対応していない。

 また、PVFとともにWordやExcelをWeb上のフォルダに保管、閲覧できる簡易文書管理機能はあるが、特に検索などは考慮していないという。

「対象市場があくまで中堅中小企業ですから。大量の帳票をさばくよりは帳票の開発コスト削減の方が現実的で、本当に困っておられる問題だったので、それに応えたいという思いで開発した結果、こういう製品になりました」(福田氏)。

 中堅中小企業を念頭に置いて開発した製品だという証拠がもう1つある。それは価格だ。Play@は、帳票設計が可能な開発者3ライセンス版で39万8000円。あとはクライアントソフトを何セットインストールしようが、いくつ業務アプリケーションに作成帳票を組み込もうが自由だ。

 Play@をイントラネットで展開したいときは、Webセキュリティ帳票閲覧オプションを導入する。それが30ライセンスで38万円。中堅中小企業といっても環境はまちまちだから一概にはいえないが、100万円以下で一連の帳票問題が解決するのはありがたいことだ。

   “生きた業務データをどこまでも生かすならPlay@”

 今年秋に発売が予定されている次期バージョンでは、LAN環境にあるPVFファイルのトレーサビリティー、データベースとの直接接続、オブジェクト1つごとのセキュリティ、外資系帳票ツールで作成された電子帳票の変換機能などが盛り込まれる予定だ。

「文字や画像がただそこにあればいいというのなら、ほかの電子帳票でも構わないと思います。しかし、旬の業務データを生きたまま、素材の良さをどこまでも生かしたいというのであれば、お役に立てるのはPlay@しかないと思います」

 福田氏はきっぱりといった。市場動向に沿ってビジネスを展開するのではなく、市場動向を創造できる企業でありたい、とも。オブジェクト型電子帳票ファイルはまさしくそれを具現化したテクノロジーである。 


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