帳票ベンダ・インタビュー 第14回

ポーラ化粧品のスキンチェックシートを支える帳票システムとは?


吉田育代
2007/4/10

ポーラ化粧品のアドバイスシートとPDFを使ったシステム作りに貢献した、インフォテック・アーキテクツのCreate!Formについて聞いた

   見栄えの良い帳票作りで名をはせるも、
 あらためてリスト・明細系帳票作成の効率化に注力

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 オープン環境の企業情報システムにおいて、帳票ニーズはいまどのような状況になっており、それに対して帳票ベンダはどのようなソリューションを提供しているのか。帳票ベンダへの直接取材でその解を探るシリーズ。第14回は、インフォテック・アーキテクツを取り上げる。

 同社の帳票ソリューションツール「Create!Form」は、画像やグラフの扱いに優れ、見栄えの良い帳票を作成する機能を持つことで定評がある。しかし、新版Ver.8で主眼が置かれたのは、帳票ニーズの原点に立ち返って、けい線入りの表をいかに効率よく、要望に合った形で開発できる機能を盛り込むかということだった。

   見栄えの良い帳票作りに定評あり

 男性にはちょっと縁遠い話かもしれないが、昨今、化粧品の世界もテクノロジー追求型のマーケティングが主流である。永遠のテーマである美白一つを取っても、どのような植物成分を配合しているかとか、どのようなアミノ酸が重要かとかが、広告で正面切ってうたわれる。理論的な裏付けのない商品はもう見向きもされないのだ。

 例えばポーラ化粧品本舗(以下、ポーラ)のAPEX-iというラインでは、カウンセリングとスキンチェックの分析結果を基に商品が選ばれるシステムになっている。営業所を訪れた見込み顧客がまず受けるのは商品説明ではなく、スキンチェック。専用の装置を使って採取されたサンプルが肌分析センターに送られ、データがコンピュータに登録される。

 その後、“アドバイスシート”と呼ばれるものが出力されて(画面1)顧客の元に郵送され、カウンセリング用のPDFが生成され、これは電子メールで担当営業所へ送られる。顧客がアドバイスシートを持って再び営業所を訪れると、そこで入念なカウンセリングとともに商品が選ばれるというわけである。

画面1 ポーラのカウンセリングとスキンチェックの分析結果(クリックして拡大表示)

 このアドバイスシートとPDFを使ったAPEX-iのシステム作りに貢献したのが、インフォテック・アーキテクツ「Create!Form」だ。同社の製品が選ばれた理由は、多彩かつ豊かな表現力を持ったレポートの作成能力だ。

 アドバイスシートは、肌の状態を表現するカラー画像やデジタルバーチャート、長所と弱点を把握するためのレーダーチャート、季節による変化を示す折れ線グラフなど、非常にビジュアルなレポートとなっている。最も先進的なレポートを作成したいとポーラが帳票ツール製品を比較検討した結果、Create!Formを選択することになったという。

 この事例が示すように、Create!Formはビジュアル的にインパクトの強い帳票を作成することが得意だ。ほかにも、レーダーチャートや棒グラフを含んだ、医療機関の健康診断検査結果報告書(画面2)や予備校の模擬試験成績表(画面3)を作成した実績がある。

画面2 健康診断検査結果報告書(クリックして拡大表示)

画面3 予備校の模擬試験成績表(クリックして拡大表示)

 CSVやテキストといったファイル内の数値データを自動的に解析処理し、前述のグラフ以外にも円グラフ、積み上げ棒、帯グラフ、散布図、株価チャート、バブルチャートなど、さまざまなグラフを描画することができる。また、写真、イラスト、ロゴデザイン、バーコードなどを帳票へ簡単に取り込める機能も持っている。そのため、市場では“見栄えの良い帳票を作るなら、Create!Form”という評価が確立しているようだ。

   Create!Form製品ラインアップ

 ここであらためて、製品の全体構成を見ておくことにしよう。Create!Formというのはソリューション名で、具体的には大きく6つの製品ラインアップがある(画面4)。

画面4 Creato!Formの製品ラインアップ

 「Create!FormDesign」は、いわゆる帳票開発ツールである。フォームのデザイン、テキストや画像・グラフなどの配置、データのフォームへの割り付け、テスト実行までを行える。

 「Create!FormCast」は、同社が独自に開発したPDF生成エンジンで、さまざまなフォームパーツやセキュリティ機能を盛り込んだPDF帳票出力をサーバサイドで実行する。これを利用することによって、PDF出力の高速化を実現することが可能だ。また、サーバ側でのPDF帳票の保存、クライアント側でのPDF帳票を閲覧・印刷に加えて、オプション製品Create!FormMagicfolderを利用することで、サーバ側でのメール送信、FAXデータへの変換送信なども行える。

 「Create!FormCollect」は、入力項目の入ったPDFフォームを生成するための専用ツール。PDF上にテキストフィールドやコンボボックスなど、エンドユーザーがAdobe Reader上で入力操作可能なオブジェクトを配置でき、入力されたデータはサーバに転送することが可能で、システム側で管理することができるようになる。JavaScriptを使って、入力された値のチェックや計算、あるいは、コンボボックス、リストボックスに列挙される項目を動的に変更するなどの処理を実装することもできる。

 このほかに、プリンタ出力をサポートするための製品として、「Create!FormPrint」(PostScriptプリンタ用)、「Create!FormPrintStage」(Windowsプリンタ用)「Create!FormPrintStage WebClient」(Windows Webクライアント用)がある。

   PDF帳票ソリューションに特化

 もうお気付きだろうが、Create!Formは、帳票印刷ツールからPDF帳票へと発展、進化させてきている。印刷での軽量、高速化、標準フォーマットの利用などのこだわりをWeb環境でのPDF帳票へも継承させている。独自のフォーマットは作らず、いかにPDF帳票を効率よく作成し、これを有効活用するかを考えることに専念してきた。

 インフォテック・アーキテクツ テクニカルグループ フォームプロダクト テクニカルリーダ 尾河昌和氏は、このあたりの理由を次のように語る。

 「独自フォーマットでは、それでどのように高速出力が可能になっても、クライアント端末にビューアを配布しなければならないという大きな問題があります。その点PDFは、業務システムにおいてすでに標準的に利用されており、Adobe Systems社から無償で提供されているAdobe Readerを用いて表示、印刷ができ、Web環境との親和性も高いです。それならば、どうすればPDFをいま以上に高速に生成できるかを考える方が現実的だとわれわれは考えました」

 では、具体的にどのようにして高速化を実現しているのか。Adobe AcrobatでのPDF生成に比べてどれほど高速なのか。同社では定量的な数値比較は行っていないようだが、高速処理の内容について、インフォテック・アーキテクツ テクニカルグループ フォームプロダクト マネージャ 佐野匠氏は次のように語る。

 「帳票の固定部分に関しては、資源ファイルとしてオブジェクトの固まりとしてあらかじめ作っておいて、それも繰り返し部分のオブジェクトは毎ページ埋め込んだりせず、全部のページがそのオブジェクトを参照するようにして、可変部分だけをランタイムで指定して出力しています。また、赤色でテキスト表示するところは、そこで赤のオブジェクトで出すと指定するのではなくて、あらかじめ設定しておいてそこにデータだけ出すとか、

 それぞれの指定自体は微々たるものなんですが、それを積み重ねることで高速化の効果を出すようにしています」

 PDF生成が高速であるなら、大量印刷の高速出力についても期待を持っていいだろう。

 その機能を担っているのがCreate!FormPrintだが、プリンタ言語による制御を行っていることから、大量、高速、高機能印刷用の中型、大型プリンタに出力する帳票印刷データを高速に生成できるという。こちらも数値としては公表していないが、これまでの実績において Create!FormPrint が印刷速度のボトルネックになることはほとんどなかったそうだ。

 もう1つ、Create!Formの特長を挙げるとするなら、ExcelのシートやWordの文書をCreate!Formのデザインファイルに変換できる機能だろう。こうした既存の帳票資産が活用できることによって、帳票の設計の工数を削減できるだけでなく、帳票へのデータ入力の自動化が図れるようになる。

   帳票ニーズの原点に返ってVer.8を発表

 見てきたように、Create!Formは、ビジュアル的にインパクトのある帳票が作りやすいことが最も大きな差別化ポイントだった。しかし、インフォテック・アーキテクツにとっては、それがかえってジレンマの種になりつつあったという。

 見栄えをそれほど気にしない帳票なら、別にCreate!Formでなくてもいいという評価に傾きがちだったからだ。見栄えのいい帳票というのは非常に目立つのだが、実際の帳票需要からすると実は少数派でしかない。やはり大多数は“けい線の入った表”なのである。

 「そうした現実を踏まえ、原点に返るつもりでいま一度製品を一から徹底的に見つめ直し、従来の倍の2年という開発期間をかけてメジャーバージョンアップを行ったのが、Create!Form Ver.8です」(佐野氏)。

 この3月12日にリリースされたばかりのほやほやの新製品である。

 目玉の新機能がいくつかある。

 まずは、表オブジェクトによる一括定義だ。これは帳票開発において、主要部分となる表をオブジェクトとしてフォームに配置できるというものである。開発者はプログラミングによるデータの整形から解放され、“このあたりに表を配置したい”という要望のままに、画面を見ながら帳票を自由にレイアウトすることができるようになる。

 次は、可変複合表作成機能だ(画面5)。1つの帳票内に形式の異なる複数の表を配置することができる。この機能を必要とする帳票の代表的なものには、金融機関で発行される保有資産のポートフォリオレポートがある。

画面5 可変複合表作成機能(クリックして拡大表示)

 実際に資産運用を行っている方ならお分かりだと思うが、定期預金でいくら、外貨預金でいくら、株式でいくらといった具合に資産の明細が示される。レポートとしては1枚だが、データソースはおのおの異なっている。これもノープログラミングで作成できる。こうした複雑な帳票作成ニーズは昨今増えているといい、Ver.8はこれに対応した形だ。

 さらに、画像やバーコードをテキストと同様、リスト指定で出力できるようになった。従来はプログラミングによって1つ1つ出力個所を指定する必要があったが、新版ではデータソースを指定するだけで、出力時に自動的に挿入される。

 製品デモを見せてもらったが、Create!FormDesignの帳票デザイン画面上にヘッダー部、表などのオブジェクトを任意の位置において、データソースを指定して、といった操作がほぼマウスだけで行われていた。

 実際にデータを埋め込んだ帳票イメージも瞬時に表示される。これならプログラミング知識を持った開発者がいない現場でも、イメージどおりの帳票が作れそうに感じた。

   今後のテーマは帳票データの二次加工

 思うに、Create!Formは現場での帳票活用に焦点を絞った帳票ソリューションツールである。この製品で作成した電子帳票やドキュメントを企業内で流通させる仕組みは、「Create!XfWebフロー」というワークフローシステムで実現されているが、他社製品で強化されつつある文書管理機能などについては、いまのところ他社製品との連携で実現している。

 メジャーバージョンアップ製品が出たばかりだが、企業の帳票に対するニーズはまだまだ尽きることがないようだ。同社が顧客企業との対話の中で重要なテーマだととらえているのはデータの二次加工だという。帳票を作成したら終わりというのはなく、意思決定や業務分析のために帳票データを活用したいという声は高いらしい。

「そうなってくると、出力の最終形態がPDFのみでいいのかとなってきますが、当社でもそれでいいとは思っていません。じゃあ、何なのかという答えはまだ出ていませんが、Ver.9での実現を目指していまから考えていきます」(尾河氏)。

インフォテック・アーキテクツ テクニカルグループ フォームプロダクト テクニカルリーダ 尾河昌和氏(左)とテクニカルグループ フォームプロダクト マネージャ 佐野匠氏(右)

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