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こんなにある!
北米で話題のFlash動画アプリケーションサービス


須賀正明
ベンチャーキャピタリスト
2007/4/5


UGC的ビデオ共有サイト(第1世代)

 

 YouTubeが火付け役となりさまざまなサイトが登場してきました。カテゴリの中でもサイトの数としては依然として大部分を占めているのがこのカテゴリーです。Google Video、Yahoo! Video、Sopabox、Askなどメジャーなポータルサイト、検索サイトはこのタイプのサイトを持っています。そんなインターネットメジャープレーヤ以外のサイトをいくつか紹介します。

 映像コンテンツのディストリビューションを中間業者なしに広告主、制作者、エンドユーザをつなげるインフラをインターネットで提供しているサイトです。Flashの開発元であったMacromediaの元CTO・Jeremy Allaireが2005年に立ち上げた会社。

Sony BMGがプローションに活用

 一見するとYouTubeやその他のUGCビデオ共有サイトと酷似していますが、自社サイトでビデオを公開するYouTubeと違い、企業へビデオ、広告配信管理機能をSaaSとして提供しています。ビデオコンテンツのeBayを目指すというのが彼らのミッションで、映像プロデューサー、広告主、シンジケーション・アフィリエイトへそれぞれメリットを提供するマーケットプレースという方向に向かっています。

 一般消費者が撮影したコンテンツよりはプロフェッショナルなインディーズから大手プロダクションハウス、メディア企業とのアライアンスに力を入れ、Reuters、AOL、New York Times、Disney、Sony BMG、Wall Street Journalなどの大手企業のビデオ配信プラットフォームとして採用されています。

 広告主・映像プロデューサー・エンドユーザをつなぐテクノロジープロバイダという地位を着実に構築しています。先ごろ日本のある企業からの投資もあり、今年中には日本上陸が予想できる企業です。

 Brightcoveのインフラを使ってプロモーションビデオの配信を行っているSony BMGのMusicboxはなかなかです。フルスクリーンで再生できるPVもあります。

日本語のコンテンツも結構豊富

 フランスを拠点にしたビデオ共有サイト。ここ数カ月はMetacafe を抜いてアクセスを順調に伸ばしています。アップロードされているコンテンツの違法性が問題になるのは時間の問題でしょう。

 YouTubeと同じく著作権的に問題があるコンテンツのアップロードに目をつぶり、一時的にトラフィックを稼ぎ、認知度を高めようという戦略のようですが、果たして二匹目のドジョウは釣れるのでしょうか? 日本語のコンテンツも結構豊富にそろっていて、テレビのドラマ、JPOPのPVなど比較的最近のモノが見られます。

独自コンテンツの提供で差別化を図る戦略へと転換中

 YouTube追撃の大本命で、一時期は飛ぶ鳥を落とす勢いでトラフィックを伸ばしていたビデオ共有サイト。300万ドルともいわれていた時価総額で当時はYahoo!やMicrosoftに買収されるのではないかといううわさも飛び出していました。アダルトコンテンツも多く、競合他社の追い上げもありトラフィックの伸びは頭打ちになり、買収話もいつの間にか消えてしまいました。

 独自コンテンツの提供で差別化を図る戦略へと転換中で、先ごろエミー賞受賞作家Steven Bochco氏と契約しショートビデオをシリーズで公開していくというアナウンスがありました。YouTubeスタイルから脱却し、独自色の浸透を期待したいところです。

FoxNewsですでに採用されている

 Brightcoveと類似したビジネスモデルを構築しているオーストラリア発ニューヨークを拠点とする企業。News Corp.が10%の株式を取得したことでもニュースになった企業。FoxNewsですでに採用されています。

MicrosoftやDivXの買収ターゲット!?

 アップロードしたビデオの中に広告が埋め込まれ、コンテンツ提供者と広告収入をスプリットするというビジネスモデル。ビデオが表示されているページではなく、ビデオそのものに広告が埋め込まれているところがミソ。

 ビデオ制作はしなくてもアップロードされているビデオを共有したり、公開されているAPIを使ってビデオを配信しても収入が得られるというのも面白い点。資本主義経済をビデオで実践しているという点ではよくできています。最近、MicrosoftやDivXが買収ターゲットに狙っているといううわさも出てきました。

ビデオ版 Flickrといったところか

 ビデオ版 Flickrには一番近いと感じた ビデオ共有サイト。インターフェイスもシンプルでどことなくFlickrを意識している印象。利用は無料ですが、1週間で250MBまでとビデオコンテンツを取り扱うにしてはちょっと小さめのアップロード制限が難点。

SNS機能が豊富にそろっているビデオ共有サイト

 SNSの機能が豊富にそろっているビデオ共有サイト。ビデオクリップのレーティングとか、タグ付けとかはAjaxをふんだんに使って、Web2.0系サイトであることを結構強くアピール。サイトの文字の大きさもWeb2.0風です。Del.icio.usへブックマークできたり、IMやメールで共有できる機能が気が利いています。

ビデオのアップロードの使い勝手がよい

 Sony Picturesに6500万ドルで買収されたときには一時的に知名度が上がったバイラル重視のビデオ共有サイト。開始当初はWebではWindows Mediaフォーマットで、高解像度版は独自開発のP2Pクライアントでダウンロードしてご覧ください、という方針でしたが、現在はFlashによるWebでの閲覧のみ。

 ここはビデオのアップロード機能がかなり感動もののユーザーインターフェイスです。ビデオを選ぶとアップロードしている時間を利用してタグ付け、コメント、タイトルなどの属性を入力するようなプロセスになっていて、体感パフォーマンスが高く感じられます。アップロードのほかにもWebカメラから録画コンテンツやコメントもできるようになっています。


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 INDEX
こんなにある!北米で話題のビデオアグリゲーション・編集サイト
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  Page4<ビデオ制作編集サイト(第3世代)>
  Page5<北米に比べて、UGCの受け入れがまだ少数派の日本>



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最終更新 2005/8/2


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