リッチクライアント導入事例(2) Page 2/3

Accessの操作感を再現した“OpenLaszlo”

吉田育代
2006/3/30

    Flex並みの機能を評価して
オープンソースのOpenLaszloを選択
 

 既存システムの使い勝手をそのままにWebアプリケーション化するという要件を実現するため、斎木氏は、日ごろからさまざまなIT案件に関する相談相手として頼りにしている株式会社ネットエイト 代表取締役社長 小野圭二氏に、「何かいいものはないだろうか」と機会あるごとに聞いていた。はっきりとしたプロジェクトにすると、納期や予算の制約からある程度のところで妥協せざるを得なくなり、結果的にいいものが選べない危険性がある。斎木氏は新システムの導入について特に期限を切るようなことはしなかった。

 
ネットエイト
代表取締役社長 小野圭二氏
 

 2004年秋、小野氏はリッチクライアント製品である「Flex」と出合う。「いままではWindowsライクなシステムをWeb上で実現しようとすると、非常に複雑なコーディングが必要だったのですが、Flexの開発環境である『Flex Builder』を利用すると、Javaの開発経験があれば、さほどの習熟を必要とせずにリッチクライアント・アプリケーションを構築できる。これはすごいと思いました」(小野氏)。

 早速、斎木氏に提案するが価格が問題になった。この商談管理システムのWeb化については、できる限り予算をかけないことがパソナキャリアアセットの方針だった。現状でも同時接続性やレスポンスに起因するストレスを我慢すれば、最低限必要な情報は取得できる。Web化によって利便性は高まるが、それだけのために営業部門に巨額な新システムの導入コストを負担させるわけにはいかなかったのだ。

 小野氏の模索は続いた。Curlはどうかと思ったこともあったが、やはり価格の問題をクリアできなかった。2005年2月のある日、同氏が情報収集のためにWebサイトをあれこれ見ていると、ある人物のブログの中でリッチクライアント製品に関する言及を見つける。それが「OpenLaszlo」だった。詳しく調べていく中で、それがオープンソースであることも分かった。OpenLaszloの可能性を感じて斎木氏に提案。程なくOpenLaszloの採用が決定した。小野氏はこの製品をパソナキャリアアセットに提案した理由を次のように語る。

 「一言でいえば、Flexと同じことができたという点ですね。検討の時点では、まだマルチバイトに対応しておらず、構築ツールも存在していなかったためテキストエディタによるハードなコーディングが必要でしたが、コミュニティに勢いがあったので作っているうちにいろいろ出てくるのではないかと期待を持つことができました。実際、OpenLaszloで行こうということになって2005年の4月くらいから開発を開始したんですが、すぐにマルチバイトへの対応注1が発表されました。またIBMからEclipseのOpenLaszlo用プラグイン『IDE4Laszlo』注2もリリースされ、追い風が吹いているなという感じでした」

注1OpenLaszloのマルチバイト対応
OpenLaszloのマルチバイト対応は2005年4月にリリースされたバージョン3.0から。本記事執筆時点での最新安定バージョンは3.2。

注2IDE4Laszlo
IBMのalhaWorksで開発されたEclipseのOpenLaszlo用プラグイン。2005年10月にオープンソースプロジェクト「IDE for Laszlo Project」に活動が引き継がれた。記事執筆時点での最新バージョンは0.1.0b。

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 INDEX

リッチクライアント導入事例(2)
Accessの操作感を再現した“OpenLaszlo”
  Page1
拠点間での情報共有が困難だったクライアント/サーバ型商談管理システム
Page2
Flexなみの機能を評価してオープンソースのOpenLaszloを選択
  Page3
従来と変わらぬ機能のアプリケーションをWeb上で実現したOpenLaszlo




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