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WCR Watch [14]

ユーザー主導の
リッチクライアント研究広がる

スティルハウス
吉川和巳
2006/8/1

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 Flashリッチクライアント構築ツールAdobeFlex 2の情報交換を目的としたユーザーコミュニティ「FxUG」(Flex User Group)は、7月27日、「1から始めるFlex 2」と題した勉強会を都内で開催した。FxUGにとって7回目となる勉強会は、定員の50名を上回る応募があり、立ち見も出る盛況ぶりだった。

 ところで、今回の勉強会を主催したFxUGは、横田聡氏(クラスメソッド株式会社代表取締役)が主導となり、国内のFlex開発者の有志が2005年10月に設立したコミュニティである。 FxUG代表の横田氏は、その設立のきっかけについて次のように説明する。「もともと実案件でFlex 1.5を利用していましたが、Flex 2のベータ版が登場し、パフォーマンスや言語仕様が格段に進化している点に驚きました。この驚きを誰かに伝えたいと思いブログを毎日書いていた結果、次第にアクセス数も増えました。そうした中、いつもブログを見ていただいた方から『コミュニティを盛り上げるならユーザー・グループとして立ち上げたらどうか』と提案され、 FxUGのサイトを構築したといういきさつです」。

 こうして“草の根”的にスタートしたFxUGも、Flexへの関心度が高まるなか急成長を遂げ、現在の登録メンバー数は252名に達する。その反響の大きさについて、横田氏は次のように述べる。「手応えを感じ始めたのは、FxUGのフォーラムで、Flexの質問や、それに対する回答などのやりとりが、自然に盛り上がりを見せた時です。FxUGが私個人の手を離れ、Flexに関するコミュニケーションの場となったことを感じました。また昨年末に始めたボランティアによる月1回の勉強会には毎回30名を超える参加者があり、立ち見が出ることも珍しくありません」(横田氏)。

開発の短期化と顧客要求の多様化がリッチクライアントへのニーズ

 今回の勉強会では、FxUGメンバーである西村一道氏により、Flex 2に初めて触れるエンジニア向けのハンズオン・セミナーが実施された。西村氏は、すでに2年にわたり実開発でFlexを利用しており、自らの経験をふまえての、かみ砕いた解説が参加者には好評であった。

講師を務めた株式会社アイザックの西村一道氏。Flexを用いた豊富な開発経験をもち、分かりやすい説明には定評がある

 勉強会の参加者は、これからFlexの導入を考えるJavaエンジニアやFlashエンジニアが中心。そこでFxUGでは、勉強会の終盤で参加者への質疑応答とアンケートを実施した。彼らがいま現場で抱えている課題や、Flexに対する期待、そしてFlex導入に際してネックとなる部分などを質問した。

 まず、Flexに関心を持つ理由としてもっとも多く挙げられたのが、Flashによる洗練されたUIの魅力や表現の豊かさ、機能性の高さだ。具体的には、「Flexなら見栄えのよいUIが簡単に作れる」、「(FlexのUIは)かっこいい。イケてる。流行ると思う」、「Excelのスプレッドシート機能をFlexでどこまで再現できるか興味がある」といった回答があった。

 もっとも印象的な点は、開発期間の短期化や顧客要件の高度化に対応するためにリッチクライアントとしてのFlexに関心が集まっているという点だ。ある参加者の声を引用しよう。「(現状では)短納期の案件が非常に多く、その中で複雑な画面の実装が求められる。現状では、TurbineやVelocityといったフレームワーク、そしてAjaxで対応しているが、製造コストが見積工数を超過してしまう。これらの問題をどれだけFlexで解決できるか関心がある」。このほかにも、「既存のフレームワークにおける画面制御の複雑さから脱却したい」、「(既存技術では)サーバサイド連携でプログラマーに頼る部分が大きく、Flexでその点を解決したい」などの意見があった。

JavaプログラマからFlashプログラマまで、実に幅広い技術者が集った。参加者に共通していたのは、すでに顧客からのさまざまな課題を抱えている点だった

 「ほかのリッチクライアント技術に比べて構築が容易」という意見もあった。Flexの開発を容易にしている理由の1つに、ビジュアル開発ツールFlexBuilder 2の役割が大きいだろう。同ツールへの評価としては、「(開発ツールとして)よくできている」、「使い慣れたEclipse環境での開発ができる」、「コンパイルが速い」、「価格が安価でSDKも無償」、「プログラマーが取っつきやすい」、「(既存資産の)部品化が容易そうだ」、「コード資産の再利用性が高い」といった声があった。

 さらに、Flexと比較されることも多いAjaxに対する優位性として、「Webブラウザを選ばない互換性の高さ、プラットフォームとしての安定性の高さ」を挙げる意見が多数を占めた。また複数の参加者が、「Ajaxは個々のWebブラウザへの依存性が高く、またデバッグ手段にも難がある」と回答している。

課題は「情報・経験・人材の不足」

 一方、現場へのFlex導入に際しての課題として、もっとも多く指摘されたのが、「情報不足」である。Flexに関する日本語の技術情報や資料、書籍、事例紹介などを求める声が多数を占めた。またそうした情報不足の結果、「Flexに対する現場の認知度が低く、導入に際して周囲を説得するのが課題となる」という。さらに技術情報だけでなく、Flexエンジニアの不足やベンダー依存のリスクも障壁となる。「(Flex導入には)ActionScript 3のスキルが必要」、「経験者が不足しており、エンジニアの育成が必要」という現状が浮き彫りとなった。さらには、「(アドビという)ベンダーへのロックインが心配」という回答もあった。

 また、Flex開発をどう進めてよいか、フレームワークやベストプラクティスを求める声も多い。「(Flexアプリケーションを)どう作ればよいか分からない。フレームワークを確立してほしい」、「クライアントとサーバの役割分担にコツが必要」といった意見がある。

 今後FxUGでは、「縦」と「横」という 2 つの方向性で活動を展開していきたいと横田氏は説明する。「Flexを実案件で使うには、Flexで開発できるプロジェクト・メンバーをそろえ、かつFlex開発のノウハウを持つ必要があります。そこで、Flex開発における上流設計やアーキテクチャを学ぶ場の提供(“縦”への展開)と、プロジェクト・メンバーを育成する場の提供(“横”への展開)をミッションと考えています」 。

FxUGの活動方針は、現場に役立つプロフェッショナルな知識を共有する場の提供(縦方向)と、ビギナーのための学習の場の提供の両方だという(図出典:FxUG)

 なおFxUGでは、アンケートでも要望の多かった日本語でのFlex情報発信を充実すべく、FxUGメンバーによるFlex書籍の共同執筆も検討中とのことだ。

 草の根的に始まったFxUGの活動は、少しずつ広がりを見せてきた。「好きな技術(Flex)を仕事に使えないのは悲しいので、それならばみんなで土壌を作っていこう!」と語る横田氏のビジョンが実現するのも、そう遠い先ではないだろう。




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