検証
Windows 2000の性能を評価する

3.マルチタスク テスト/ファイルI/O、ネットワークI/Oテスト

デジタルアドバンテージ
2000/03/25

マルチタスク テスト

 このテストでは、前出のWord 2000テストをファアグラウンド側(前面側)で、Excel 2000テストをバックグラウンド側(背面側)で同時実行し、Windows 2000テスト、Excel 2000テストをそれぞれ単独で実行した場合とどのような差が現れるかをテストしている。ただし、Excel 2000テストはWord 2000テストの数倍の時間がかかるので、Word 2000テストが完了した後は、Excel 2000テストが単独で実行されることになる。

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マルチタスク環境を調べるベンチマークテスト
Word 2000テストをフォアグラウンドで、Excel 2000テストをバックグラウンドで実行し、それぞれ単独実行した場合と比較した。画面から分かるとおり、バックグラウンドで実行するExcelも、一部分は画面上に露出している。

 ただし、初めにお断りしておく必要があるのだが、大量の処理をバッチ的に繰り返し実行して、それらの処理が完了するまでの時間を計測するベンチマーク テストでは、人間の操作に対するレスポンス時間などは結果として表れにくい。Windowsなど、人間が逐一指示を与えながら処理を進めていくインタラクティブな環境では、たとえばメニューを選択したときにダイアログ ボックスが表示され、次の指示が受付可能になるまでのごく短い応答時間のほうが、処理全体にかかる時間よりも、操作性に大きな影響を与えるということが少なくない。必要な一連の指示を与えてしまえば、最終的に処理が完了するまで多少時間がかかったとしても、それらはバックグラウンドで実行させておけばよいので、使い勝手には大した影響を及ぼさない。ベンチマーク テストは数々あれど、使い勝手という意味では非常に重要な、操作に対する微妙なレスポンス タイムを数値化するものはほとんど存在しない。残念ながら今回のテストも、各OSのマルチタスク性能が人間にとっていかに快適かということを計るものではない。テスト結果では、フォアグラウンド タスクとバックグラウンド タスクの処理配分を、各OSがどのように行っているかという点に注目していただきたい。

 テスト結果を以下に示す。 

Word 2000テスト(フォアグラウンド側)の結果
Windows 98 SEではほとんど変化なし。これに対し、NTWS 4.0では32%、Windows 2000 Proでは16%、単独実行の場合に比較して余計に時間がかかっている。
 
Excel 2000テスト(バックグラウンド側)の結果
Wordテストの結果とは逆に、Windows 98 SEでの結果が、単独実行の場合に比較して大幅に遅くなっている。またNTWS 4.0についても、単独時に比較し、マルチタスク時には約35%の性能低下がみられる。これに対しWindows 2000 Proでは、単独実行時354秒に比較して456秒と、性能低下は約30%のに抑えられている。

 ここでは、Word 2000テスト(フォアグラウンド側で実行)とExcel 2000テスト(バックグラウンド側で実行)のそれぞれが、各OS環境で、単独で実行した場合からどのように変化するかに注目した。2つのグラフのうち、前者はWordテストの実行結果、後者はExcel 2000テストの実行結果である。このためグラフは、各OSについて、同じテストを単独で実行した場合を1とし、マルチタスク実行時の結果を比で示した。結果の数値は大きいほど(グラフの長さが長いほど)高速であることを示している。

 まずはWord 2000テストの結果に注目しよう。Windows 98 SEでは、単独で実行した場合(66秒)と大差ない時間でテストが完了している(67秒)。これに対しNTWS 4.0では、単独で実行した場合(50秒)に比較して、約32%も遅い(73秒)。Windows 2000 Proは、NTWS 4.0ほどの開きはないものの、16%ほど余計に時間がかかっている。

 次は2番目のExcel 2000テストの結果を見てみよう。Wordテストの結果とは逆に、こちらのテストでは、Windows 98 SEでの結果が、単独実行の場合に比較して大幅に低下している。具体的には、単独で実行した場合(373秒)に対し、約36%遅い584秒もの時間がかった。またNTWS 4.0についても、単独279秒に対し430秒と、約35%の性能低下がみられる。これに対しWindows 2000 Proでは、単独実行時354秒に比較して456秒と、性能低下は約22%に抑えられている。

 これらの結果から明らかに言えるのは、Windows 98 SEでは、フォアグラウンドの実行により多くの実行時間が割り当てられており、フォアグラウンド側のプロセスは単独実行と大差ない時間で終了するものの、代わりにバックグラウンド側の処理にはあまり実行時間が割り当てられないということだ。これに対しWindows 2000 Proでは、バックグラウンドとフォアグラウンドの双方がほぼ均等に実行されている。実際、テスト途中に目視で確認していても、Windows 98 SEでは、フォアグラウンド プロセスが実行されている間は、バックグラウンドがパタパタと実行される感じで、お世辞にもスムースとはいえない様子であった。これに対しNTWS 4.0やWindows 2000 Proでは、フォアグラウンド側プロセスとバックグラウンド側プロセスがそれぞれ比較的スムースに実行されていた。なお原因は不明だが、Windows 98 SEでは、フォアグラウンド側のWord 2000テストが完了し、Excel 2000が単独実行されるようになるとき、Excel 2000テストの実行が途中でしばらく停止する現象が発生した。また予行テストの最中に、テスト途中でExcel 2000とWord 2000の間で入力フォーカスの切り替え(フォアグラウンド、バックグラウンドの切り替え)を行ってみたところ、Windows 98では一瞬ハングアップしたように両方のプログラムが一時的に停止する現象が発生したが、NTWS 4.0とWindows 2000 Proではこのようなことは起きず、切り替えはスムースに行えた。

 このテストだけで、一概にいずれのOSが優れているとは断定しようがないが、少なくとも比較的負荷の高い複数のプロセスを同時実行して、これらを何回も切り替えるような用途には、Windows 98 SEは不向きだといってよいだろう。

ファイルI/Oテスト

 ファイルI/Oテストでは、小さな多数のファイルをコピーしたときの性能(ファイル テスト1)と、サイズの大きなファイルをコピーしたときの性能(ファイル テスト2)を各OSについて実行した。具体的にはファイル テスト1では、221個のフォルダと681個のファイルを含む親フォルダ(全体の容量は約16Mbytes)をツリーごと別フォルダにコピーした後、元のファイルを削除し、再度コピー先から元のフォルダに書き戻す。フォルダには多数のファイルが含まれており、このテストでは、単純なディスクI/Oの性能だけでなく、ディレクトリ エントリを走査する際の性能も結果に大きく影響を及ぼすはずである。これに対しファイル テスト2では、約57Mbytesの1つのファイルを同様に別フォルダにコピーし、元のファイルを削除し、再び書き戻す。ファイル テスト2でコピーするファイルは1つだけなので、ディレクトリ エントリの走査などは結果には影響を及ぼさず、より純粋なファイルI/Oの性能(ディスク キャッシュ性能を含む)が計測できるはずである。なお、ファイルのコピーは、いずれのOSについても、データ用のD:ドライブで行った。これにより、各OSでほぼ同じディスクの位置に読み書きが行われるように配慮している。

 ファイル テスト1およびファイル テスト2の実行結果を以下に示す。これまでに紹介したアプリケーション テスト同様、このグラフにおいても、Windows 98 SEでの結果を1とし、ここからの相対値で各OSのテスト結果を示している。

ファイルI/Oテストの結果
ファイルI/Oのテストは、多くの細かいファイルをコピーするファイルテスト1と、大きなサイズのファイルを1つコピーするファイルテスト2の2種類を実施した。Windows 2000では、ファイルテスト1の結果がかんばしくないものの、ファイルテスト2では最も速かった。ファイルツリーなどの読み込みが遅い一方、ファイルキャッシュが優秀であることが予想できる。

 まず最初は、各OSでのファイル テスト1の結果に注目してみよう。結果は、NTWS 4.0はWindows 98 SEよりも約20%遅く、Windows 2000 ProはNTWS 4.0よりも約10%、Windows 98 SEからは約30%も遅いという結果になった。今回のテスト環境では、Windows 98 SEではFAT32を、NTWS 4.0ではNTFS 4.0を、Windows 2000 ProではNTFS 2000(NTFS 5.0)をそれぞれファイル システムとして使用している。シンプルで単純なFATと比較すると、NTFSは、アクセス権設定など、ファイル システムの機能が大幅に向上されている。さらにWindows 2000のNTFS 2000では、ファイルの暗号化機能やクォータ機能などが新たに追加された。テスト結果から判断すると、ファイル システムが高機能になればなるほど、ディレクトリエントリの走査にかかる負担は大きくなるようだ(ただし今回のテストでは、暗号化やクォータ機能は使っていない)。

 今度はファイル テスト2に注目してみよう。不思議なことに、NTWS 4.0はWindows 98 SEと大差ない結果となり、Windows 2000 ProではWindows 98 SEよりも約10%高速という結果が得られた。前にも述べたとおり、このファイル テスト2では、サイズの大きな1つのファイルをコピーしているため、ディレクトリ エントリの走査はほとんど結果に影響しない。いずれも同一のハードウェア環境で実行していることを考えれば、Windows 2000 Proがこのテストで好成績を残した要因は、ファイル システム キャッシュの性能向上にあると考えられそうだ。

ネットワークI/Oテスト

 前出のファイルI/Oテストを、100BASE-TXネットワーク上にあるファイル サーバ(Windows 2000 Server)とクライアントとの間で実行した。結果は次のとおり(グラフの表記方法はすべてファイルI/Oテストのそれと同じ)。

ネットワークI/Oテストの結果
ネットワークI/Oテストも、ほぼファイルI/Oのテストと同様の結果となった。OS内部では、ファイルI/OもネットワークI/Oも共通部分が多いので、順当な結果といってよいだろう。

 グラフから分かるとおり、全体的な傾向はファイルI/Oテストのそれと同じである。いずれのOSにしても、ファイルI/OとネットワークI/Oは共通部分の多いストレージ サブシステムで処理されているので、この結果は順当といってよいだろう。

Windows 98 SE、NTWS 4.0、Windows 2000 Proとも、性能的には均衡している

 以上、Windows 98 SEとNTWS 4.0(Windows NT Workstation 4.0)、Windows 2000 Pro(Windows 2000 Professional)の3つのOSに対し、ごく簡単なアプリケーション ベンチマークテストを実施してみた。結論からいえば、今回テストした水準のマシンなら、Windows 98 SEと大差ない性能でWindows 2000 Proを利用できそうである。今回テストに用いたシステムは、現在販売されているエントリ レベルのマシン、あるいは1年半ほど前のミドルレンジのマシンである。Windows 98 SEに比較すれば、NTWS 4.0やWindows 2000 Proのワーキングセットは大きいので、遅いスワップを発生させずに処理を行うには、Windows 98 SEのそれよりも多くのメモリが必要になるかもしれない。しかし、ワードプロセッサやスプレッドシートなどのビジネス アプリケーションを中心として利用するかぎり、現在使用しているWindows 98 SE環境やNTWS 4.0環境をWindows 2000 Proに移行させても、性能的な問題が発生する可能性はあまりなさそうだ。むしろアップグレード時には、手持ちの周辺機器などをサポートするデバイス ドライバイが、Windows 2000で提供されているかどうかということに注意する必要があるだろう。End of Article

 

 INDEX
  [検証]Windows 2000の性能を評価する
    1.テスト環境とテスト概要
    2.アプリケーション テスト
  3.マルチタスクテスト/ファイルI/O、ネットワークI/Oテスト
 
 検証


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